何不自由無く暮らしていた、ノッティンガムの若き領主、ロビン・ロクスリー。しかし、十字軍に徴兵され、恋人のマリアンとしばしの別れとなる。
4年後、アラビアの戦地にて上官に逆らい捕虜を庇った為、本国に戻される事になったロビン。しかし、自分は2年前に死んだ事になっており、ノッティンガムの領地も没収、一般の領民は鉱山で強制労働、マリアンには別の男が居るという始末だった、、、
監督はオットー・バサースト。
イギリス出身。
多くのCM作製、TVシリーズに関わる。
出演は、
ロビン:タロン・エガートン
ヤキヤ/ジョン:ジェイミー・フォックス
マリアン:イヴ・ヒューソン
タック:ティム・ミンチン
ウィル:ジェイミー・ドーナン
ノッティンガム州長官:ベン・メンデルソーン
枢機卿:F・マーレイ・エイブラハム 他
皆さん、その昔、
本宮ひろ志の漫画『天地を喰らう』というものがあったのを、ご存知ですか?
その漫画を、
現在は、モンハンとかで有名なカプコンが、
ベルトロールアクションとしてゲーム化したのが、
『天地を喰らう』と、
『天地を喰らうⅡ 赤壁の戦い』です。
アーケードゲームだった『天地を喰らうⅡ 赤壁の戦い』は、
そのデモ画面で、
キャラクターの使用率が表示されていました。
このゲームのプレイヤーキャラは5人。
関羽、張飛、趙雲、黄忠、魏延。
どんな使用率になっていたと思いますか?
まぁ、ご想像の通りに、
関羽と張飛がトップを常に争っていた思い出があります。
しかし、
使用率最下位は、
いつも決まって鉄板でした。
それは、黄忠。
いつも、
「わしの弓はきらいかい?」と、
悲しそうな顔をしていました。
その使用率は、
時には1%になる程。
ジジイの見た目が悪かったのか?
それとも、武器が「弓」というのが、
当時のゲーセンにたむろしたヤング達の琴線に触れなかったのか?
個人的には、
この『天地を喰らう』の黄忠のイメージが大きいので、
未だに、
「弓は雑魚の武器」的な刷り込みがあります。
しかし、
本作のロビンは違います。
強え、早ぇえ、それが、弓!!
そうです。
冷静に考えれば、
飛び道具というものは、
素手や剣よりも遥かに強いモノ。
本作では、
弓という武器と、その闘法が、
カッコよく描かれています。
さて、本作は、
中世イングランドの伝説のヒーロー、
「ロビン・フッド」の物語を大胆にアレンジしたものです。
いわゆる、
「伝説の存在」故に、
ストーリー、設定は、いくらでもアレンジ出来る。
その拡張性が魅力なのか、
過去には、
ロビン・フッドを描いた多くの小説、映画があります。
日本で例えると、
源義経の様な感じでしょうか?
さて、私と言えば、
「ロビン・フッド」の物語は、
小学生の時、学校の本で読んだ程度。
そんな私でも分かる
一目で察する、大胆アレンジ、
時代考証完全無視の、スタイリッシュ衣装!!
なんか、
出演者の着ているものが、
一々カッコ良いのです。
というか、
私の服より、10倍は高価なものを着ている!!
ふ、ふ~ん、
中世のイングランドって、こういう感じ?
このカッコ良い衣装で大暴れするのは、
自身、
高い身体能力を誇る、タロン・エガートン。
兎に角、本作は、
スタイリッシュに、
何も考えずに、
ガツンとアクションを楽しめば良いじゃない!?
そんな感じの作品になっております。
さて、
本作の題名は、『フッド:ザ・ビギニング』。
如何にも、
続篇が作られそうな名前であり、
終わり方も、
続篇を意識した感じになっております。
しかし、
アメリカ本国での評価が振るわず、
恐らく、続篇は無理だと思われます。
…やっぱり、
「わしの弓はきらいかい?」、、、
そんな哀しみを背負った作品、
それが、『フッド:ザ・ビギニング』なのです。
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『フッド:ザ・ビギニング』のポイント
弓メインのスタイリッシュアクション
時代考証無視!!衣装は格好良ければ良いのだ!?
悪人と、システム
以下、内容に触れた感想となっております
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悪人と、システムと
本作『フッド:ザ・ビギニング』は、
まぁ、ハッキリ言ってしまうと、
単純明快に、ド派手でスタイリッシュなアクションを楽しむ作品。
深く考えなくていいのが、
本作の良い所と言えるでしょう。
とは言え、
個人的に気に入ったのは、
悪役の描き方。
ノッティンガム州長官を演じた、
ベン・メンデルソーンです。
まぁ、本作では、
メインヴィラン(一番の悪役)という地位でありながら、
名前すら与えられていない所に、
何と言うか、
意図があったのか、無かったのか?
微妙な気がします。
それはさておき、
ベン・メンデルソーンです。
『アニマル・キングダム』(2010)や
『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(2012)で印象的な演技をしていましたが、
現在の「解り易い悪役」というプロトタイプを演じたのは、
『ダークナイト ライジング』(2012)からでしょう。
ウェイン産業を乗っ取ろうとしたジョン・ダケットを演じ、
その流れを汲むのが、
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)での悪役、
オーソン・クレニック。
どちらも、
映画の中では印象的な悪役を演じながら、
更なる強キャラがその後に控えているという役を演じました。
*『ダークナイト ライジング』ではベイン、
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』ではダース・ベイダー。
そして、
『レディ・プレイヤー1』(2018)では、
ラスボスである、企業の社長ノーラン・ソレントを演じましたが、
結局、他の作品同様、打倒される運命にありました。
さて、本作のベン・メンデルソーンは、
メインヴィランでありながら、
更なる強キャラが、後ろに控えているパターン。
何となく、ベン・メンデルソーンの印象が、
権力を傘に着て威張り散らす中間管理職のイメージなんでしょうね。
だから、
その後ろに、更なる悪が控えているのです。
その「悪」とは、
「悪」が蔓延る要因となるシステムと言えます。
本作では、
教会が中心となって、
市民から集めた税金を、私利私欲の為に使うという流れがあります。
しかし、
ロビン達レジスタンスは、
解り易い悪役である、州長官を倒す事で満足し、
その背後の「システム」(=教会)の打倒までは至っていないのですね。
倒したいのは、悪人なのか、悪なのか?
それを弁えないと、
いつまで経っても、状況は変わらないのです。
実際、最近のニュースでも、
日産は、
西川廣人・前社長が役員人事に介入し、
自分を追い落とした人間を排除し、
「院政」を敷くつもりだと報道されています。
悪のトップを追い落としても、駄目なのです。
悪のトップが暗躍する「環境」そのものを改善しないと、
何時まで経っても変わらないのですね。
本作では、
新しく、ウィルが教会の意思を汲み、州長官に就任する所で終わります。
いくら、悪を倒す、という、気持ち良い事をやっても、
それは、
その場の満足感を満たすだけの事に過ぎない。
そういう厳しい現実を描いている所は、
本作の注目すべき点だと思います。
まぁ、それでも実際は、
何かを変えようとするならば、
無駄な努力と分かっていても、
そういう、現場から、一歩一歩、やって行くしか無いのですがね。
まぁ、そんな事は気にせずに、
続篇が作られる事の無い、
続篇ありきの作品というアンバランスさを楽しむのが、
本作『フッド:ザ・ビギニング』の正しい鑑賞と言えるのかもしれません。
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