映画『セブン・シスターズ』感想  残機は7!?ディストピアでのサバイバル!!

 

 

 

近未来、人口の爆発的増加により世界は一人っ子政策を採用し、2人目以降は施設で冷凍睡眠される時代。七つ子として生まれた姉妹は自らの出自を隠し、自分が担当する曜日のみに外に出るというローテーションの生活を送っていた、、、

 

 

 

監督はトミー・ウィルコラ
ノルウェー出身。
代表作に
『処刑山 ―デッド・スノウ―』(2009)
『ヘンゼル&グレーテル』(2013)等がある。

 

主演の七つ子を演じたのはノオミ・ラパス
スウェーデン出身のサバイバル系女優だ。
代表作に
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009)
『シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム』(2011)
『プロメテウス』(2012)
『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2014)
ラプチャー ―破裂―』(2016)等がある。

他、共演にウィレム・デフォー、グレン・クローズ、マーワン・ケンザリ、クリスチャン・ルーベック等。

 

本作『セブン・シスターズ』はいわゆる

ディストピアSF。

 

厳しい人口抑制政策を採っており、二人目以降の子供は施設で強制冷凍睡眠。
一人っ子である事を監視する為に、常に腕輪形式のタグにより検問所で行動を管理されている世界である。

その堅苦しい世界にて、娘を分娩時に亡くしたお爺ちゃんは何を思ったか七つ子を密かに育てる。

その七つ子を、

主演のノオミ・ラパスが一人七役で熱演。

 

七つ子の名前は「曜日」であり、自分の名前の曜日の日に「カレン・セットマン」として外出している。
だが、ある日「月曜(Monday)」が家に帰って来なかったのだ、、、

あらすじで想像出来る通り、

本作はサスペンス的展開をしつつ、
アクションシーンもマシマシで採用している。

 

七つ子がドキドキし、
七つ子が暴れ回る。

おそ松くん(さん?)もビックリ、
ノオミ・ラパスが八面六臂の活躍を見せる。

 

正に、一人ノオミ・ラパスショーであり、ノオミ・ラパス好きには溜まらない作品。
本作のみで7人分の彼女が観られるのだ。

サスペンスSFでありながら、アクションメイン。
アーノルド・シュワルツェネッガーの主演映画『トータル・リコール』を彷彿をさせる面白さである。

一粒で沢山の美味しさがある本作『セブン・シスターズ』。
欲張りな映画ファンも満足な一本であろう。

 

 

以下、内容に触れた感想となっています


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  • 七姉妹紹介

本作『セブン・シスターズ』は七つ子が主役。
7人もいると、誰が誰だか分からないと思われるかもしれない。

しかし、最初は混乱するかもしれないが、
七つ子の外見、性格、アクション、
それぞれを分かり易くキャラ付けしてあるので、観ている内にちゃんと誰が何曜日か分かる様になっている。

簡単に紹介してみよう。

日曜:リーダー的な宥め役。外出時の「カレン・セットマン」の基本的な外見は彼女によっている。黒髪、髪をポニーテール気味に結んでいる。地味目な服装。

月曜:一言多い真面目系。優等生タイプ。黒髪、髪をストレートにしている。服装はかっちり系。

火曜:麻薬で不安を紛らわす情緒不安定タイプ。ハッピー的な思考の持ち主。茶色で長目の髪、服はヒッピー系。

水曜:体を鍛えている武闘派タイプ。バリキレの腹筋を見せつける。髪は黒髪のショート。服はフード付きのパーカーにパンツスタイル。

木曜:独立心旺盛、自分を主張するのでぼっちになりやすいタイプ。髪は黒髪のベリー・ショートを撫でつけている。服はTシャツにジーンズ。

金曜:眼鏡の頭脳、陰キャ。髪はボサボサで長目、服はチェックのシャツ。

土曜:派手で奔放な見た目。パッキンピンク。

 

多少意識して観ていたら、直ぐにキャラが掴める。

ちゃんと別々のキャラとして設定し、
それを演じ分けたノオミ・ラパスの凄さよ。

 

  • 猫かマリオか?カレン・セットマンは七回死ねる!?

本作『セブン・シスターズ』はディストピアSF。

SFのジャンルの一つとして多くの名作があり、
厳格に管理された近未来社会を映画で表現する時に採用される鉄板の設定である。

似た雰囲気の映画に『リベリオン』があるが、
サスペンス&アクションとして観るならば『トータル・リコール』の方が近い印象だ。

月曜が帰宅しない、彼女に何が起こったのか?

この謎を追いつつ、メインとして前に出てくるのはアクションシーンである。

これがなかなか面白い。

サスペンス部分では、各姉妹が個人の個性を活かして謎の解明に挑み、手掛かりを入手しつつ残りの姉妹に情報を残して死んで行く

バトンを渡しながら徐々に核心に迫る感じが良いが、
七人いた姉妹が段々減ってゆくのは、心苦しい切迫感がある。

一方、アクション部分では、次から次へと姉妹が飛び出て来るので、まるでマリオの様な印象がある。
「1機死んでも大丈夫。まだ6機ある」みたいな感じだ。

…しかし、一人七役なのでその分アクションも多かったハズだ。
よく頑張った!感動した!

ある意味、チームで事にあたるサバイバルアクション的でもあるが、それを一人の人物で演じたというのが本作の面白い所だ。

しかし、主演のノオミ・ラパス
『プロメテウス』や『ラプチャー』でもサバイバルをし、
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』でも独立心のある女性を演じている。

本作でも、サバイバル・バトル女優の面目躍如の活躍を見せてる。

 

  • 大義名分の恐ろしさ

『セブン・シスターズ』では、表向きのサスペンスとアクション、そして一人七役という目立つ面白さを際立たせる一方で、裏のテーマとも言うべき物も持っている。

 

*以下、オチにも触れたネタバレも含んだ解説となります。

 

それは、人は大義名分があれば何処までも残酷になれるという事である。

社会はルールによって成り立っている。
そのルールや倫理の垣根を越える第一歩に、大義名分は言い訳として利用されるのだ。

七つ子の祖父は、姉妹を守る整合性を保つ為に、怪我をした木曜に合わせて、他の姉妹全員に同じ傷を背負わせる。

月曜は自らの愛の為に、他の姉妹を売る。

「CAB(児童分配局:Child Allocation Bureau)」の長官であるケイマンは、将来の地球の為という建前で、余剰人員を虐殺せしめる。

皆、愛である。
孫の為、愛する人の為、人類の将来の為、
その大義名分にて自分の残虐行為を正当化している

愛の為の残虐行為は何処まで許されるのか?
そのラインとは?
そもそも、他の方法は無かったのか?

愛は盲目。
簡単、確実と思われる道を採りがちで、視野狭窄に陥り他の方法まで思い至らない。
しかし、結局は遠回りで困難な道が一番安全だったりする。

人間、切羽詰まるまでは、正しく生きるべきだろう。

 

  • ゲロ注意

映画でゲロを吐く人が出る。
何故その人はゲロを吐いているのか?
映画のジャンルにもよるが、これには典型的なパターンがある。

男性だったら、
宇宙生物や寄生虫が体内に侵入、または悪霊に憑依されている可能性がある。

女性だったら、
妊娠している可能性がある。

全くの偏見だが、意外とそのパターンに当てはまる事も多い。
直前に飲酒していたり、食事していたりしてミスリードがあるが、今後注意して映画をご覧頂くと面白いだろう。

 

 

本作『セブン・シスターズ』はディストピアSF。
近未来を風刺的に描く事で、現代の問題点をもあぶり出す。

ディストピアを形成するのは、社会の為という大義名分。

為政者は言葉巧みに論旨をずらして行き、やがては管理社会が形成されるのだ。

そして、人間は、国家の為という大義名分があれば戦争行為で人をも殺す
(前日に語った映画『否定と肯定』にて、そのあたりも触れています)

そういうテーマを織り込みつつ、
サスペンスとアクションでハラハラドキドキ出来る映画『セブン・シスターズ』。

ノオミ・ラパスを思いっきり堪能出来る、ファンには最高の映画である。

 

 

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さて次回は、同じようで微妙に違う!?中篇を長篇化した作品、小説『時が新しかったころ』について語りたい。