映画『モンスターハンター』感想  ミラ様の異世界転生!?モンハン世界でも無双ゲーの始まりだ!!

特殊部隊を率いる大尉のアルテミスは、砂漠で消息を絶ったブラボーチームを探していた。そこで、突如砂嵐に見舞われるアルファーチーム。暴風に翻弄された彼女達が気付くと、そこは、モンハンの世界だった!?、、、

 

 

 

 

 

監督はポール・W・S・アンダーソン
日本では、映画『バイオハザード』(2002~2016)シリーズ(全6作)の監督として有名。
他の監督作に、
『モータル・コンバット』(1995)
『ソルジャー』(1998)
『エイリアンVSプレデター』(2004)
『DOA/デッド・オア・アライブ』(2006)
『デス・レース』(2008)
『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』(2001)等がある。

 

出演は、
アルテミス:ミラ・ジョヴォヴィッチ
ハンター:トニー・ジャー
リンク:ティップ・”T.I”・ハリス
受付嬢:山崎紘菜
大団長:ロン・パールマン 他

 

 

 

皆さん、パンは好きですか?

私はパンが好きで、
偶に、お気に入りのパン屋巡りをしたりなんかもしてます。

さて、
とあるパン屋がありまして、
オープン当時に、その店に行ったんですよ。

その時の感想は、
まぁ、普通かな、と。

普通に美味しいケド、
取り立てて、リピートしなくてもいいかな、と思ったんですよ。

で、
この間、久々に、
数年ぶり位に、その店に行ったんです。

すると、まぁ、
格段に美味くなってました。
ビックリしましたね。
こんなに変わるモンなんだ、と。

味だけではなく、
店内のレイアウト、採光とかも明るくなっており、

いやぁ、
三日合わざれば、刮目して見よ、
という格言を思い出しました。

 

と、言うわけで、
前置きが長くなりましたが、
映画版『モンスターハンター』です。

監督は、ポール・W・S・アンダーソン。
この監督、実は、
私が「名前だけで、鑑賞スルーをする」と決めている監督なんです。

理由は、
『バイオハザード』(2002)
『エイリアンVSプレデター』(2004)ですね。

どう作っても、ハズれにならない原作を使って、
どうしてこうもまぁ、
つまらない作品を作ってしまったんだ!?

俺が監督したら、
確実にもっと面白いものが作れたゼ!!

と、若かりし頃の私は思ったんですよ。

ゲームの『バイオハザード』(1996)をやっていましたし、

映画の『エイリアン』(1979)と『プレデター』(1987)は、
大好きな作品でしたからね。

思い入れが強い分、
期待値も高く、
それを超えるどころか、
予想外のつまらなさで、失望してしまったのです。

 

とは言え、
映画の『バイオハザード』シリーズは人気となり、
監督自身も、そのキャリアが25年以上に亘る訳ですから、

世間的には、成功し、実力があるというのは、厳然たる事実です。

私には合わなかった、というだけであり、
取り立てて、ポール・W・S・アンダーソンを非難する必要は無い。
ただ、
今後は黙ってスルーすればいいだけの話である。
と、思っていました。

 

しかし、
もう、あれから、20年近く、時間が経っているじゃないか。

もしかして、
ポール・W・S・アンダーソン監督も、
あの、パン屋と同じように、
格段に成長し、
私が観ても、面白いと思える映画を作るようになっているんじゃないか?

 

さらに、
実は私、ゲームの『モンスターハンター』を、
一回もやった事が無いのです。

所謂、「ミリしら」ってやつです。

もしかして、
全く思い入れが無かったら、楽しめるんじゃないのか?

 

そんなこんなの期待を込めて、
今回、久しぶりに、ポール・W・S・アンダーソン監督の作品を観に、
映画館に行ったんですよ。

 

で、感想はどうだったのかと言いますと、

武器とモンスターのファンタジー世界、
普通に面白かったです。
私が10代前半なら、確実に夢中になってましたね。

 

 

日本での映画の公開日が、
2021年の3月26日。

この日は奇しくも、
というか、計算尽くでしょうが、

「モンスターハンター」シリーズの最新作、
ニンテンドースイッチの『モンスターハンターライズ』の発売日と、
時を同じくしています

 

自分がキッズだったら、
まず間違い無く、
映画を観たその興奮で、
「モンハン」の最新作を買っていたでしょう。

 

なんか、怪獣がいっぱい出てきて、
いつものミラ・ジョヴォヴィッチが、
異世界転生して、
武器を振り回して無双ゲーをかます!!

 

厨二が好きな要素が特盛りのり弁状態です。

そしてその世界を、自分で、
ゲームの中のキャラクターをアバターとして体験出来るという、
映画とゲームのボーダレス化を、プロモーションとして試みているのが、
本作の凄い所です。

 

映画を作るにあたって参考にした「モンハン」シリーズは、
2018年に発売された『モンスターハンターワールド』だそうです。

一応、対象年齢(CERO)は15歳以上となっていますが、

映画の方は寧ろ、
モンハンシリーズを知らない人が、
映画を観て、影響されて、ゲームを始める切っ掛けとなる
そういうターゲットとして、
ローティーン層を狙った作品作りになっている様な気がします。

 

なので、
大人が観ると、ツッコみどころは沢山あります。

 

それでも、
ミリしらの人間が、
ちょっと観るには、良い映画?

それが、『モンスターハンター』なのかもしれません。

 

 

  • 『モンスターハンター』のポイント

「ミリしら」でも楽しめる、寧ろ、知らない方が楽しめるのか?

いつものミラ・ジョヴォヴィッチ無双、カッコ良い!

特に意図は無い、と思います

 

 

以下、映画の内容に触れた描写が含まれますので、
未鑑賞の方はご注意下さい

 


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  • 先ず、ツッコみたいよ、『モンスターハンター』

本作『モンスターハンター』。
映画を観たら、ツッコみたくなりますよね。

あんな細腕で、
剣をブンブン振り回せるのか?とか、

ディアブロスという巨大モンスターに、手甲の小型の銛を打ち込んで、
そこからワイヤーを巻き込んで、騎乗するのですが、
そんな事したら実際は、
電気掃除機のコンセントを巻き込む時、床にゴンゴン当たるみたいに、
地面にバンバン叩き付けられるだろ?とか、

暴れている動物の上に立って、
その、頭に剣を突き立てるとか、
不安定な足場で体重もかかってないのに、不可能だろ?とか、

言い出したら、キリが無いです。

 

しかし、本作を楽しむには、
そんな細けぇことはいいんだよ!

なんか、カッコ良い、
なんか、スカッとする、
なんか、自分もやってみたい、

そう思わせたら、本作は正解というスタンスなのです。

 

勿論これは、
映像やアクション、世界観という作品の作り込みが、
子供騙しでは無いからこそ、
子供が観ても、夢中になれるという事なのです。

 

  • むしろ、初見が楽しめる作品!?

思えば、
映画『バイオハザード』を観た時、
ああ、期待外れだな、と私は思ったのですが、

「バイオハザード」を全く知らず、
映画も、まぁ、そこそこ、偶に、観る位の父が『バイオハザード』を観た時は、
面白かったと言っていました。

で、今回、
私が面白いと思った「モンハン」の場面は、

蜘蛛のモンスターのネルスキュラの巣から、
アルテミスが脱出するシーンです。

ちょっと、というか、
ホラーチックで、私の趣味に合っていました

なんか、
『エイリアンVSプレデター』のセルフオマージュ的なシーンでしたしね。

『エイリアン』とか、
『プロメテウス』を彷彿とさせる場面なのですが、

これって、後から冷静に考えると、
「あれ、このシーン、モンハン関係無くね?」と気付いたんですよ。

 

つまり、
映画として観ると面白い場面は、
映画オリジナルのシーンだったのではないか?

それは、『バイオハザード』も『エイリアンVSプレデター』もそうであり、
寧ろ、
思い入れのある人間が観ると、
余計な改変しやがって!と、怒る場面こそ、

フラットな感覚で観ると、
興味深い場面なのではないでしょうか。

 

今回、
我々の世界に住むアルテミスが、
モンハンの世界線に「門(ゲート)」を通って行き来します。

これは、流行りの異世界転生モノの様に見えますが、
勿論、その方法論を踏襲しているのですが、

寧ろ、
映画『バイオハザード』の時、
主人公の名前がアリスであり、
他にも『不思議の国のアリス』をモチーフにした映画作りだった事を思い出すと、

今回の「モンハン」も、
その「不思議の国のアリス」的パターンを踏襲しているのだと気付きます。

 

また、
ポール・W・S・アンダーソン監督の作品って、
よく言えば、丁寧。
率直に言えば、まだるっこしいんですよね。

 

「モンハン」に全く思い入れが無い私が本作を観ると、
起承転結で、アクションに緩急をつけて、
キチンと整理して作られているな、と思いましたが、

『バイオハザード』の時は、
もっとゾンビ、ウジャウジャ出せや!!
洋館でゴシックホラーしろや!とか、思いましたし、

『エイリアンVSプレデター』なんて、
エイリアンとプレデターが実際に戦うまで、
(実際に測ってませんが、個人の体感で)1時間くらいかかってますからね。
『フレディVSジェイソン』(2003)なんて、開始3分でメインバトル開始だぜ!
もっとバチバチやらせろや、と思ったものです。

 

こうやって、
自分が観た時の感想を並べると、
如何に、
監督が、原作を知らない初心者に優しい作品作りを目指しているのかが、解ります。

 

  • 何故、オタクをキレさせるのか?

でも、これってチグハグなんですよね。

昔っから、
ポール・W・S・アンダーソン監督って、
マニアックな、
オタクが好きそうな作品を原作として、映画を作っています。

『モータル・コンバット』『デッド・オア・アライブ』『デスレース』のリメイク etc…

また、ゲームを原作としている映画化作品も、
他の監督に比べると、明らかに多いです。

それなのに、
実際の映画化作品は、
オタク受けするマニアックさを排除する傾向があるんじゃないかと思うんです。

そこが、
私の様なオタクからしたら、鼻につくのでしょう。

ですが、故に、
映画を偶に、時々しか観ない層には、
ウケが良いのかもしれませんね。

 

後、なんか、
余力を残している所も、鼻につくポイントだと思います。

『バイオハザード』も『エイリアンVSプレデター』もそうですし、
本作『モンスターハンター』も、
続篇を意識して、
一発勝負の全力投球をしていない、
ネタを使い切っていない感が透けて見えるのが、
オタクの癇に障るのだと思われます。

 

 

つまり、まとめると、

全く思い入れの無い、
私の様な人間が観ると、
それなりに、映画を観ている時間は、楽しめますよ。

しかし、
マニアックな、モンハン信者が観ると、
その限りでは無いのかもしれません。
あれこれ、言いたい事が出て来る様な気がします。

どうでしょうか?

 

  • キャスト補足

後、付け加えるならば、
キャストが良かったです。

特に、トニー・ジャーの、
シリアスな時と、
ニッコリ笑っているときの緩急がグッドです。

トニー・ジャーと言えば、
『マッハ!!!!!!!!』(2003)で一躍有名になったアクション俳優ですが、

彼が映画でよく使う、
「回転浴びせ二段蹴り」的な技を、今回も使っていたのが嬉しい所。

 

また、
映画の冒頭、最初に出て来る人物を飾ったのは、
山崎紘菜

彼女は、TOHOシネマズで映画を観る時には、
上映前に、必ず顔を見る事になる人物です。

寧ろ、
映画を観る前に、山崎紘菜の顔を見ないと落ち着かない位のレベルで刷り込みが完成しています。

彼女って、デビュー当時は英語が喋れず、
上映前の映画紹介のシーンでも、通訳を挟んで、映画出演者と会話していました。

それが今や、
通訳無しで、普通に英語ペラペラになっているんですよ、
凄いね!!

しかし、本作では、その英語力が全く生きていなかったのが、哀しい所。

明確に、死んだ描写が無かったので、
次回作があるのなら、再び相まみえる時が来るかも知れません。

 

  • 人種差別問題について

本作は当初、
中国系の出演者の台詞に、
「What kind of knees are these? Chinese」(どんな種類のニーズがある?チャイニーズだ)という台詞があり、

これは、
「Chinese, Japanese, dirty knees, look at these」(中国人、日本人、この汚い膝見ておくれ)
という、アジア系の子供を侮蔑的に表現する言葉を想起させるものだそうです。

これが、人種差別だとSNSで批判が沸騰し、
なんと、中国では、公開二日目で上映中止となりました。

 

おそらくは、
これは、私の想像でしかありませんが、

その、中国系の出演者が、ラッパーで有る事を考えると、

この台詞は、俳優のアドリブで、
監督が、元ネタを知らずに、本篇に採用してしまったのではないかと思います。

私も調べて知った位ですので、
ポール・W・S・アンダーソンが、もし知っていたなら、
流石に、採用しなかったシーンなのでは?と思います。

 

映画のディレクションの権限と責任は監督にあるとは言え、
これは、不幸な出来事ですね。

俳優の方も、
ネガティブな言葉(dirty knees)を、
必要というポジティブ(need)な言葉に置き換えた言葉遊びのつもりなのでしょうが、

人種差別的な表現にセンシティブな昨今においては、
ちょっと浅慮だったと思われます。

まぁ、全て、私の想像ですが。

 

該当シーンは、その後、
全ての国の上映においても、カットされる事になりました。
日本のバージョンでも、勿論、観られません。

しかし、巨大市場の中国を失ったのが痛手なのか、
本作は、興業的には、爆死なのだそうです。

 

明らかに、
続篇に色気を出して終わったのに、
このまま、宙ぶらりんで終わりそうな、映画『モンスターハンター』。

続きを観たいなら、
我々、日本人が、『鬼滅の刃 無限列車編』位の観客動員を目指す必要があります。

ガンバ!!

 

 

 


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