万能型ロボット「チッチィ」を封印して8年。その間もバシー博士は研究を続け、今度は人間に忠実な女性型助手ロボット・ニラーの開発に成功していた。
そんな折、チェンナイの町で怪事件が起こる。なんと、町中のスマホや携帯電話が飛び去ってしまったのだ。
そればかりか、スマホが集まり、人間を襲撃する事件が起こる。常識外の事件に対処すべく、バシー博士は議会にチッチィの復活を提案するのだが、、、
監督は、シャンカル。
前作『ロボット』(2010)に続いてメガホンを取る。
他の監督作に、
『インドの仕置人』(1996)
『ジーンズ 世界は2人のために』(1998)
『ボス その男シヴァージ』(2007)
『マッスル 踊る稲妻』(2015)等がある。
出演は、
バシーガラン博士/チッチィ:ラジニカーント
ニラー:エイミー・ジャクソン
パクシ・ラジャン:アクシャイ・クマール 他
皆さん、
「スター」と言ったら、誰を思い浮かべますか?
石野真子?
桜田淳子?
キムタク?
錦野旦?
イチロー?
リーチ・マイケル?
そう、世の中に「スター」と呼ばれる人はそうは居ません。
況んや、スーパースターをや。
しかし、
広大なインドには、
人からスーパースターと称される人物が居た!!
その名も、
スーパースター・ラジニ!!
ラジニカーントは日本とも縁が深いのです。
それと言うのも、
彼が出演した映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)は日本でスマッシュヒット。
『ムトゥ 踊るマハラジャ』のヒット以降、
日本でも、インド映画が定期的に公開される様になった印象を受けます。
そんなスーパースター・ラジニが、
再び日本を揺るがした作品が、
『ロボット』(2010)です。
オッサンがロボットを作り(しかも自分ソックリ)、
自分の恋人を、そのロボットと取り合うという、奇想天外SFストーリー。
そのロボット・チッチィが人間にフラれ、
なんやかんやあって暴走、
自分のクローンロボを使って、
町を破壊し大暴れという、異次元の超展開を見せてくれました。
そんな『ロボット』の続篇が表われたとあっちゃぁ、
観に行くっきゃないでしょう!!
と、いう訳で、本作『ロボット2.0』です。
日本では、
漫画が普及していますよね。
それは、
映画などの、実写では再現不可能な事も、
紙の上では可能だという事で、
様々なジャンルの漫画が、日本では刊行されています。
しかし、
どんな荒唐無稽な事も可能!!
そう、『ロボット2.0』ならね♡
スティーブ・ジョブズなら、そう言います。
正に、
漫画ばりのイマジネーション。
一見、下らない事を、本気でやるからこその説得力が、
本作にはあります。
スマホが空を飛び、
合体し、
巨大な怪鳥になる!?
対するは、
万能ロボットがいくつも集まり、
合体し、
巨大なオッサンになる!?
!?
一足先に、
ポケモン剣楯の「キョダイマックス」を先取りしています。
いやぁ、
このノリ!!
前回もそうでしたが、
今回も、
唖然呆然ですワ!!
まぁ、ぶっちゃけ、
ラジニカーントは、御年68歳(2019/10/26 現在)。
アクションシーンの動きのキレは、良くないです。
それを補って余りあるのが、
顔芸。
博士の時、
チッチィの時、
ワルの時、
それぞれ、表情が違って、
一瞬、別人かと思うほどです。
そして、
インド映画と言えば、
ヒロインが極端に美人な事もあげられます。
本作も、
マドンナ役、ニラーを演じるエイミー・ジャクソンが、
この世の物とも思えない位の美人っぷりを発揮しています。
(まぁロボットなので、確かに、この世の物では無いのですが)
後、個人的に、ちょっとガッカリしたのは、
歌と踊りが無かったという点です。
エンドクレジット時の、
一回のみ、
本篇では、歌と踊りが無いのです。
とは言え本作、
何も考えずとも、
いや、
何も考えない方が、
絶対に面白いし、楽しめる、
『ロボット 2.0』は、
これぞ、王道のエンタテインメント、
と言える作品なのです。
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『ロボット2.0』のポイント
意味不明!荒唐無稽!でも、奇想天外が面白い!!
弱者の逆恨みこそ、最も恐ろしい
オッサン V.S オッサン!!老いてなお健在!!
以下、内容に触れた感想となっております
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奇想天外!SFアクション!
本作のパンフレットにて指摘されていましたが、
近年、
ボリウッド映画(インド映画)は進化し、
ハリウッドなどの「世界での売れ線」を取り入れ、
CGを多用し、
上映時間もコンパクトにまとめ、
テーマに即した、
お上品な作りの作品が多い印象です。
観やすくなった反面、
ボリウッド映画が持っていた、
荒削りの面白さが、損なわれている様な印象も受けます。
その点、
本作『ロボット2.0』は、
そういう、昔ながらのボリウッド映画の面白さを、
未だ、持つ作品であるとも言えます。
アクション、
ロマンス、
ギャグ、
家族、
復讐、
感動 etc…
エンタメの、面白いものてんこ盛りがボリウッド映画だというのなら、
本作は正に、
正しいボリウッド映画の系統に位置します。
先ず、唐突にスマホが空を飛ぶ事自体、
意味不明だし、
その説明が、
(磁力、重力、強い力、弱い力に続く)
宇宙の第五の力とか言う、
無理矢理なSF設定にシビれるし、
その正体が「オーラ(怨霊)」というトンデモ設定に腰抜かすし、
まるで、
『グラップラー刃牙』の最大トーナメント編の、
シークレット・ウォー・イン・ベトナム
みたいな感じで、
唐突に敵役のオッサンのエピソードが始まるし、
美人助手ロボットのニラーは、何故かコメディリリーフで、
ロボットなのに感情があって、
愛に目覚めたら、髪が風でぶわってなるし、
もう、
脳がとろけそうでしたね、
ええ。
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スマホ!!
中でも、
スマホの描写は秀逸でしたね。
何故か、
スマホの画面に「鳥」が映ると、
空を飛ぶというトンデモ設定なのですが、
最初の被害者を餌食にした時の、
光るスマホの群体が動く様子は、
まるで、
『SF人喰いアメーバの恐怖』(1958)とか、
『ブロブ/宇宙からの不明物体』(1988)の「スライム」を彷彿とさせる動きでしたし、
部屋中の壁に貼り付いて、
一斉に「ブーブー」鳴っている様子は、
正にホラー映画的であり、
ゾッとさせられました。
そんなモンスターが生まれた背景には、
世間の、圧倒的な無理解という、無関心が原因というのが、
また、なんとも心をえぐります。
渡り鳥が、
本当に、地球の地磁気の影響を受けているのかは、
まだ分かりませんが、
携帯の中継アンテナが、
基準以上の電波を発しているというのは、
日本でもあり得ると思います。
実際、
後発の楽天は、
「繋がらない」と苦戦していますしね。
まぁ、
この敵役であるパクシのエピソードを強引に映画に挿入する事で、
力技で「鳥」と「スマホ、携帯」の関係性を説明するというのがまた、
素晴らしいトンデモ展開で嬉しいですね。
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プラグスーツ!?
さて、本作は無理矢理気味にSFになっていますが、
その一端を担うのは、
ニラーがお手伝い助手ロボットだという設定です。
演じるのは、
イギリス出身のエイミー・ジャクソン。
モデルの仕事をしており、
その写真を見た映画のプロデューサーが、
タミル語の映画『Madrasapatinam』(2010)のオーディションに招待し、
そのまま、デビューとなったそうです。
なんとも、
彼女の現実味の無い美女振りが、
ロボットという設定に説得力を与えています。
まるで、
無表情の筋肉ムキムキ、キン肉マンのアーノルド・シュワルツェネッガーを、
「T-1000型」というロボットにしたのと、
同じ親和性を感じます。
それでいて、
ちょっと、クスッとさせるコメディリリーフ振りを観せてくれるのも、
可愛いんですよね。
さて、
そのニラーは、
劇中にて「アンドロイド服」みたいなモノを着ています。
そのデザインが、
アニメの『新世紀エヴァンゲリオン』のプラグスーツを彷彿とさせるのは、
私だけでしょうか?
日本人みたいな農耕民族(短足)がプラグスーツを着てもイマイチ、コスプレ感が拭えませんでしたが、
エイミー・ジャクソンくらいの美女が着ると、
「あ、プラグスーツって、実在するとしたらこんな感じなのか!」と、
初めて思いました。
エンドクレジットが派手で絢爛豪華だっただけに、
もっと、
ダンスシーンを観たかったというのが、本音ですね。
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音楽の小ネタ
本作の音楽を手掛けたのは、A.R.ラフマーン。
『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)
『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)ではアカデミー賞作曲賞、歌曲賞を受賞、
前作『ロボット』(2010)
『SANJU/サンジュ』(2018)等を手掛けています。
その独特な音楽は、
インド映画に欠かせない!?とも言えます。
本作においては、
チッチィ(真面目バージョン)が攻勢に移る時に、
『ムトゥ 踊るマハラジャ』で使われた音楽に似た曲が流れる所に、
ファンサービスを感じましたね。
スマホの集合体と、
オッサンロボットがガチンコバトル!!
最終的には巨大化って、
この発想を実現させるというのが凄い!!
楽しい!!
色々考える所もありますが、
しかし、
頭カラッポで楽しめる、だから、面白い!
それが『ロボット2.0』なのです。
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