映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』感想  宿主と寄生生物とのバディムービー!?とりあえずアクションを楽しめ!!

スライム状の宇宙生物「シンビオート」、その名は「ヴェノム」に寄生されつつも、その生活に順応しているエディ・ブロック。
ジャーナリストである彼は、獄中の連続殺人犯のクレタス・キャサディのご指名を受け、独占取材をする事になった。クレタスと面会したエディ。しかし彼は、クレタスの意向を無視し、未発見の死体を世に公表、報道してしまい、、、

 

 

 

 

 

 

監督は、アンディ・サーキス
CGキャラのモーションキャプチャ担当として、数多くの作品に出演している。
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのゴラム、
「猿の惑星」シリーズのシーザー、
『キング・コング』(2005)のキング・コング、
『GODZILLA ゴジラ』(2014)のゴジラ 等。
監督作は、
『ブレス しあわせの呼吸』(2017)
『モーグリ:ジャングルの伝説』(2018)等がある。

 

出演は、
エディ・ブロック/ヴェノム:トム・ハーディ
アン・ウェイング:ミシェル・ウィリアムズ
ダン・ルイス:リード・スコット
チェン:ベギー・ルー
パトリック・マリガン刑事:スティーヴン・グレアム

クレタス・キャサディ/カーネイジ:ウディ・ハレルソン
フランシス・バリソン/シュリーク:ナオミ・ハリス 他

 

 

 

 

世は、アメコミ映画全盛期。

アメコミ映画のハシリは、
「X-MENシリーズ」ですが、

一般まで訴求した大ヒット作となったのは、
『スパイダーマン』(2002)です。

 

さて、
その「スパイダーマン」の原作コミックの中でも、
最も人気のあるキャラと言ってもいいのが、
「ヴェノム」です。

このヴェノムを主人公とした映画が、
2018年に公開された『ヴェノム』。

この作品、
批評家受けは悪かったそうですが、
興行収入的には、大ヒット。

映画の世界は、実績が全て。

と、言う事で、
本作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が、
続篇として作られる事に、相成りました。

 

さて、その副題「let there be carnage」ですが、
この「carnage」という言葉は、
大虐殺という意味を持ちます。

つまり、訳するならば、
「大虐殺の始まりだ!」って感じでしょうか。

そんな不穏な意味を持つ名前のキャラが、
今回の対戦相手です。

 

で、ノリとしては、
正しい続篇と言った所。

つまり、
良くも、悪くも、前作を踏襲した作り。

アメコミ映画だろ?
頭カラッポにして、
ポップコーン片手に、
その瞬間を楽しめれば良いんだよ!!

 

そういうノリの作品ですね。

堅苦しいテーマとか、
重苦しい鬱展開とかは、

本作とは無縁。

結局、
前作が好きだった人は、
本作も間違い無く楽しめまし、

前作がつまらないと感じた人は、
本作もイマイチと感じてしまうでしょう。

 

CGキャラの超常大バトルがメインの本作。

しかし、それだけでは無く、

むしろ、コッチの方がメインかという位、面白いのが、

エディとヴェノムのコンビ、
宿主と寄生生物のバディムービーとしての側面です。

 

 

自分が「特別」である為には、
ヴェノムを利用せざるを得ない、エディ。

自分が地球上で生きて行く為には、
エディという殻にこもる、
ヤドカリ状態に成らざるを得ない、ヴェノム。

まるで、熟年夫婦の様な、
腐れ縁の二人の掛け合いが、
本作の最も面白い所ではないでしょうか。

 

オタクっぽい、と、
馬鹿にされがちな、アメコミ映画、

それ故に、アメコミ映画は、
テーマ性を重視し、
ストーリー展開に腐心、
大人の鑑賞にも堪え得る作品を目指して行きました。

内容で、
勝負する為にね。

 

しかし本作の様に、
純然たるエンタメに特化したアメコミ映画、
アクション映画である事も、
時には、重要なのではないでしょうか。

 

シンプルに作ったからこそ、
むしろ、普通に、王道的なアクション映画の楽しみがある。

ダークヒーロー「ヴェノム」の活躍が、
本作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』でも観る事が出来ます。

 

 

 

  • 『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポイント

シンプルに、CGアクション!!

エディとヴェノムの掛け合いが楽しい、バディムービー

アメコミ映画のお約束、本篇終了後のオマケ映像に震えろ!!

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 

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  • バディムービーとしての面白さ

本作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は、
CGバトルがメインの、
今時珍しい、
純然たるアクション映画です。

とりあえず、
ド派手アクションを楽しめば、それで良い!!
それが良い!!

ポリスとマッドサイエンティストはぶん殴って構わん!!
みたいな、いつものハリウッド映画のノリ!!

そういう作品ですね。

 

そして、
もう一つのメインとして描かれるのが、

エディとヴェノムのバディムービーとしての側面であり、
本作では、それがフューチャーされている印象がありますね。

 

うだつの上がらない、
元、売れっ子ジャーナリスト。

宇宙からやって来た、
謎のスライム状の寄生生物。

エディはヴェノムの超常能力を利用し、
ヴェノムは、地球上で過ごす為の「殻」としてエディが必要。

共に「若干ウザい」と思う事もあれでも、
そして、喧嘩して家出する事があっても、
それでも、お互いを必要として協力する。

この熟年夫婦というか、
腐れ縁というか、
トムとジェリー的な関係が、
一番、観客ウケする部分なのではないでしょうか。

 

どうやら本作は、
前作での、エディとヴェノムのやり取りが「受けた」という事を踏まえ、

その部分を掘り下げたという面もあるそうです。

それを考えると、
監督を、
前作のルーベン・フライシャーから、
アンディ・サーキスに変更してのも、頷ける所だと思います。

 

アンディ・サーキスは、
数々の作品で、
CGキャラの「中の人」を演じて来ました。

「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのゴラム、
「猿の惑星」シリーズのシーザー、
「スター・ウォーズ」シリーズの最高指導者スノーク、
『キング・コング』(2005)のキング・コング、
『GODZILLA ゴジラ』(2014)のゴジラ etc…

また、その傍ら、
「ホビット」シリーズでは、
第二監督も任されていました。

つまりアンディ・サーキスは、
人間でありながら、
人間以外を演じ続けた存在であり、

人間と人間外の存在の架け橋として、
その両方の気持ちが解る、
最適な人物と言えるのではないでしょうか。

 

とっとと出て行けと言いながら、
実際、出て行ったら、やっぱりお前が必要だと言うエディ。

仮装パーティーではっちゃけつつ、
この様子を、お前(エディ)にも見せたかったとデれてみせるヴェノム。

「人間の脳みそ喰いたい~」なんて、
バタリアンみたいな事を言うヴェノムが、
どこか、憎めないのは、
こういうコミカル描写に、何とはなしに、感情移入してしまうからではないでしょうか。

 

こういう宿主と寄生生物のバディ関係というのは、

漫画で言うと、
『寄生獣』の新一とミギーの関係性が、
シチュエーション的には、最も近しい感じがしますが、

コミカルなやり取りのノリとしては、
『うしおととら』の潮と「とら」の関係性が、
近い感じがしますね。

 

さて、そんな本作、
実は、バディを組むのは、
エディとヴェノムだけではありません。

悪役の
クレタス・キャサディとカーネイジもバディだし、
その一方、
クレタスと、恋人のフランシスもバディと言えるでしょう。

そして、それを言うなら、
アンと、
その婚約者のダンも、コンビで登場しています。

 

この様に、
本作では、登場人物が、
基本的にツーマンセルで行動していますが、

唯一、単独行動と言えるのが、
マリガン刑事です。

故に、
マリガン刑事は、
ただの憎まれ役の、やられ役に終始し、
良い場面が全く無いのですね。

 

  • 遂に!?マルチバース突入!?

さて、
アメコミ映画特有というか、
本篇終了後にオマケ映像がちょっぴり流れるのが、
最早、お約束になっている昨今。

本作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』にも、
「それ」がありますが、

いやぁ、
久々に、オマケ映像でテンションが上がるモンが出ましたねぇ。

 

その前に、
少し、マーベル映画について述べますと、

元々、
マーベル映画は、
3つの配給会社が関わっておりまして、

それは、元々、
「X-MEN」シリーズを手掛ける20世紀FOX、
「スパイダーマン」系のソニー、
「アベンジャーズ」シリーズのディズニーと別れていました。

で、現在は、
20世紀FOXを、ディズニーが買収し、
コンテンツを取り込み、

その一方、
ソニーとディズニーが提携し、
ソニー系列の「スパイダーマン」を、
ディズニー系列の「マーベル・シネマティック・ユニバース」の中でゲスト出演させているという状況です。

 

で、
ソニーは独自路線として、
「ソニー・スパイダーマン・ユニバース」という括りで、

『ヴェノム』(2018)
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021:本作)
を展開、

更に今後、
『モービウス』(2022:予定)などで、
独自の同一世界観を展開して行く計画だそうです。

 

つまり、
「スパイダーマン」は、あくまで特別で、

ソニー系列は、
独自路線の「マーベル映画」を作って行く、

そういう方向性だと思われてきました。
今までは。

 

 

以下、今後の展開に関わる、ネタバレが含まれております

 

 

 

しかし、
今回のオマケ映像で、
ソニーの「トム・ホランド版スパイダーマン」の世界線と、
「トム・ハーディ版ヴェノム」の世界線が繋がる事になりました。

 

突然、
何者かの干渉で、
トム・ホランド「スパイダーマン」の居る世界に飛ばされた?エディとヴェノム。

これは、
現在、公開前から物議を醸している、
トム・ホランド「スパイダーマン」の第3作、
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の予告篇を観る事で、
疑問が解ける展開となっております。

 

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、
元々、噂で、
ドクター・オクトパスという、
トビー・マグワイア版『スパイダーマン2』(2004)に出て来たヴィランが出て来ると言われていました。

そして、
予告映像第一弾にて、
そのドクター・オクトパスが、
昔の『スパイダーマン2』の時と、同じ役者が演じているという事で、
大変、話題になりました。

 

そして、予告第二弾で、
ドクター・ストレンジが原因で、
マルチバース(多世界線)が展開する事が判明。

マルチバースとは、
所謂、SFで言う所の、
量子論による、多世界解釈、
つまり、
可能性の数だけ、世界線が存在するという考え方です。

そして、予告第三弾にて、
マルチバースから、つまり、
過去の「スパイダーマン」映画から、
ヴィランが集結するという驚愕かつ衝撃の情報が公開されました。

 

いや、
いつもは、公開前に、
「もっと情報が欲しい」と駄々をこねる観客も、
「こんなに公開しろとは言ってない…」と、唖然呆然、

もう、予告篇の時点で、テンションMAXIMUMですよ!!

 

で、ですよ。

この予告篇を観た後に、
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のオマケ映像ですよ。

つまり、
世界線的には、
ヴェノムも、
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の世界線に呼び込まれたという状況にあるのです。

 

まぁ、流石に、
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にヴェノムが出る事は無いでしょうが、

しかし今後、続篇があるとするならば、

自らを「リーサル・プロテクター」(残虐な守護者)と言うヴェノム、
悪役は殺して喰って良いと言う彼が、

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)にて、
ミステリオ殺害の濡れ衣を着せられたスパイダーマンの首を、
文字通り狙う展開になるのかもしれません。

というか、期待が膨らみます。

 

そう言えば、
前作の『ヴェノム』も、
そのオマケ映像で、突然、アニメが流れましたが、

実はそれは、
マルチバースにて、
多世界のスパイダーマンが集結する、
スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)というアニメ作品の予告映像だった訳ですが、

今思うとそれは、

「マーベル・シネマティック・ユニバース」が今後展開すると思われる、
「マルチバース」構想の先取りであり、

本作のオマケ映像と、今後の展開をも示唆したものだったとも、
言えるのですね。

 

 

 

単純に、
素直に、
シンプルにアクションを楽しめる作品『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』。

とは言うものの、
一番面白い部分は、
エディとヴェノムの掛け合いの、
バディムービーの部分であり、

そして、
今後の展開にも期待を持たせている。

結構残虐描写が多かったのに、
色々と、妙に、テンションのアガる映画、
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は、そんな映画と言えるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

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