映画『美しい星』感想 観るだけで分かる!!完全詐欺師マニュアル!!

 

 

 

大杉重一郎はTVのお天気レポーター。若いアナウンサーと不倫し帰宅していたある日、急にまぶしい光に包まれる。気付けば不倫相手はおらず、見知らぬ土地の田んぼに一人きりだった、、、

 

 

 

監督は吉田大八。『桐島、部活やめるってよ』(2012)『神の月』(2014)
原作は三島由紀夫の『美しい星』。恥ずかしながら全然知らない。
出演リリー・フランキー、中嶋朋子、亀梨和也、橋本愛、等。

豪華なスタッフが揃った『美しい星』だが、その内容は

ハッキリ言ってよく分からない。

というか、真面目に取り合ってはいけない。ちょっとオモシロ話にツッコむ程度に留めていなくてはならない。何故なら

本作品は詐欺師の大展覧会であるからだ。

 

この作品を真面目にみちゃったあなた!詐欺師にひっかかり易いですよ!と監督は訴えてきているようだ。
エキセントリックなヤツ達を思いっきりツッコんで楽しもう。

ちょっと変な映画が観たいな、と思っているならこの『美しい星』はまさにオススメである。

 

以下ネタバレあり

 


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  • 詐欺まみれな一家

本作はメイン家族4人が何らかの詐欺パターンにそれぞれ関わっている。それぞれ見て行こう。

父親の重一郎(リリー・フランキー)は気象予報士のお天気レポーター。しかし、その予報はいつものらりくらりとして当たり障りのない事を言う。正に「天気予報にダマされた!」という感覚を地で行くタイプである。

これが後半、地球温暖化の歯止めを訴える火星人になるとグッと詐欺師度が増す。
大所高所に立ってものを言うのは結構だが、実際の地球温暖化対策はその高見を利用した目眩ましで金稼ぎの道具とされる場合もある。
もの凄く胡散臭い。相手が熱弁するほどに裏を疑ってしまう。

母の伊余子(中嶋朋子)はネズミ講にハマッている。
勧誘が始まった時、傍目から観ている観客は一発で分かるのだが、当の本人はするすると取り込まれていく。

しかし、不気味なのは自らも勧誘に乗り出した時、伊余子はどの程度の本気レベルなのか分からない点だ。
無邪気に信じている様にも見えるし、お金儲けになるから頑張ってみた、というノリにも見える。
恐らく実際にハマる人も、自分が詐欺行為をしているとは自覚せずにやっているのだろう。
その無自覚を詐欺師は狙ってくる。

息子の一雄(亀梨和也)はひょんな事がきっかけで政治家の事務所で働いている。

もう政治家と聞くだけで胡散臭い。口先がペラペラ回り上っ面がよく、裏では何しているのか分からない。そういう典型的政治家のイメージ通りのキャラクターの元で働いているのだ。

政治関連のニュースに触れる場合、ポジショントークや言外の意味、発言の意図的な切り抜き等が頻発するので、これを正しく判断・解釈するのは注意していても困難を極める。
真実、発言者の意図、敵対者の意図、メディアの伝えたい方向性と4つ以上のベクトルが存在する事もある。言葉をそのまま受け取るのは、あまりにも危険だ。まさに詐欺師に対するが如しである。

娘の暁子(橋本愛)は男にまんまとタラし込まれる。
これがまた笑える。誰がどう見ても昨年の「ゲス不倫」を連想させるのだ。

意識高い系サブカル女子は、キノコ頭のアーティストがさえずる不思議トークに効果バツグンにタラし込まれる。
監督は川谷絵音氏かベッキー氏に直撃取材でもしたのだろうか?
暁子をタラし込む竹宮役の若葉竜也の演技も見物だ。どこからどう見ても信用出来ない男を見事に演じている。

  • 脇を固める詐欺師達

メイン以外のサブキャラ達もまた濃い。キャスティングが絶妙で、役のイメージにピッタリだ。

まず、政治家の第一秘書・黒木役を演じた佐々木蔵之介。いつも変わらぬ安定した演技を見せてくれる。
本作でもいつもの「薄笑いを浮かべた、常に余裕のある男」を演じているが、それを「宇宙人」と言われたらもう宇宙人にしか見えない。
そして、本作品の出色のシーン、唐突に始まる重一郎と黒木の対話シーンがまた見物だ。
このシーン、ハッキリ言ってまるまる削っても何も問題が無い。それほど中身の無いスッカスカな内容である。それを雰囲気だけであたかも凄い事を言っている様な空気にする、佐々木蔵之介の演技力がもの凄い。本職の詐欺師顔負けである。

重一郎の後釜を虎視眈々と狙う女性アナウンサー中井役の友利恵もいい。どう見ても枕営業に長けた表面だけカワいい女性にしか見えない。

暁子と同じ大学の広告研究会の学生・栗田役の藤原季節もいい。あの上っ面にニヤニヤ笑いを貼り付けた軽薄男、あなたの学生時代にもクラスに一人は居たハズだ。あのタイプをまさにそのまま、ものの見事に演じている。

伊余子を「美しい水」に誘ったディストリビューター丸山役の赤間麻里子もいい。いかにもマルチに誘いそうな見た目をしている。

もちろんゲス川谷にしか見えない竹宮役の若葉竜也のいい。

皆が皆、とても演技とは思えない程ハマっている。演技力があり、そして役のイメージとピッタリな俳優をキャスティングしたのが成功している。

 

なんと言うか、詐欺師が多すぎて映画自体をそのままの意味で解釈していいのかは憚られる。しかし、作った方はちゃんと意図してこんな罠だらけの映画を作っているのだ。詐欺という地雷に引っかからないよう、注意して生きていきたいものだ。

 


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さて、次回は宇宙人では無く珪素生物珪素生物に会いに行こう。『小説BLAME! 大地の記憶』について語りたい。