映画『サウンド・オブ・サイレンス』(2023)感想  小粒ながらも、テーマは面白い

歌手のオーディションに挑むも、緊張で歌えないエマ。落選しては、いつも、優しい恋人のセバに慰められている。
そんなある日、父が入院したと知らされる。故郷のイタリアへ急遽戻ったエマ。病院で医師に質問すると「DVを受けた母が、反撃した」であろうと告げられる。
母に事情を尋ねようとしたエマは、こう告げられる「家には帰らないで」と、、、

 

 

 

 

 

 

 

監督は、イタリアで主に活動する
アレッサンドロ・アントナチ
ダニエル・ラスカー
ステファノ・マンダラ
の3名。
本作が初の長篇映画監督作品。

 

出演は、
エマ:ペネロペ・サンギオルジ 他

 

 

 

『サウンド・オブ・サイレンス』と言えば、
先ず、思い浮かぶのが、

サイモン&ガーファンクルの楽曲
『サウンド・オブ・サイレンス』(1964)です。

リリース当時、
商業的にヒットせず、
サイモン&ガーファンクルは解散してしまったそうです。

しかし、2年後に謎のリバイバルヒットを経て、
ダスティン・ホフマンが主演デビューした、
映画『卒業』(1967)の挿入歌として使われました。

 

個人的な思い出なのですが、

中学1年生の時、
英語の先生が、
サイモン&ガーファンクルや、
カーペンターズ
ビートルズ などの楽曲を授業で流して、
英語に興味を持って貰おうと奮闘していました。

また、
校内の合唱コンクールで、
好きだった3年生の先輩が、
『サウンド・オブ・サイレンス』を歌っていた事もあって、

ノスタルジーと甘酸っぱい思い出が込められている楽曲です。

 

ですが、
『サウンド・オブ・サイレンス』は、
このサイモン&ガーファンクルの楽曲とは何の関係もありません

 

 

又、
『サウンド・オブ・サイレンス』と言えば、

マイケル・ダグラスが主演した映画もありますが(2001)
それとも全く関係はありません

 

 

 

と、
いう訳で、
本作『サウンド・オブ・サイレンス』です。

監督の3人組は、
「T3」という映画製作ブランドを作り、
イタリアを拠点に数々の短篇ホラー映画を製作、

この程、
英語長篇映画の初作品として制作したのが、
本作なのだそうです。

 

 

エマが実家で体験する恐怖、

ラジオが鳴った時、
ドアベルが鳴ったとき、
携帯電話の着信音が響いた時 etc…

音が鳴った時に限って、
何者かが現れ、迫って来る…!!

 

 

そういう、
ワンシチュエーションのホラー作品です。

 

音に反応して襲って来る「何ものか」との攻防。

近年では、
『ドント・ブリーズ』(2016)や
クワイエット・プレイス』(2018)
などの良作がありますが、

まぁ正直、
それらのエンタメ作品と比べますと、
見劣り感、二番煎じ感は否めません

 

パターンも割と一本調子ですし、
目を覆う残酷描写とかも無いので、
最初は、ちょっとビビるけれども、
慣れたら、まぁ、それほどショッキングでも無いです。

 

2023年は、
アメリカにて脚本家協会と俳優協会の同時ボイコットが起こったので、
今年は、
ハリウッド系作品の、新作映画不足が起こると予想されます。

故に、
ちょっと小粒ではあるけれども、
そこそこの良作

という作品が、
今年は多く公開されると思われます。

 

本作も、
まぁ、そういった括りの作品。

超面白い、という訳では無いけれど、
そこそこの面白さ

といった具合です。

 

とは言え、
私が面白いと思ったのは、
本作のテーマ。

「音を出さない」というホラー要素が、
本作にて描きたいテーマと合致している、
そのシンクロ具合が素晴らしいです。

 

 

小粒な作品ながら、
まぁ、それなりに良作
それが本作『サウンド・オブ・サイレンス』です。

 

 

 

  • 『サウンド・オブ・サイレンス』のポイント

名前が紛らわしい

二番煎じ感はあれども、小粒な良作

DV被害に黙るべからず

 

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 

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  • 音を立てるな?い~や、叫ぶね!!

『サウンド・オブ・サイレンス』は、
有名なサイモン&ガーファンクルの楽曲とは、何にも関係がありません。
ちょっと題名が紛らわしいですね。

そして、
音がなったら亡霊が現れて、迫り来る!!

っていう設定も、
『ドント・ブリーズ』や『クワイエット・プレイス』何かを彷彿とさせて、

ぶっちゃけ、
アイディア的には二番煎じ感が否めません。

 

それでも、
本作には注目すべき点があります。

それは、
ホラー設定である「音を立てるな」という要素が
作品で描いているテーマ「DV被害」という要素と、
見事に合致している、という点です。

 

古いラジオの音声がトリガーとなり、
午後9時半から、
地縛霊の様な怪奇現象が起こり出す。

音が鳴ると、
それに反応して亡霊が迫り来る。

しかし、
割と直ぐ分かるのですが、
女性の霊が「静かに」「彼が来る」と教えてくれるので、

あ、
別の邪悪な存在が現れる事を、
警告しているのだな、と察せられます。

 

で、
先触れの女性霊が警告して
男性霊が襲って来るって流れの作品なのですが、

どういう力学が働いたのか、
途中で、過去のエピソードを開陳してくれるので、
事情が分かります。

どうやら、
女性霊と子供霊は、
男性霊にDV殺害されていたそうです。

 

男性は、
出征した戦争の後遺症で、
「音」が苦手な様子。

それで、妻や娘が日常で発する細かい音ですら不機嫌になり、
特に「お前達の喋り声が気に触る」とハラスメントを繰り返します

妻と娘は気を遣っていましたが、
結局、キレた男に殺されてしまいます。

 

つまり、
本作で、音をたてると男性霊が現れるのは、
「うるさい!」とキレていたからなのですねぇ

ほっとけよ!!
とツッコみたいですが、

男性霊は、
音を立てると女性に暴力を揮いに現れるのです。

 

で、
元妻の女性霊は、
「静かに」と警告してくれるのですが、

実は、
それは間違った対応であるのですね。

 

DVを揮う夫。

戦争のトラウマなのか、
後遺症で音に敏感になったのでしょうが、
人が変わってしまった相手が、
過去と同じ人物とは思わない方がいいのです。

そして、
暴力を揮う相手の主張に唯々諾々と従う事は、
相手をつけあがらせます

暴力を揮う相手には
「ふざけるな」と徹底抗戦の声を上げる

それが、最善の策である。

 

本作で描いているのは、
DV被害に声を上げろというメッセージなのです。

 

確かに本作は、
アイディア的には二番煎じ感があります。

しかし、
「音を立てると襲われる」というホラー設定が
「DV被害」というテーマと繋がり、

逆に
「声を上げて抵抗せよ」というメッセージに辿り着く。

この構成の妙と明確さが素晴らしい作品だと思われます。

 

『サウンド・オブ・サイレンス』、
確かに小粒な作品ですが、

中々、興味深い部分もあるのではないでしょうか。

 

 

 

 

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