映画『野生の呼び声』(2020年版)感想  イヌヌワン!!今こそ、心よ、原始に戻れ!!

カリフォルニア州に住むミラー判事のやんちゃな飼い犬、バックはイタズラ大好き。皆に愛されて暮らしていたが、その体格を見込まれ、さらわれて売られてしまった。
見知らぬ場所で目が醒めたバックは、犬買いに襲いかかるも、敢え無く棍棒で返り討ちに遭う。そして、辿り着いた地は、酷寒の北の地、カナダのユーコン準州だった、、、

 

 

 

 

 

監督は、クリス・サンダース
監督作に、
『リロ・アンド・スティッチ』(2002)
『ヒックとドラゴン』(2010)等がある。

 

原作は、ジャック・ロンドンの『野生の呼び声』(『荒野の呼び声』とも言われる)。

 

出演は、
バック:CG

ジョン・ソーントン:ハリソン・フォード

ミラー判事:ブラッドリー・ウィットフォード
ペロー:オマール・シー
フランソワーズ:キャラ・ジー

ハル:ダン・スティーヴンス
マーセデス:カレン・ギラン 他

 

 

 

『野生の呼び声』。
原題は、『The Call of the Wild』。

何とも、ワイルドな題名です。

ジャック・ロンドンの同名原作小説は、
どうやら人気の作品の様で、

何と、過去、5回も映画化されています。
つまり、今回は、6度目の映画化

アメリカン・スピリッツに訴える作品という事でしょうか?

 

とは言え私は、
原作小説も、過去の映画化作品も観ていないので、
まったくの初見として、
本作の感想を書いてみようと思います。

 

さて、
本作の予告篇を観た所では、

どうやら、「犬推し」の作品なのかな?
と、思わせます。

とは言え、
出演者を見ると、ハリソン・フォードの名前が。

ははぁ、
この手の作品は、
「犬推し」の予告で犬好きを釣って、
実際は、オッサンのシブい人間ドラマを見せるという作品なのだな、
と、理解しました。

そして、実際に観た感想は、

完全に、「犬推し」作品じゃん!!

 

確かにハリソン・フォードは重要な役で出演しますが、
あくまでも、主役は犬の「バック」なのです。

 

「え?それ、本当?」と、思う事でしょう。

先ず以てして、
映画にて子供と動物を出すのは、
ファミリー受けするという要因ですが、

その反面、
子供と動物は、
コントロールが効かない故に、
映画が失敗するとも言われています。

犬を主役にして、演技が出来るの?

そうとも、思うでしょう。

しかし、
問題ナッシング。

本作に出演する犬達は、フルCG。

 

犬なので、喋ったりはしませんが、

不自然にならない程度の表情と、
目の演技にて、
感情が、観客にちゃんと伝わります。

本物の犬を使わないのは、
少々さみしい気もしますが、

CGを使えば動物虐待にもならず、
安定した作品作りも可能になります。

ここ数年で飛躍的に進歩した、
動物のCG表現を、
本作でもこれでもかと見せつけられる事になります。

 

そんな本作は、
犬のバックの人生(犬だから犬生)波瀾万丈ぶりを描いております。

何不自由無い環境から、
拉致られて、
犬ぞりの一員として強制労働させられるバック。

そんな彼の犬生を観るに、
ふと、
観客は気付くでしょう。

ああ、コイツは、私なんだ、と。

 

 

確かに本作は、
動物を主人公にした寓話と言えます。

しかし、
その本質は全くの作り物では無く、

バックの流転ぶりは、
日々苦悩する、我々人間の人生そのものと重なる所があります。

 

それに気付ければ、

バックを呼ぶ、「野生の声」を、
我々も聞けるのかもしれません。

心が原始に還る映画、
それが『野生の呼び声』なのです。

 

 

  • 『野生の呼び声』のポイント

ワンチャン可愛い♡

流転する状況に対応せよ

野生の呼び声に耳を傾けよ

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 


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  • 心よ原始に戻れ

『野生の呼び声』、
その原作は、ジャック・ロンドンの中篇小説。

今回が6回目の映画化という事で、
アメリカにおいて、
長く、親しまれている作品であろうと窺われます。

 

そんな本作、
犬のバックを主人公として、
文明批判を行う作品なのかな?と、
一見、思いがちです。

しかし、
そうではありません。

本作の犬生で描かれるのは、
人生とは、流転するものであり、ままならないものだという事です。

 

何不自由無い環境から、
拉致られて、
犬ぞりの一員として、強制労働させられる日々。

しかし、
犬の運命共同体、
即ち「ワンチーム」としてのやり甲斐を感じ、
バックは、その置かれた状況でベストを尽くします

 

元から居た、横暴なスピッツに代わってリーダーに取って替わり、
責任と仕事を全うしたり、

そうかと思えば、
無理難題を押し付ける、
新しい「飼い主」であるハルには反抗して見せたりします。

 

何かに帰属し、労働力を奉仕するという事は、奴隷という事。

しかし、
奴隷にも、一抹の矜持が必要なのだと、バックの姿から分かります。

奴隷労働に、何の疑問も無く従事するなら、
それは、
犬ソリの仲間のその後の消息が不明だった事(おそらく、氷解した川に落ちたと思われます)からして、
破滅を意味するのです。

 

人の命令を聞く、
大きいものにもたれかかり、従事する。

それは、
何も考えなくても良いし、

自分の矜持を捧げる事で、
安心と安全を買っているとも言えます。

バックも、
心優しいジョン・ソーントンには、
忠実に仕えています。

 

とは言え、
本作で印象的なのは、

何かに仕える、
それは、
何かに拘るという事であり、

その「拘り」は、
身を滅ぼすと描かれている事です。

ジョン・ソーントンは、
息子を喪った哀しみに囚われており、

ハルは、
黄金という物欲に囚われています。

その最期は、対象的なれど、
二人は、劇中で退場する事となります。

 

何かに囚われ、帰属するという事は、
最期は、破滅と言うか、不本意な死に至ります。

どんなに主人を愛しても、
いつか、独立不羈、
自らの意思で立ち、
自分が、自分の主人となる事を選択せねばなりません。

しかし、バックの様に、
そうしたくても、出来ない状況、状態、時機だったりします。

それでも、
雌伏の時を越えて手に入れる自由、
それこそが、本作で言う所の「野生」であり、

生き物が本来持っている、
生への希求なのだと、

本作は訴えているのです。

 

 

 

本作『野生の呼び声』は、

単に、
ワンチャン可愛い♡で済ます事も出来ます。

しかし、
本来、生き物が持っている、
「自由」という、生の大冒険に挑む事、

それこそが、
「野生の呼び声」に耳を傾ける事なのだと、

本作を観て、私は感じました。

 

帰属意識と義務と責任、我々は普段、イヌとして生きていますが
いつかは独立不羈、自らを主人として生きねばと思わせる作品です
バックの様に、

我々も、自分の意思で立って生きたいものですね。

 

 

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