ムーア国の女王となったオーロラ姫。彼女はフィリップ王子にプロポーズされ、それを受け入れた。
王子の国である、アルステッド国に招かれたオーロラ姫とマレフィセント。そこで、王子の父・ジョン王とイングリス王妃に出会う。
しかし、イングリス王妃の度重なる挑発に、マレフィセントは激怒。その様子を目撃したジョン王は倒れる。イングリス王妃は「王に呪いをかけたのは、マレフィセント」という汚名を着せ、その為、マレフィセントは窓をぶち破り飛び去ってしまうのだが、、、
監督はヨアヒム・ローリング。
ノルウェー出身。
『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)等を、
エスペン・サンドベリとの共同監督で撮影している。
出演は、
マレフィセント:アンジェリーナ・ジョリー
オーロラ姫:エル・ファニング
ディアヴァル:サム・ライリー
イングリス王妃:ミシェル・ファイファー
フィリップ王子:ハリス・ディキンソン
ジョン王:ロバート・リンゼイ
コナル:キウェテル・イジョフォー
ボーラ:エド・スクライン 他
映画にて、日本を国家的にディスっているのは、韓国というイメージですが、
過去、
最高に日本ディスをぶち上げた映画として、
『不屈の男 アンブロークン』(2014)という作品があります。
その作品の監督が、
アンジェリーナ・ジョリー。
第二次世界大戦時の、
日本軍の行った蛮行を扱う作品ですが、
原作の描写に、事実と違う部分があるとして、
映画の公開中止運動が、日本では起こりました。
(日本では2016年に、公開)
そういう観点からすれば、
アンジェリーナ・ジョリーは、
日本から見た、明らかなるヴィラン(悪役)。
そんなヴィランであるアンジェリーナ・ジョリーが、
再び、
ディズニーヴィランを演じるのが、
本作『マレフィセント2』です。
さて、
元ネタの作品『眠れぬ森の美女』では、
マレフィセントは完全なる悪役でしたが、
本作のマレフィセントは、
前作同様、
ちょっと付き合いにくい、気難しいマダム
という印象です。
ほら、どこの会社にも、
常にムッツリとしたお局様が居るでしょう?
冗談を言っても、お茶を啜りながら、一人だけ笑わない、
あんな感じですね。
でも、悪い人じゃ無いんですよね、
怖いケド。
そんな気難しいマダムが、
娘同然に愛するオーロラ姫の婚約披露宴に参加するのですもの。
問題が、起こらないハズも無く、、、
まぁ、言ってしまえば、
本作のマレフィセントは、
気難しい人が誤解を解く話
とも言えるのですね。
その一方で、
気難しい人を、頑なにさせた人間も居るのです。
つまり、
嵌めて、陥れた人間が居るのですね。
言ってしまえば、
本作では、
ヴィラン(マレフィセント)の他に、
もう一人、真のヴィランが存在しているのです。
その辺りの「物語の描き方」は、
前作『マレフィセント』(2014)の印象と、
若干、齟齬があります。
まぁ、前作とは監督も違いますし、
その辺り、特にツッコむのは野暮かもしれません。
とは言え、
主要キャストは前作と変わらず、
マレフィセント、
オーロラ姫、
妖精の小母さん3人、ノットグラス、シスルウィット、フリットル、
カラスのディアヴァル、等は続投です。
ですが、
こっそり、フィリップ王子のキャストは、前作から別人になっていますね。
更に本作、
オーロラ姫を始めとして、
衣装、ドレスが派手で綺麗でトキメキますね。
やっぱり、お姫様は、可愛くなくっちゃ。
個人的には、前作のストーリーの方が好きでしたが、
本作は本作で、
勧善懲悪的な感じで、
単純に、物語を楽しめます。
綺麗な衣装と、ド派手な演出で楽しめる、
『マレフィセント2』は、そんな作品です。
アンジェリーナ・ジョリー。
反日女優ではありますが、
その一方、
彼女は、慈善家としての側面があります。
日本から見るとヴィランである彼女、
しかし、
別の視点から見ると、もしかして、彼女の行動にも一定の正当性があるのかもしれません。
イメージだけで、
悪者と決めつけてはいけない、
『マレフィセント2』も、そういう作品と言えるでしょう。
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『マレフィセント2』のポイント
イメージだけで、悪者と決めつけるの、良くない
外敵の設定が、国家に必要
ファンタジックな衣装、舞台
以下、内容に触れた感想となっております
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外敵の設定
前作『マレフィセント』(2014)は、
ディズニーアニメ映画の『眠れぬ森の美女』(1959)のマレフィセントの別の一面を描き、
今まで、ヴィラン(悪役)として認識されていた存在を、
複雑な人物像として再構築し、
全く新たな世界観のファンタジー作品として構成されていました。
巨大な力を持つ同一人物が、
『眠れぬ森の美女』では、暴虐を振るい、
一方、
『マレフィセント』では愛に目覚め、自分の行動を規定していました。
しかし、
本作では、そういう、
ある種、複雑な物語構成を破棄し、
単純な勧善懲悪モノに落とし込んでいます。
悪人が、悪人になる過程を描きながら、
愛によって、
悪を行う事を踏みとどまる、
そこに、感動と救いがあり、
悪人にも、「改心」という、ある種の救いをもたらし、
ヴィランという存在を反転させたのが、
前作の面白さでした。
しかし、
『マレフィセント2』では、
そういう前作のテーマとは正反対、
悪い意味で単純な、勧善懲悪モノになってしまっています。
物語に、
イングリス王妃という解り易いヴィランを設定する事で、
マレフィセントを相対的に「善」として描いているのです。
作中、イングリス王妃は言います。
「国家の運営には、解り易い悪役が必要なのだ」
「恐怖を煽る事こそ、国家が国民を統治する時に、最も効果を発揮する武器である」と。
アメリカは、
シリア絡みでイランを敵性国家としていますし、
日本も、
過去は、北朝鮮を敵性国家としてディスる事で、
国民感情を煽っていましたが、
近年は、
あまりにも交流が無い所為で、それが使えない、
ならば、
韓国を敵性国家とする事で、
国民のガス抜きをしようとしているのが、
目に見えていますね。
そして本作は、ヴィランにその事を言わせる。
つまり、
意図的に勧善懲悪を目指している事の証明ですね。
そして、
「敵を作る事で、国民の不安を煽って、操れる」
というイングリス王妃の発言は、そのまま、
「単純で解り易い悪役(本作ではイングリス王妃)を設定する事で、そのヴィランを倒す事でカタルシスをもたらす」
という、本作の制作者の狙いそのままなのですね。
倒される悪役自身にそれを言わせる、
そこに、本作のひねくれた意地悪さを感じます。
前作では、
見方、展開によっては、
ヴィランも愛に目覚めるという事を描いていました。
しかし、
そういうテーマが本作には見られず、
解り易い悪役を、たった一人倒して(ヤギにして)、
目出度し、目出度し、
というのが、
前作が面白かっただけに、
残念な想いがありますね。
おとぎ話を再構築したのが前作なら、
それを再び、
おとぎ話に戻してしまったのが、本作なのです。
前作との比較で、
個人的には、ちょっと残念な感じでしたが、
ド派手な演出と、
綺麗な衣装、
ファンタジックな世界観と、
面白い要素を単純に楽しめる、
本作『マレフィセント2』は、
深く考えずに、勧善懲悪を受け入れる作品なのだと思います。
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