映画『マダム・ウェブ』感想  能力は頭脳よりなのに、ずっと脳筋力押し!?

2003年、ニューヨークにて救命救急士として働くキャシー。ある日、救命活動中に水没し、不思議なビジョンを見る。
以来、彼女は、少し先の未来が見えるようになる。生き物の死亡状況が判明する能力を得たのだ。戸惑うキャシーだが、その能力によって「通り魔に殺される未来」が見えた3人の少女を助ける。しかし、ストーカーはしつこく追って来るのだ、、、

 

 

 

 

 

 

監督は、S・J・クラークソン
マーベル系のTVドラマ作品の監督などを手掛けて、
本作にて劇場長篇映画監督デビュー。

 

出演は、
カサンドラ・ウェブ/マダム・ウェブ:ダコタ・ジョンソン
ジュリア・コーンウォール:シドニー・スウィーニー
アーニャ・コラソン:イザベラ・メルセド
マティ・フランクリン:セレステ・オコナー
ベン:アダム・スコット
エゼキエル・シムズ:タハール・ラヒム 他

 

 

 

映画にとって、2分前後で作られる予告編は、
観客を呼び込む重要な要素の一つです。

映画の配給会社は、
如何に魅力的な予告編を作るのか、

それに腐心していることでしょう。

 

良い予告編というものは、
作中の印象的なシーン、台詞、カッコ良い場面を用いながら、
しかし、
実際はどんな映画なのか分からぬという、
ネタバレにも配慮したモノになっています。

つまり、
印象のみで、観客を劇場に運ぶ予告編という訳です。

 

逆に、
私の考える悪い予告編は、
作中のカッコ良いシーンを使ってしまったあまりに、
それが、
映画そのもののダイジェストになってしまっているモノです。

作品ダイジェスト系の予告編は、
名シーンを使っているが故に、
予告編は抜群に面白いですが、

しかし、

実際に劇場で観た時に、
一番面白いシーンを鑑賞前に既に知っている状態にあるので、
本篇そのモノにサプライズが無い、
予告編の時に感じたワクワクが最盛期だったなぁ…
という印象を持ってしまいがちです。

 

例を挙げますと、

予告編で全てネタバレしていた
ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)や、

映画本篇より、
予告編のダイジェストのツギハギの方が面白かった
『リボルバー・リリー』(2023)などがあります。

 

 

さて、本作『マダム・ウェブ』です。

本作は、
初見時の予告編が抜群に面白かったです。

 

 

以下、作品の内容に関わるネタバレとなっております

 

 

 

救急救命士が、
事故で特殊能力に目覚め、
予知能力(らしきもの?)を得る。

電車で通り魔に襲われている少女3人を助ける。

で、
その通り魔が実は、スパイダーマン亜種っぽい感じだった!!

更には、
一見、無関係に思われた少女3人は、
主人公の日常と緩く関係性があるようだ。

それどころか、
実は、その少女3人も、
スパイダーマン亜種だった!?

予知能力で少女3人を守る主人公!!

一体どうなってしまうのか!?

 

 

いや、予告編で全部ネタバレしてるよ!!

 

 

予告編初見時の、
えー何!?
エーそうなの!?
えーマジ!?

っていう反応が、全盛期となるパターンですよ!!

 

予告編が抜群に面白かっただけに、
本篇で失速しないか心配です。

 

更に言うと、
アメリカ本国で先行公開されたのですが、

どうやら、レビューサイトにて、
批評家、観客評価がスーパーヒーロー映画というジャンルにおいて、
最低レベルの酷評だったとの事。

 

大丈夫なのか!?コレ!?

鑑賞前から既に、
地雷のフラグしか立ってないンだが!?

こうなると逆に、
どんな酷い作品なのか、
思いっ切りクサしてやろうと、
楽しみになってきました

 

 

で、実際に観てどうだったのかと言いますと、

まあまあだね。
つまらない訳では無いけれど、
特別面白い!!という程でも無いです。

 

 

本当に、
いつものソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)の映画のレベルだよね
って感じ。

面白さで言えば、
ヴェノム』(2018)とか
モービウス』(2022)とかと、
同じレベルの面白さです。

なので、
上記2作品が好き、面白いと感じた人は、
本作も楽しめるのではないでしょうか。

 

私個人で言えば、
もっと酷い内容を期待(!?)していたので、

普通に鑑賞出来るレベルの作品で、
逆に、ガッカリしました。

 

それなりに派手で見映えはしますが、
ちょっと「ん~!?」って思うところもアリ…

上映時間が1時間56分という、
ギリギリ、2時間超えしない塩梅。

大して期待せずに行って、
ポップコーンでも食べながら、
リラックスして観るのに丁度良い作品となっております。

サスペンス、スリラータッチに見せかけて、
内容も、それ程、複雑ではないので、
途中でトイレに行っても安心です。

 

面白い!!とは言えないけれど、
つまらない訳では無い。

ちゃんと作ってはいますが、
何とも言えない感じ、
それが『マダム・ウェブ』です。

 

 

 

  • 『マダム・ウェブ』のポイント

予告編で全部ネタバレ

期待せずに観ると、それなりに派手で見映えはする

設定、能力の面白さを、内容に活かしきれていない

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

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  • 予知能力をどう描くか

先行公開されたアメリカのレビューサイトにて、
最低レベルの酷評をされた『マダム・ウェブ』。

故に、事前に身構えて(期待して)鑑賞した本作ですが、

実際は、
まぁ、いつもの「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の面白さレベル。

つまり、
良くも無いけれど、悪くも無いという感じ。

特別に興味が無いのなら、
観なくてもいい作品と言えます。

 

まぁぶっちゃけ、
予告篇の初見時が、
一番面白かったというパターンです。

恐らく、
海外で酷評されたのは、
予告篇時点のネタバレが酷く、
本篇にサプライズが無いので、
それで、実際の鑑賞時に、期待外れになってしまったからだと思われます。

 

さて、
本作の主人公キャシーこと、
カサンドラ・ウェブの特殊能力は「未来予知」。

少し先の未来の出来事、
作中では主に、
鳩が死んだり、
職場の上司が死んだりする時の様子が、
キャシーに、白昼夢の様な「予習のビジョン」が警告として訪れます

キャシーは、
その「予習のビジョン」が確定された未来では無く、
改変可能である事に気付き、
少女3人を助ける事で、物語が動くという内容です。

 

本作、それなりに面白いですが、
私が思うに、
キャシーの能力の描写が微妙だった思います。

原作は知りませんが、
本作のキャシーは、
未来予知に加え、
時間と空間と跳び越え、
同時多発的に自分の存在を展開出来るというチート能力も発揮します。

 

先ず、未来予知ですが、

本作の描写では、
先ず、ビジョンが見えて、
その後に、実際の出来事が起こるという展開になります。

確かに、
「未来予知」の能力としては、
正しい描写と言えますが、

これを映画で観ると、

「経験を積まないループもの」
みたいなもどかしさがあります。

 

映画や小説などの「ループもの」は、
同じ時間の範囲を何度も繰り返して、

その度に経験を積み、
違った展開になりつつ、
理想の未来を目指し、
且つ、
ループから抜け出す為に奮闘する

という物語となっています。

 

印象的な作品に、
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984)
『ミッション:8ミニッツ』(2011)
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)
ハッピー・デス・デイ』(2017)
『コンティニュー』(2020)

などがあり、
いずれも、アイディア、内容が面白いです。

 

本作の「未来予知」も、
未来が分かり、
その未来を変える為に奮闘するという描写が、

ループものと共通しますが、

しかし、
本作は、そのループが一度きりのものなので、
困難や危機に際し、
経験を積んだ考えの元での行動と言うより
雑な、アドリブで対処するばかりで、
面白味が薄いという点があるのです。

 

実際に言うなら、
エゼキエルが襲って来たとき、
ほぼほぼ、
壁をぶち破って、車でドーン!!みたいな対処をします。

確かに、
スパイダーマン的な身体能力を持つものに、
白兵戦で挑むと敗北をする事が確実ですが、

もっと、
未来予知を駆使した戦闘スタイル、戦法、戦略の
頭脳プレイが観たかったです。

「力」に対して「力押し」で対処するより、
「知力」で対応して欲しかったですね。

 

作中の描写で言うと、
救急車の天井に飛び乗るエゼキエルに、
充電したAEDの電撃を合わせるという対処法が面白かったです。

力押しばかりでは無く、
もっと、こういう感じの描写が多かったら、
本作は、違った印象になったのではないでしょうか。

 

また、この力押しは、
キャシーの覚醒した特殊能力「時間と空間を超えた同時多発展開」にも共通しており、

何か、チート能力が開化したので、
取り敢えず、勝てた、みたいな印象。

能力が頭脳プレイよりなのに、
描写が常に力押しで、

「マーベル初のサスペンス」風に言っていたキャッチフレーズとは
程遠い内容なのが
う~ん、と思いました。

物語の展開は面白いのに、
能力を使う度に、脳みそ筋肉バカになるのはどうかと思います。

 

  • 隠し設定!?

描写のチグハグさに目が行って、
気付かないかもしれませんが、

本作『マダム・ウェブ』の時代設定は、
2003年。

「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」は、
トム・ホランドのスパイダーマンと世界観が共通している、
という設定なので、
大体、今から20年前と言えます。

 

で、
気付きましたでしょうか?

キャシーの同僚の名前が「ベン」であった事に。

そして、
作中、やたらと、
「伯父」である事を擦っていた事に、
恋人の存在を描写していた事に。

 

どうやらこれって、
「ベンおじさん」つまり、
スパイダーマン=ピーター・パーカーの育ての親であるらしいのです。

ベンに出来た恋人の名前も、
メイだそうなので、
ほぼ、確定でしょう。

作中、
ベンの妹の赤ちゃんの名前当てクイズのシーンがありましたが、
勘の良い人なら、その答えは「ピーター」だと当てる事が出来て
キャシーがし損ねた「未来予知」を実行出来るという
仕掛けもありました。

 

なのでつまり、
もし「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」がこのまま続いて行くならば、

成長した少女3人の「スパイダーマン亜種」が、

もしかしたら、
トム・ホランドのスパイダーマンや、
トム・ハーディのヴェノムなどと、絡む場面も、
今後描写されるかもしれません。

まぁ、本作は、
本国で批評、興行収入的にシブくなりそうなので、
お蔵入りになる展開かもしれませんが…

 

 

 

確かに、特別に面白い作品ではありませんが、

まぁ、
事前に期待さえしていなかったら、

それなりに楽しい作品『マダム・ウェブ』。

作り自体はしっかりとして、
真面目な感じなので、
ツッコみで貶すのもためらわれるという、

良くも無いけれど、
悪くも無いという中途半端さが、
評価を落としているのかもしれませんね。

 

 

 

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