映画『スパイダーマン:ホームカミング』感想  主人公、保護者、敵役、あなたは誰目線!?

 

 

 

高校生のスパイダーマンことピーター・パーカーは先の「シビル・ウォー」でアイアンマン(トニー・スターク)にスカウトされて有頂天。自身の次なる活躍、そして、いつかアヴェンジャーズに入る事を夢見て今日もご近所を自主パトロールしている。待てど暮らせど連絡は無い、そんなある日、物騒な武器を持つ銀行強盗に遭遇して、、、

 

 

 

監督はジョン・ワッツ。他の監督作に
『クラウン』
『COP CAR/コップ・カー』がある。
大抜擢だが、見事期待に応えた。

主演のピーター・パーカー役にトム・ホランド
舞台『ビリー・エリオット』で鍛えた身体能力で、自身、多数のスタントをこなした。
他の出演作に
『インポッシブル』(2012)
『白鯨との闘い』(2015)
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)等がある。

共演に
ロバート・ダウニーJr.(アイアンマン:トニー・スターク)
マイケル・キートン(バルチャー:エイドリアン・トゥームス)

他、ジョン・ファブロー、マリサ・トメイ、ジェイコブ・バタロン等。

 

スパイダーマンの帰還(ホームカミング)である。

「スパイダーマン」と言えば日本では1、2を争う程の知名度のある「アメコミキャラ」だ。

そして、何度も作り直しがされている。

本作『スパイダーマン:ホームカミング』のピーター・パーカーは

等身大の身近な高校生だ。

 

自分の目の前の事に必死なピーターの姿に共感が持てる。

しかし、彼だけではない。
それぞれの立場で、

保護者役にも、敵役にも、それぞれの言い分に共感出来る。

 

それが面白い。

現在、スーパーヒーローものの映画は多い。
しかし、本作『スパイダーマン:ホームカミング』では、まだまだ未熟な高校生。

必死に頑張るピーターの、

スパイダーマン第一歩を観客は一緒に楽しめる。

 

よく知っているヒーローの、新しいスタート。
これが面白くないハズが無い。

アメコミファン、アクションファンならずとも必見だ。

 

 

以下ネタバレあり


スポンサーリンク

 

 

  • ホームカミング

ホームカミングとは一体何なのか?

一般的には、アメリカの高校における、同窓会イベントである。

秋学期に行われ、学校の卒業生を迎え、スポーツやダンスなどのパフォーマンスを披露し、愛校精神を養う激励会である。

それに先立ち、在校生からホームカミングキング、クイーンが選ばれセレモニーが行われる。
ツイン・ピークスのローラ・パーマーはホームカミングクイーンだった)

と、長々と説明したが、本作『スパイダーマン:ホームカミング』における「ホームカミング」の意味は、スパイダーマンの帰還という意味だろう。

つまり、新しいスパイダーマン。
スパイダーマンのリブート。
そうではない。
今までの映画より、本作のスパイダーマンこそが正統派だ、コミックイメージのスパイダーマンが帰って来たんだよ、と主張しているのだ。

とは言え、本作では「スパイダーマンになる経緯」は思い切って省略している。

今までの映画で散々それを見てきているので、その必要はないのだ。
いい判断と言えるだろう。

 

  • 奇跡のコラボレーション

「マーベル・シネマティック・ユニバース」は現在、ディズニーが配給している。

なので、ソニー配給のスパイダーマンは今まで会社が違うので、「マーベル・シネマティック・ユニバース」に出演出来なかった

しかし、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でスパイダーマンとのコラボが実現。

そして今回、ロバート・ダウニーJr.のアイアンマンと共演し、晴れて「マーベル・シネマティック・ユニバース」の作品として、『スパイダーマン』が制作されたのだ。

漫画で例えると、
井上雄彦の漫画、
集英社の『スラムダンク』と
講談社の『バカボンド』がコラボレーションした、
と言えば分かる様な気がしませんか?

今後の活躍にも期待大である。

 

  • どの立場に共感する!?

本作『スパイダーマン:ホームカミング』は、幅広い対象を意識して作られている。

頑張る高校生の主人公目線。
心配し、導く保護者目線。
世間に踏みにじられ、道を外してしまった敵目線。

観客はそのどれもに、共感出来てしまう。

ピーターは高校生。
自分の力を憧れの人に認めて欲しくて、とにかく必死である。

そして、若さ故の視野の狭さ、自分の一途な信念で猪突猛進する様子に、危なっかしく思いつつも応援せずにはいられない

トニー・スタークやメイおばさんは保護者目線。

トニーは先導者として、地に足をつけ、一歩ずつ進むことこと一番の近道だと諭す。
本人が知らずとも、常にサポートし、広い視野で物事を捉えている

また、メイおばさんの様に、相手を信頼しつつ、求められた時に手を貸すというスタンスは中々難しい。
放任にならず、過干渉にならず、しかし、正しく相手を導く。
それにはお互いの信頼関係が必要だからだ。

保護者からすると、あえて危険に飛び込む愚は犯さないで欲しいのだ。

敵役のエイドリアン・トゥームスにも共感出来る点がある。

イキナリ現れた部外者なり何なりに、「仕事だから」の一言で侮辱まがいの扱いを受ける。

地べたに這いつくばって、お膳立てをさせられた後に、美味い汁だけかっさらわれてしまうのだ。

これには腸が煮えくり返る。

お前らが当然の様に俺たちから奪うなら、それを俺たちの元に戻すのは当然の権利なのだ、と主張する相手に感情的には反論出来ない。

しかし、だからこそ純粋に正義を信じて奮闘する若いピーターは正しいのだ。

その行動は年長者から見ると、確かに短絡的で危なっかしい。
だが、世のしがらみに阻まれる事なく、正義の信念を持って行動出来る事は貴重なのだ。

そして、その清く正しいスパイダーマンこそが、本作の魅力である。

 

  • 出演者補足

敵役を演じたマイケル・キートン。
かつて、『バットマン』を演じ、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を演じ、本作でも鳥っぽいキャラを演じた。

ファウンダー ハンバーガー帝国の秘密』では搾取する側を演じたが、本作では搾取される側。

特徴的でありつついろんな役を演じている。

本作での白眉は、ガールフレンドの父親から一転、瞬時に敵役になる車中の会話だ。

ハッピー・ホーガン役を演じたジョン・ファブローは映画監督でもある。
『アイアンマン』(2008)
『アイアンマン2』(2010)
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(2014)
『ジャングル・ブック』(2016)
と、結構すごい。

メイおばさん役のマリサ・トメイは1964年生まれ。
30代に見えてまだまだ若い。
その昔ロバート・ダウニーJr.と付き合っていた。

ピーターの親友ネッド役を演じたのはジェイコブ・バタロン。
デブでオタクっぽいが、何処か憎めない。
というか、彼のいけてない感じにも、感情移入してしまう。
私の同級生にも似たような人がいた。

演技なのか?素なのか?
ともあれ、彼のキャラも必要不可欠な魅力があった。

クールな同級生の女子ミシェル役にゼンデイヤ。
音楽やダンスも出来るそうだ。

彼女みたいなキャラも学生時代にいた。
凄く懐かしい感じだ。

 

 

今まで散々見てきた「スパイダーマン」。

馴染みがありながら、しかし新しいものを観せてくれる『スパイダーマン:ホームカミング』。
本作は誰が観ても面白い、平均点の高い映画である。

 

U-NEXT


スポンサーリンク

 

さて、次回はだれもが知ってる?凶悪犯の話、本『決定版 切り裂きジャック』について語りたい。