映画『ハッピー・デス・デイ』感想  誕生日プレゼントが「死」!?嫌なモノ程、沢山貰える!!

パーティーの翌日、見知らぬ男子の寮の部屋で目が醒めた大学生のツリー。最悪の誕生日の目覚めだが、それより最悪なのは、ツリーの態度。部屋の男子には冷たい態度、父の電話はシカト、道行く学生には悪態を吐き、ルームメイトにはつれない態度、教授とは不倫関係という極めつきぶり。そんな今日も、パーティーに出かけるが、道すがら、「ベビーマスク」を被った通り魔に殺されてしまう。…そして、気付くと、また誕生日の朝だった、、、

 

 

 

 

監督はクリストファー・B・ランドン
「パラノーマル・アクティビティ」シリーズにて、
多数の脚本を手掛ける。
監督作に
『パラノーマル・アクティビティ/呪いの印』(2014)がある。

 

出演は、
ツリー:ジェシカ・ローテ
カーター:イズラエル・ブルサード 他

 

 

ニンテンドースイッチにて、
『スーパーマリオメーカー2』が発売されましたね。

マリオと言えば、
一機増えた時、
何て言いますか?

私は「ワンナップ」と言っていましたが、
人によっては、
「一機アップ」という人もいましたよね。

 

思えばマリオは、
死んでも、死んでも、

クリボーにぶつかったり、
ドッスンに潰されたり、
谷間の虚空に落ちていったり、、、

何度も、何度も復活して、
ステージクリアを目指しているんですよね。

そう考えると、
何だか、泣けてきます。

 

そう、
本作『ハッピー・デス・デイ』の主人公、
ツリーは、まるで、マリオ

何度も死んじゃう!
でも生き返る!!

 

そんな話なのです。

 

18日の月曜日、
再び、見知らぬ男子の寮の部屋(名前はカーターと判明)にて、
誕生日の朝に目覚めたツリー。

不思議な感覚だ、
デジャヴだ、
と思いつつも一日を過ごす。

そして、
前回(?)通り魔に襲われた道を避け、パーティー会場へ向かう。

だが、
パーティーにて男子とハメを外していたら、
再びベビーマスクが登場、

男子諸共、ツリーは殺されてしまう、、、

…が、三度、ツリーは18日の月曜日、
自分の誕生日の朝、カーターの寮の部屋にて目覚めてしまう、、、

 

 

そうです、
本作は、

お前ら好きだろ!?
ループもの!!

 

そういった、製作者の声が聞こえてきそうな作品です。

 

誕生日、スラッシャー(殺人鬼)に殺される人間が、
何度もその日をループする。

 

このワンアイディアだけで、
ぶっちゃけ、本作は面白いのです。

 

さて、
この「ループ」というSF要素、

殺人鬼と相対するという、ホラー要素、

本作はどっちが強いのかというと、

ぶっちゃけ、

ブラックコメディ的な印象の作品です。

 

なので、
厳密に、
「どうやって、ループを抜け出すのか?」
「ループが始まった因果関係とは何か?」

みたいな、
ミステリ要素を期待したら、
それは、肩透かしに終わってしまいます。

あくまで、ノリ重視

そう、
ホラーとミステリの融合した作品を目指す三津田信三も、

その作品『怪談のテープ起こし』にて、
「ミステリなら説明が必要だが、ホラーなら曖昧なオチでも問題無い」
と言っています。

 

まぁ、本作は、
曖昧というより、ノリで最後まで駆け抜けたという印象。

なので、

ジェシカ・ローテの演じる、
「ツリー」というキャラクターを如何に楽しめるか、

 

それが、本作の評価に、
最も大きく関わって来ると思います。

 

正に、
ワンアイディアのみで駆け抜ける作品、
『ハッピー・デス・デイ』。

これぞ、
正統な、B級風味のホラー映画なのです。

 


 

  • 『ハッピー・デス・デイ』のポイント

死んで終わる誕生日の無限ループ、というアイディアの面白さ

主人公ツリーのはっちゃけぶり

死んで覚えて攻略するタイプ

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


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  • ループもの

ループものを扱った映画の名作として、
『ミッション:8ミニッツ』(2011)が挙げられます。

「ミッション~」は、8分という短い時間がループし、

その時間内で、
謎を解決するという、
SFとミステリを組み合わせたスリリングな名作でした。

 

では、
本作『ハッピー・デス・デイ』はどうでしょう?

確かに、
同じ日(時間)を繰り返すという「ループ」という概念、アイディアはSFのもの。

しかし、
本作を「SF」というには、
少し、語弊が生じます。

何故なら、結論から言うと、
本作は、
「ループもの」の作品が持つ、
SFやミステリ要素を、敢えて捨て去った作りになっているからです。

 

では本作は、
どんな「ループもの」なのか?

一見、スラッシャー(殺人鬼)ホラー、

しかして、その実態は、
ブラックコメディと言える作品なのです。

 

  • ツリーというキャラクター性

「ループもの」でありながら、
本作が、
SFミステリでは無く、
ホラー的なブラックコメディである所以、

それは、
主人公であるツリーのキャラクター性に拠っています。

 

ループの最初の誕生日、
観客はそこで、ツリーがどういう人物なのかを理解します。

ツリーは、

性格が悪く、
口が汚く、
態度も目に余る、

それでいて、
容姿と体は最高という、

正に「ビッチ・パーフェクト」と言える存在。

良く言えば、
残念美人、

率直に言えば、
腐れヤリマンのクソビッチです。

 

普通、ホラーに限らず、
SFでも、アクションでも、ヒューマンドラマでも、

映画において観客は、
主人公に感情移入しがちです。

しかし、本作は違います。

ツリーが、
度を超してビッチでガキなので、
ちょっと、あまり、好きになれない。
(勿論、ツリーみたいな人がタイプの方も居るでしょうが、それは置いておきます)

なのでむしろ、

ツリーがスラッシャー(殺人鬼)である「ベビーマスク」に殺される場面で、
なんとなく、溜飲が下がるというか、

「ビッチをよくぞ殺った!」と、快哉を叫ぶのです。

 

しかも、
ループする度に、ツリーが悪あがきするので状況が変化し、
同じ事が起こりません。

つまり、
殺されるバリエーションが多彩なのです。

刺殺、
撲殺、
溺死、
爆死、
絞殺、
毒殺 etc…

その度に、
ツリーは叫んだり、唸ったり、喚いたり、、、

本来、ループものなら、
謎解きに焦点が当たりそうなものですが、

本作はむしろ、
今度は、どんな死に方をするの?

という事が楽しみになってきちゃうんですよね。

 

私が笑ったのは、
ツリーが心を入れ替えた「ループ」の回。

人に親切にしつつ、
今までの自分を悔い改めているのですが、

その時、
「今日を生き延びたら、カートの子供を産む」
という台詞がありました。

心を入れ替えても、
本質は変わっていないから、
台詞の質がビッチなままなのが最高に笑えます。

 

それによォーッ。

プロシュート兄貴も言ってただろうがよォーッ。

「ぶっ殺したはいいけれど、ぶっ殺すは駄目だ」と。

つまり、
「完了形や終止形はいいけれど、未然形や仮定形は駄目」なんだよなぁ。

「~~~したら###する」という台詞は、
死亡フラグだって、
お婆ちゃんに習わなかったのかい!?

死を回避しようとしつつ、
自ら、死亡フラグを立てるという間抜けぶり、
ツリーは本当に、凄いです。

 

世の中、
ツリーみたいに、
美人でありながら、それを鼻にかけているビッチに、

皮肉を言われたり、罵倒されたり、虚仮にされたり、

そういう経験が一度や二度は下らないでしょう。

その復讐を晴らすかの如く、
ツリーが徹底的にブチ殺される。

それが、人間の暗い欲望というか、
心の中の憤懣を晴らすというか、

そういう、
ホラー作品の持つ、
負の癒やし効果が、本作には前面に押し出されているのです。

 

それは、
ツリーという存在が、

ビッチであり、
それでいてタフなので、

応援しつつも、
どんな死に方するの?
という点が面白く観られるのですね。

このキャラクター性を作った事が、
本作の最大の功績だと思われます。

 

  • 人は、ループにどれだけ耐えられるのか?

作中、
カートがツリーに助言します。

「何度も死ねるなら、無限の命という事」
「それなら何度も死んで、犯人を探せば良い」

ツリーは、
そのカートの助言に従って犯人捜しをしますが、

しかし、
ちょっと、お馬鹿なタイプのツリーは、
犯人捜しが捗らず、
逆に、様々な殺され方をするという始末。

結局、
何度も死んで「ループ」をクリアするのですが、

それはまるで、
ファミコン時代の昔のゲームを、

何度も、死に(ゲームオーバーし)ながら、
選択肢を総当たり的に潰しつつ前に進む感じ

それこそ、
『スーパーマリオブラザーズ』のマリオ並の
鋼のメンタルでゴリ押しクリアするのが、笑えます。

 

しかし、
マリオにも「残機」があるように、

ツリーも前回殺されたダメージが翌日に残っており、
「永遠に死ねる」という訳では無いのですね。

それはあたかも、
マリオが死んでも直接のダメージはありませんが、

それを操るプレーヤーの精神には、
着実にダメージが残っている、

それと似ている状況だとも言えます。

 

さて、カートは「何度も死ねばいい」とは言いましたが、
実際、人は、同じ日を繰り返す場合、
何ループくらいまで耐えられるのでしょうか?

 

ちょっと考えると、
何度もループ出来るという事は、
死ぬ事さえ気にしなければ、

勉強も、恋愛も、金銭も稼ぎ放題、
何でも好きな事が出来る、
と、思いがちです。

しかし、
実際は3日で飽きると、私は思います。

 

かつて、
これまた、ループものを扱った作品に、
小説の「涼宮ハルヒ」シリーズを原作にした、

アニメの「エンドレスエイト」という話がありました。

「エンドレスエイト」は、
終わらない夏休みの日々を何度も繰り返すというループもの。

それを、
何とアニメでは「8回」も繰り返したのです。

同じ話を8回もですよ!
2ヶ月、同じ話を観続けたんですよ。

ぶっちゃけ、
頭、おかしくなりそうでしたね、ええ。

この「エンドレスエイト」は、
歴史に残る、実験的な作品である事は間違い無いですが、

その一方で、
「涼宮ハルヒ」というコンテンツを終わらせた戦犯である事もまた、
間違い無いです。

 

この「エンドレスエイト」を、
何とか観続けるられたのが、
私の場合「3回目」までが限度でした

「4回目」以上は、
気合いを入れず、
心ここにあらずな感じで観てましたよ。

 

翻って、本作。

自分が、今日死ぬと分かっているなら、
絶対に、呑気には過ごせません。

一日中、イライラ、ハラハラ、し続けると思われます。

勿論、それは個人の性格にもよりますが、
あなたはどうでしょう?

 

 

 

 

ループものの多くは、
SF、ミステリ的な展開になりがちです。

しかし、
本作は、そういう、

例えば、
誰が、ツリーの着メロを設定したのか?とか、
そもそも、何故ループが始まったのか?とか、
ループ終了の条件は、一日生き残る事?それとも、犯人を殺す事?
なのかもハッキリしません。

 

むしろ、
ビッチが、派手、且つ、バリエーション豊かに殺されつつ、
それでも、
タフに困難を乗り越えようとする、

そういう、ツリー自身のキャラクター性により、

本作『ハッピー・デス・デイ』は、
スラッシャーホラー的な要素がありながら、
その本筋は、ブラックコメディであるという作品なのです。

 

ワンアイディアを提示し、
それを、的確に表現しきった。

それが、
本作が面白い理由なのです。

 

 

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