『ツイン・ピークス』序章~第29章、映画版までの個人的感想をまとめてみたい。
一言でいうと大変面白かったが、その面白さが何処にあったのか、振り返ってみる。
『ツイン・ピークス』は1990~1991年までアメリカで放映。
映画版『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』は1992年公開。
製作総指揮:デヴィッド・リンチ&マーク・フロスト。
音楽はアンジェロ・バダラメンティ。
以下ネタバレあり
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個人的面白かった点
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謎とサスペンスを支える人物配置
やはり、一番の魅力は謎とサスペンスだろう。
静かな田舎町で殺人事件が起きた。
それを切っ掛けに、町に潜む「負」の部分が徐々に露わになってゆく、、、
この展開が絶妙だった。
「ローラ・パーマー事件」を軸に据え、その調査の過程で町の住民の隠された秘密が次々に明かされてゆく。
この、秘密というのが人に寄りけりで、結構皆勝手な事をしていたのが面白い。
不倫に励む者、金儲けの為に暗躍する者、麻薬取引をする者、そして人の秘密に首を突っ込む者など色々なバリエーションがあった。
この多数のバリエーションを可能にしたのが、登場人物の多さである。
しかも、ゴチャゴチャにならず、分かり易く配置しているのがいい。
基本的に自分のホーム(家)があって、登場人物はそこからあまり出ない。
だからこそ、家単位で登場人物を見る事が出来、団体で認識することで何となく雰囲気で人物を理解出来る。
家毎で直面する問題が違うのも、分かり易い理由である。
また物語も時系列順で進み、基本一話が一日で収まっているのもいい。
そして、その点と点を繋ぐのが捜査関係者だ。
視聴者はクーパー目線、そして全体を俯瞰する「神」の目線が混じった形でドラマを観る事になる。
時にはクーパーの知らない情報を掴み、その一方クーパーの推理力に助けられながら、共に事件を解決してゆく。
この過程が大変面白かった。
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町民の日常
謎とサスペンスでシリアスになった空気をほぐすのが「ツイン・ピークス」住民の日常パートである。
住民はダブルアールダイナーなりグレートノーザンホテルなりに寄り、自分のホーム(ストーリーの本筋)から離れて会話や食事を楽しむ。
この2つの施設がシリアスから抜け出るホッとするポイントであり、且つ、次の展開を繋ぐ中継地点の役割も持つ。
この日常パートを主に担ったのがネイディーン、ピート、そして後半のベンジャミン・ホーンである。
事件があっても我が道をゆく人、いつもの日常を崩さない人、新しい事業に取り組む人達がいる。
これらの本筋とは違う流れが『ツイン・ピークス』という物語に厚みをもたらしていた。
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クーパーとハリーのバディもの
そして、クーパーとハリー、この二人のコンビが良かった。
理性的、理論的でブラックスーツのクーパー。
直情的、実直なアメリカンヒーローのハリー。
この二人がお互いにないものを補い合い、尊敬しあって友情を深めてゆく様が良かった。
ベタベタしている訳ではない。
しかし、仕事を通じてお互いを尊重し合い友情が芽生える。
この二人のちょっとした会話、好奇心旺盛なクーパーにふっと笑顔を見せるハリー、こういう何気ない描写が良かった。
他にも良い点、面白い点はあるだろう。
その好みは人それぞれだ。
その範囲が圧倒的に広いのも、『ツイン・ピークス』の魅力である。
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さて、次回はジョジョの魅力を小説で拡大!?『恥知らずのパープルヘイズ』について語りたい。