レジスタンスは辛くも生き延び、カイロ・レンはファースト・オーダーの最高指導者の地位に登り詰めた。
そんな状況の下、シスの暗黒皇帝パルパティーン復活の噂が流れる。
レジスタンスは、その情報に驚愕し、
そしてカイロ・レンも、過去の遺物が自分の覇道の邪魔となるのを、良しとしなかった、、、
監督は、J.J.エイブラムス。
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)を監督し、
本作にて再び監督となる。
スター・ウォーズの新三部作(7、8、9)の製作を担う。
他の監督作に、
『M:i:Ⅲ』(2006)
『スター・トレック』(2009)
『SUPER8/スーパーエイト』(2011)
『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(2013)がある。
出演は、
レイ:デイジー・リドリー
カイロ・レン:アダム・ドライバー
フィン:ジョン・ボイエガ
ポー・ダメロン:オスカー・アイザック
チューバッカ:ヨーナス・スオタモ
C-3PO:アンソニー・ダニエルズ
ランド・カルリジアン:ビリー・ディー・ウィリアムズ
ハックス将軍:ドーナル・グリーソン
プライド将軍:リチャード・E・グラント
???:イアン・マクダーミド
レイア・オーガナ:キャリー・フィッシャー
ルーク・スカイウォーカー:マーク・ハミル 他
ディズニー製作、
J.J.エイブラムスのプロデュースの下、
新たに作られた、
「レイ」を中心とした新三部作である、
「スター・ウォーズ」のシリーズ。
その完結篇となる、
エピソード9『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、
スカイウォーカー・サーガの終結を宣言しています。
多くのスター・ウォーズファンは勿論、
映画ファンも、その動向を固唾を呑んで見守るシリーズ。
直接の前作である、
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)は、
その暗い雰囲気と、
シリーズの伝統を破壊するかの様な思い切った展開など、
数々のチャレンジを行ったが故に、
旧来のファンからは、
苦言を呈される事も多かったです。
では、本作では、どうなのか?
というと、
「スター・ウォーズ」ファンを意図して、
これが観たかったんでしょ?
という「画」「展開」を心掛けています。
正に、
ファンが、ファン向けに作ったファンムービー的な内容。
ディズニー主導が気に入らなくとも、
J.J.エイブラムスが好きでなくとも、
ジョージ・ルーカスがノータッチでも、
「スター・ウォーズ」シリーズのファンであればあるほど、
本作を批判する事は難しいでしょう。
スター・ウォーズとは、
畢竟、
善と悪の戦いの物語です。
その中でも、
「戦争」という、大きな政治と思想と武力の争いを描きつつ、
そんな「大きな争い」を、
「個」で左右させる程の力を持つ人間であっても、
過去や感情や、その場の恣意的な状況で、
その心が善と悪の狭間で揺れる、
そういった、
個人の選択の物語をも、絡めている作品であるのです。
本作は、
そんな「スター・ウォーズ」の真髄を、
的確に捉えています。
スター・ウォーズ4~6のラストで描かれ、
1~3のラストでも描かれた、
人間の選択の物語が、
本作、
7~9の掉尾を飾る本作でも、
テーマとして描かれているのです。
「スター・ウォーズ」で、繰り返し描かれてきたテーマで、
物語の完結を迎える。
まぁ、
ある意味、ワンパターン、また、この展開か、
と、悪口も言えますが、
しかし、
これこそ、「スター・ウォーズ」的な、
安心、安全、安定の展開だとも、確かに言えるのです。
本作だけを観ても、
「画」の格好良さ、
アクションの派手さで、
誰でも楽しめるのは確かです。
しかし、
やっぱり、スター・ウォーズシリーズってのは、
前の作品を全部観ている人ほど、
比例的に面白さが積み上がっているシリーズ作品です。
そういう意味で、
「全てのシリーズの完結篇である」
という製作者側のアナウンスは、
言い換えると、
「過去作を知っている程、楽しめるネタを盛ってます」
という意味でもあります。
つまり、
「スター・ウォーズ」ファンがやりがちな、
「あんまり良くシリーズを知らない普通の人に、作品の魅力や設定を熱く語って引かれる」
というマウント行為も、
本作は十二分に楽しめます。
我々は、映画鑑賞においては、
与えられたモノを、受け入れるしかない。
ならば、全力で楽しむべし。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、
楽しめる余地の多い作品と言えます。
-
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のポイント
カッコ良い、画とアクション
善と悪を巡る、葛藤と選択の物語
小ネタや設定を楽しむべし
以下、内容に触れた感想となっております
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-
ローズぇ…
前作、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)では、
ケリー・マリン・トラン演じるローズ・ティコが獅子奮迅の大活躍を見せていました。
ぶっちゃけ、
「~最後のジェダイ」では、
主役はローズと言える程の出ずっぱり。
その様子はまるで、
数年前の剛力彩芽さんみたいな、
ゴリゴリのゴリ押しぶり。
映画の人種の多様性が叫ばれる昨今、
アジア系で、女性であるローズを活躍させれば、
その方面も黙るしかないでしょ?
と、言わんばかりでした。
初見時、
私は嫌な予感がしました。
かつて、
エピソード1『スター・ウォーズ/ファントム・メナス』(1999)にて、
当時珍しかった、
「実写映画でのフルCGキャラ」であったジャー・ジャー・ビンクスをゴリ押しした為に、
一部の声の大きいファンからの批判が巻き起こりました。
「最後のジェダイ」のローズも同様、
今回は、更に悪い事に、
演じたケリー・マリン・トラン自身を攻撃する発言も、
SNSなどで見られました。
時は流れ、現在。
かつて、ゴリ押された剛力彩芽さんも、
前澤友作氏の情婦として、手垢が付いた為に、
現在は、干された感じになっています。
同様に、
ローズ・ティコも、
かつてのジャー・ジャー・ビンクスと同じように、
テキトーに、
場面毎で、説明台詞を言うだけの便利モブキャラへと格下げされてしまいました。
こうなる事は、
恐らく、前作を観た殆どのスター・ウォーズファンが察していた事であり、
その予想が当たった事が、
逆に、ちょっと哀しく思うのは、私だけでしょうか?
-
善と悪の、葛藤と選択の物語
「スター・ウォーズ」シリーズでは、
そのシリーズ毎のクライマックスにて、
一方で戦争という大きな戦いを描きつつも、
その一方で、
ジェダイ(善)とシス(悪)の葛藤、
それが、
個人の中で繰り広げられるという物語を描いて居ます。
以下、内容に触れた、深刻なネタバレありの説明となっております
「4~5」では、
ルークは、ダース・シディアス(パルパティーン)の誘惑を退け、
父(ダース・ベイダー)の善の心(アナキン・スカイウォーカー)に訴える事で、
勝利を手にします。
一方、
「1~3」では、
アナキンは、死んだアミダラへの未練を断ち切れず、
狡猾なパルパティーンの誘惑に逆らえられずに、
愛を逆に利用されて、暗黒面へと堕ちてしまい、
敗北してしまいます。
今回のシリーズ「6~9」も、その展開を踏襲し、
レイが、暗黒面に堕ちるのか?
ジェダイとしての正義の心を保てるのか?
その、個人の葛藤が、クライマックスとして描かれる事になるのです。
さて、
そのクライマックスシーン。
巧妙に、
過去のシリーズのクライマックスを絡めたものとなっているのが、
ファンに取っては嬉しいというか、
「こうきたか」と唸る所。
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』公開時、
私は、
「修行無しに、レイが強いのはおかしい」という事を語っていました。
しかし、
レイが強いのには、血統的な理由がありました。
かつて、アナキンの息子であるルークが、
素晴らしい潜在能力を秘めていたのと同様、
レイは、
パルパティーンの孫であるという、チート設定があったのです。
そして、パルパティーンは、
まるで、ゲーム「ストリートファイター」シリーズのベガの様に、
自分が滅んだ後に、
自分の意思を受け継ぐ(転化させる)代替ボディとして、
レイを用意していたのです。
自分の出自(悪)と、
修行で獲得した性質(善)との間で悩むレイ。
その彼女に追い打ちをかけるように、
ファイナル・オーダーの艦隊に対して旗色が悪いレジスタンスを生き延びさせるには、
私を受け入れるしかないと、
パルパティーンは、レイを誘惑するのです。
これは、
「4~6」でルークを誘惑した時も、
「1~3」でアナキンを誘惑した時とも同様、
「愛する人を救うため」という大義名分を掲げ、
それを逆に利用する事で、相手を暗黒面に引き込もうとする手段です。
「4~6」はレイア、
「1~3」はアミダラを使って、
パルパティーンは揺さぶりをかけていました。
そのレイを救うのは、
カイロ・レンとして死に、
スカイウォーカーの系譜として復活した、ベン・ソロ。
彼は、レイにフォースを分け与えられて復活した時、
顔の傷痕が治っている、
つまり、過去のトラウマが清算されているのが解ります。
かつて、暗黒面に堕ちたベイダーの心から、
アナキンというジェダイを導き出す事で勝利したルーク。
同じく、
レイは、暗黒面に堕ちたカイロ・レンを死なせなかった事で、
ベン・ソロというジェダイを復活させ、
彼の助力の下、勝利、生存します。
副題の「rise of Skywalker」は、コレにかかっていますね。
そして、本作では、
レイとカイロ・レンという二人が、
正と悪の間で葛藤するという様子に、
正義の勝利と
悪の敗北が、二重に描かれる事になるのです。
繰り返しの物語が、
二重のループで幕を閉じる。
一方は死に、
一方は生き残りましたが、
ラストシーン、
砂の惑星タトゥイーンに昇る、
二つの太陽の様に、
レイとベンは、二人のジェダイとして、存在したのです。
戦いは終わり、
二対のライトセイバーは砂に沈め封印すれども、
あなたは誰?と老女に問われたレイは、
私は「スカイウォーカー」だと、答えます。
昇る太陽の様に、
スカイウォーカーとして生きる事を選んだ、
かつて、
アナキンや、
ルークが過ごした同じ場所で。
このラストシーンも、
副題の「rise of Skywalker」にかかっているのですね。
-
フォースと共にあらんことを
作中、
レイアの教えでジェダイの修行に勤しむレイは、
「Be with me」(でしたっけ?)
日本語では「一緒に」と唱えます。
これは、
ジェダイの魂は、死しても尚、
共にあるという事を、レイアから教わっている場面です。
何故、レイアがレイを鍛える事が出来るのかと言うと、
実は、
ルークは、レイアもジェダイとして鍛えていたからと、
今回判明します。
さて、
これまた、クライマックスシーン、
過去のジェダイの声が、
レイに届き、導く場面があります。
しかし、
声だけでは、誰が誰だか解らない!!
ぶっちゃけ、
ヨーダの声しか聞き取れませんでした。
ルークとレイアの声は、中に居たようですが、
他に、誰がいたのでしょうか?
スタッフロールに、
リーアム・ニーソンの名前を見つけました。
リーアム・ニーソンは、
『スター・ウォーズ/ファントム・メナス』にて、
アナキンを見出すジェダイ、クワイ・ガン・ジンの役で出演していました。
つまり、
彼も声のみで、出演していたという事。
ならば恐らく、
オビ・ワン・ケノービ役の、
ユアン・マクレガーも居たと思われます。
私は、
ルーク、レイア、ヨーダ、クワイ・ガン・ジン、オビ・ワンだと思うのですが、
どうでしょうか?
因みに、
パルパティーン/ダース・シディアス役は、
「1~3」「6」でも演じた、イアン・マクダーミドです。
こういう昔のキャストの勢揃いというのも、
ファンには嬉しい所ですね。
公開前は、
不安や不満が数あれど、
いざ、公開されたならば、
手堅い作りで、
ファン向けに、ちゃんと作られていた『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』。
物語は、これで終わりですが、
しかし、まだ、積み残しの問題もあります。
例えば、ラストシーンで唐突に出て来た、
「黄色い光のライトセイバー」は何なのか?とか、
「7、8」に出演した、
ファースト・オーダーの兵士長、キャプテン・ファズマはどうなったのか?とか、
ライトセイバーを使えたフィンは、
結局、フォースを使えるのか?とか、
アクバー提督、前作で死んだやん、
と、思ったら、
本作で出てたのは、息子だったとか、
色々、ツッコみが満載なのです。
どうやら、
「スター・ウォーズ」シリーズは、
今後も作られて行くという事なので、
そのいくつかは、
判明するかもしれません。
しかし、ひとまず、
「サーガ」は終了。
次回作を期待しつつも、
物語の、とりあえずの終了を称えたいと思います。
*前作、エピソード8『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』について語ったページはコチラ。
*現在公開中の新作映画作品をコチラのページで紹介しています。
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