映画『トップガン マーヴェリック』感想  俺ツエー映画の最終形態!!これがトム・クルーズの集大成だ!!

昇進も引退も拒み、未だ第一線のパイロットとして活躍しているコールサイン「マーヴェリック」こと、ピート・ミッチェル海軍大佐。
開発中止を言い渡された最新鋭音速機を無理矢理飛行させたことで、懲戒免職を言い渡されると思いきや、送られた先は、青春を過ごした懐かしの「トップガン」であった、、、

 

 

 

 

 

 

監督は、ジョセフ・コシンスキー
監督作に、
『トロン:レガシー』(2010)
『オブリビオン』(2013)
『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017)
『スパイダーヘッド』(2022:予定)がある。

 

出演は、
ピート・ミッチェル海軍大佐/マーヴェリック:トム・クルーズ
ブラッドリー・ブラッドショー海軍大尉/ルースター:マイルズ・テーラー
ペニー・ベンジャミン:ジェニファー・コネリー
ボー・シンプソン海軍中佐/サイクロン:ジョン・ハム
ソロモン・ベイツ海軍少将/ウォーロック:チャールズ・パーネル
ジェイク・セレシン海軍大尉/ハングマン:グレン・パウエル
ナターシャ・トレース海軍大尉/フェニックス:モニカ・バルバロ
ロバート・フロイド海軍大尉/ボブ:ルイス・プルマン
ルーベン・フィッチ海軍大尉/ペイバック:ジェイ・エリス
ミッキー・ガルシア海軍大尉/ファンボーイ:ダニー・ラミレス
ジャヴィ・マチャド海軍大尉/コヨーテ:グレッグ・ターザン・デイヴィス
バーニー・コールマン准尉/ホンド:バシール・シャラフディン

トム・カザンスキー海軍大将/アイスマン:ヴァル・キルマー
チェスター・ケイン海軍少将/ハンマー:エド・ハリス 他

 

 

 

よく、
「キムタクは、何をやってもキムタク」と言われます。

キムタクとは、言わずもがなですが、木村拓哉の事。
彼は、何を演じても、
結局、「キムタク自身」のままで、どれも同じだ、と揶揄される言葉です。

しかし、
海外には、キムタクより、「何をやってもキムタク」な人が居ます。

それが、
トム・クルーズ!!

 

その殆どの映画出演作は、主演。

一貫して、
「俺カッケー」「俺ツエー」映画を量産しています

特に、初めて製作も兼ねた、
『ミッション:インポッシブル』(1996)以降の
「アクション俳優路線」から、その傾向が顕著となっております。

 

…しかし、
それが、面白いからこそ、ぐうの音も出ません。

まぁ、
かく言う私も、
トム・クルーズのファンで、
彼の映画からは、目を離せない始末。

 

そんなトム・クルーズが、
彼のキャリアの出世作となった大ヒット作『トップガン』(1986)の続篇を作った!!

 

さて、そんな本作『トップガン マーヴェリック』ですが、
当初は、2019年に公開の予定だったそです。

それが、2020年に変更になったのですが、
新型コロナウィルスの影響で延期に延期を重ね、

いわゆる、
「コロナの影響で公開延期された映画」群の中で、
最も、公開を後回しにされた大作映画の一つと言えます。

 

つまり、
期待に期待が高まった本作ですが、
そのデキは、如何に!?

 

私は、
公開日朝一の、字幕版を観に行ったのですが、

最近の映画作品の中でも、
結構、好評な客入りでしたね。

で、
肝心の内容ですが、

うん、いつものトム・クルーズ映画!!
しかも、トム・クルーズ映画の集大成!!

 

と言える作品でした。

 

「俺ツエー」「俺カッケー」の説得力、
本作品では、MAXIMUM(マキシマム)!!

 

バイクなどの、乗り物好きで知られるトム・クルーズ。

本作では、戦闘機、
「F/A-18」の実機の中に、IMAXカメラを付け、

しかも、
実際に、役者を乗せて、
戦闘機の中で、「Gフォース」(いわゆる重力)を感じている様子を克明に描写しています。

トム・クルーズは勿論、
出演する、パイロットの役者、全員です。

 

う~ん、凄い!!
マジで、凄い!!

映像の迫力はもとより、
苦悶する表情がリアルというか、
本当に、苦悶しているからこその、
アンリアルな作品を、リアリティで表現するという手法、信念が極まっています

 

でねぇ、
単純に、カッコ良いじゃないですか、
戦闘機って。

元々カッコ良いものを、
映画で、更にカッコ良く描写する、

これはねぇ、
別に、ミリタリー好きじゃなくても、
何か、クルものがありますね、
「カッケー!!!」ってね。

 

しかも、本作は、

ストーリーが王道展開

 

これぞ、ハリウッド映画の面目躍如と言いますか、
少年ジャンプ的と言いますか、

反目からの友情、
努力!
勝利!!

みたいなね。

観ていて、スッキリ、気持ち良い!
古き良き、90年代テイストなノリです。

 

…古き良き、
で、思い出しましたが、

本作は、一応続篇です。

なので、
勿論、前作を観ていた方がより楽しめます

しかし、
前作から年月を経る事、36年!!

新規が前知識無しで観ても、
充分、楽しめる事が出来るように、
色々、配慮が成されています。

まぁ、単純に、
王道展開のアクション映画として楽しめるので、
ご安心を。

 

これぞ、安心・安全、
いつものトム・クルーズ映画、

しかも、
その構成、王道展開のストーリー展開、
前作を活かした伏線など、

もう、
トム・クルーズの集大成と言っていいデキ。

これが、「俺ツエー」映画の最終形態!!
『トップガン マーヴェリック』だ!!

 

 

  • 『トップガン マーヴェリック』のポイント

トム・クルーズの集大成!「俺ツエー」映画の最終形態!?

リアリティに拘った作劇

前作を活かした伏線や設定を、新作としてアップグレード

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 

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  • トム・クルーズ映画の集大成!?俺ツエー映画の最終形態

トム・クルーズと言えば、
キムタク以上に、
いつ観ても、どの作品でも、トム・クルーズです。

「俺ツエー」「俺カッケー」をここまで極めた人も、
珍しいでしょう。

 

しかし、
いつまでも、30代の若さを保っていても、
トム・クルーズも、もう、還暦間近
(1962年7月3日生まれ)

何時か、
今の路線での、主演を演じる事が出来なくなる、

そして、それが近い将来である事を、
彼自身、自覚しているハズです。

 

その証拠に、
本作では「引退」「後進指導」といった、
何となく、
今までのトム・クルーズ映画とは違ったテーマについても、触れられています。

 

先ず、作品冒頭で、
開発中止を言い渡された超音速戦闘機での、
「マッハ10超え」チャレンジの様子が描かれます。

「最早、戦闘機の時代では無い」
「開発費は、ドローンに回す」と、
偉い人に言われ、それに、反発した形です。

 

本作のこの部分、
一体、何時撮影されたのかは分かりませんが、
非情に、タイムリーな話題です。

ウクライナに侵攻したロシア軍が、
ロシアの旗艦である、巡洋艦「モスクワ」を、
ドローンの活躍により、ミサイル撃沈せしめました。

最早、時代は、
人が乗る戦闘機よりも、
リスクも、コストも、戦果も優れたドローン兵器に移行して行くでしょう。

 

そういう意味で、
本作の敵基地破壊作戦に、
戦闘機を導入する事自体がナンセンスであり、

それ故に、本作は、

失われつつあるものに対する、レクイエムというか、
失われる定めにある技術を賛美するファンタジーとも言えるのです。

 

 

戦闘機、爆撃機が花形の交戦は時代遅れ。

そもそも、
本作でメインに描かれる戦闘機「F/A-18」自体が、
最新鋭でありません。

そして、トム・クルーズが、
イケメンの「俺ツエー」「俺カッケー」を演じ続けるのも、
時代遅れ間近。

 

それ故に、本作は、
技術の継承というか、
最近のトム・クルーズ映画では、中々観られなかった、
「不器用な親子関係」なども描かれています。

 

  • マーヴェリックとルースター

本作『トップガン マーヴェリック』は、
前作からの、36年越しの続篇です。

故に、勿論、
前作を知っていたなら、より楽しめます。

 

何か、
私が、前作『トップガン』を観たのは、それこそ、
28年くらい前ですし、

しかも、ちゃんと観ていないので、
記憶もうろ覚えでしたが、

冒頭、
前作のヒットで、日本でも大ヒットした主題歌、
ケニー・ロギンスの『Danger Zone』が流れてくる事で、
錆び付いた記憶が、徐々に、蘇ってきました。

この辺、上手いですよね~。

 

戦闘機乗りだった父の死の葛藤を抱えて「トップガン」入りし、
ライバルとの反目、仲良しの親友、美人との恋などがあり、
親友の死でトラウマを負い、
それを乗り越え、
ライバルと共闘する事で、チームワークの大切さを学ぶ。

前作『トップガン』のあらすじですが、

これは、
本作『トップガン マーヴェリック』でも、
ほぼ、類似のストーリー展開として描かれているのです。

 

しかし、
前作と違う点は、
葛藤するのは、前作の親友、亡くなったグースの息子のルースターであり、

マーヴェリックは、
本作においては、彼を導く役割を負っているという点です。

 

人は、子供が産まれる事で、
初めて、親の気持ちが解ると言います。

それと同様で、
マーヴェリックにとってのルースターは、
彼の息子的なポジションであり、
故に、マーヴェリック自身の過去の、合わせ鏡と言え、

教官となったマーヴェリックは、
その視点にて、過去の自分に出会うという構成なのです。

 

同じテーマを扱いながら、
立場の違いで、別の作品に仕上げる。

前作在りきの伏線というか、
正統な続篇として、粋な構成だと言えます。

 

マーヴェリックは、基本、一匹狼気質ですが、
前作を経て、
チームワークの大切さを学んでいます。

それが、
本作における、アイスマンとの友情であり、

それ故、
本来なら、作戦に最適であるハズのハングマンより、
自分の過去の様に、
出撃に迷いがあるルースターを、
敢えて信じて選抜するのです。

 

相互に信頼する事が、
唯一の勝利の道であると、
マーヴェリックは、知っているからです。

 

  • キャスト成立秘話

さて、
本作『トップガン マーヴェリック』のパンフレットは、
プロダクションノートが充実しています。

そこに書かれていた事で、
面白かったのは、

ハングマンを演じた、グレン・パウエルが
作品に参加した経緯です。

 

グレン・パウエルは当初、
ルースター役を希望していたのですが、
オーディションで落とされました。

代わりに、制作側は、彼をハングマンとして適役だとオファーしますが、
ルースター役を落とされたグレン・パウエルは意気消沈して、
それを断ります。

しかし、トム・クルーズは諦めず、
グレン・パウエルに製作会議の様子を見せたりします。

トム・クルーズは、グレン・パウエルに、
「どんなキャリアを築きたいのか?」と尋ねると、
その返答は、
「あなた(トム)の様なキャリア、役だ」というものでした。

それに対し、トムは言います。
「役で映画に出演する事を決めていない」
「どの様に製作されたか、素晴らしい映画なのか」だと。

ハングマンの気持ちが解らないというグレンに、
トムは、
「その映画の一員になりたいか、考えるんだ」
「君に合わせて、役を作ろう」と提案します。

 

その情熱にほだされたのか、
グレン・パウエルは、結局本作のハングマンを演じていますが、

これは前作で、
ヴァル・キルマーがアイスマンとして出演した経緯とも似ています。

ヴァル・キルマーも当初は
出演を渋っていたらしいです。

 

さて、本作のハングマンは、
実力はありながら、
憎まれ口を叩く自信過剰キャラ。

作戦に選抜されず、バックアップに回されますが、腐らず、
最後のシーンで救援に駆け付け、
窮地を救う役割です。

 

私が、鑑賞中疑問だったのが、
どうやってハングマンは、自分がバックアップであると受け入れたんだろう
という点です。

「嫌なヤツ」キャラが、
「デレる」瞬間が分からなかったのです。

 

しかし、
プロダクションノートを読んで、納得しました。

希望した役を得られず、
しかし、それを受け入れ、バックアップとして課せられた役割を全うする、

この葛藤は、
ハングマンの心情であると同時に、
グレン・パウエル自身が、本作に出演するにあたって思い悩んだ事であるからです。

つまり、
本作のハングマンは、
グレン・パウエル自身に「宛て書き」されている部分もあり、

出演者自身が納得しているからこそ、

その経緯が描かれていなくとも、
作中の役が、それを受け入れているという、

何とも、メタではありますが、
そういう形になっているのです。

 

この辺り、
主演を演じ続け、
数々の映画にて製作も兼ねるトム・クルーズの、

手練手管というか、
人タラシの上手さが垣間見られる、
興味深いエピソードだと思います。

 

 

リアルに乗り物に乗る事に拘るトム・クルーズ、
本作では遂に、戦闘機にまで手を出しました。

残りは、
宇宙船(スペースシャトル)位か!?

確かに、
他人の「俺ツエー」「俺カッケー」映画ではありますが、

それを、誰にでも共感させるというのが、
トム・クルーズ映画の凄い所。

その手練手管の最終形態、
最早、職人芸とも言えるのが、
本作『トップガン マーヴェリック』と言えるのではないでしょうか。

 

 

 

コチラが大ヒットした前作、トム・クルーズの出世作『トップガン』です

 

 

 

 

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