映画『DUNE/デューン 砂の惑星(2021版)』感想  拘り抜いた映像美とクオリティのSFアドベンチャー     

皇帝の命に従い、有力領家アトレイデス家は砂の惑星デューンを治める事となった。
しかし、これまでデューンの出産物であるスパイス(香辛料)の流通操作で莫大な利益を生み出していたハルコネン家が、これに黙っておらず、暗躍を始める、、、

 

 

 

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監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ
最近は原作付きSF作品の映画化を行っている印象。
主な監督作品に、
『静かなる叫び』(2009)
『灼熱の魂』(2010)
『プリズナーズ』(2013)
『複製された男』(2013)
『ボーダーライン』(2015)
メッセージ』(2016)
ブレードランナー2049』(2017) 等がある。

 

原作は、フランク・バーバートのSF大河小説シリーズ「デューン」。
日本では、第一作目の『デューン/砂の惑星』(1965)にて知られる。

 

出演は、
ポール・アトレイデス:ティモシー・シャラメ
レディ・ジェシカ:レベッカ・ファーガソン
レト・アトレイデス公爵:オスカー・アイザック
ガーニー・ハレック:ジョシュ・ブローリン
ダンカン・アイダホ:ジェイソン・モモア

チャニ:ゼンデイヤ
スティルガー:ハビエル・バルデム

教母ガイウス・ヘレネ・モヒアム:シャーロット・ランプリング

ウラディミール・ハルコンネン男爵:ステラン・スカルスガルド
ラッバーン・ハルコンネン:デイブ・バウティスタ 他

 

 

 

 

過去、数回映像化された作品「デューン」。

アレハンドロ・ホドロフスキーは、
1970年代に、映画化しようとして失敗、
その顛末は『ホドロフスキーのDUNE』(2013)として映像化されました。

 

デイヴィッド・リンチは、
『デューン/砂の惑星』を1984年に映画化。

カルト監督としてコアなファンも多いデイヴィッド・リンチですが、
本作は、一般的には失敗作との烙印を押されている印象。

長大な原作を再現しきれていないというのがその理由ですが、

一方、
独特の雰囲気を評価する声もあります。

 

2000年には、
TVシリーズとして『デューン/砂の惑星』が放送されます。

これは、
続篇の『デューン/砂の惑星Ⅱ』(2003)

前編が265分、
続篇が266分という、長大さで、
共に、エミー賞の視覚効果賞を受賞しています。

 

 

 

そして通算としては、5度目の映像化となる「デューン」シリーズ。

上映時間の155分は、
本来ならば「長い」部類ですが、
さて、
「デューン」を描く場合は、どうか?

『メッセージ』
『ブレードランナー2049』と、
SF作品を連続で監督してきたドゥニ・ヴィルヌーヴの腕の見せ所、
ではありますが、

実際は、

オープニング直後のタイトルは、

DUNE PART ONE

 

 

というものでした。

デスよね~!!

分かってましたヨ!!

既に作っている途中か?
それとも、興行収入によって左右されるのか?
どちらにしろ、続篇在りきの企画だった!!

でもねぇ、
ストーリーが途中で終わる作品ならば、
最初っから、言って欲しいよねぇ、
ぶっちゃけ。

仁義に悖るでしょ。

 

まぁ、それはそれとして、本作。

先ず、目を惹くのは、
静謐で透徹した、その映像クオリティ。

 

 

これは、
『複製された男』や
『メッセージ』
『ブレードランナー2049』でも共通された特徴で、

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督独特というか、

彼が、特に映像作りにおいて意識している点だと思われます。

 

砂漠の惑星で砂まみれ。

ともすれば、公園の砂場で遊ぶ子供を映したホームビデオになりがちですが、

本作は、
一々美しい、
そして、カッコ良い!!

何故なら本作は、
人物の所作から、立ち位置、

光の明暗、
建物内、屋外、爆発光、

服装、装備、美術、搭乗機。

全てに統一感があり、
それが、圧倒的な映像美を作りだしています

 

一方、
ストーリーやSFの設定は、

よく言えば、王道、
ぶっちゃけると、よくあるいつもの。

 

 

ストーリー展開は、
丁寧で真面目。

あっと驚く仕掛けや伏線みたいな感じではありませんが、
予想通りの展開は、
逆に、観ていて安心感があります。

 

SF設定も、

最近よくある感じの、
マニアだけが喜ぶ様な、
重箱の隅をつつくような細かい設定とか、
素人が聞くと欠伸が出ちゃいそうな理論とかは特に出てはこなくて、

ギリギリ、
理解出来る範疇の専門用語とかに留めているのは、
好感が持てます。

 

とは言え、
こういう長所は、
逆に言うと、

凡庸な上に、
独特な面白味に欠けるという批判と紙一重でもあります。

もっとハッキリ言うと、

「スターウォーズ」の方が、
解り易く、
派手で、
キャラが良くて、
ケレン味があって、
面白いわ!!

 

 

と、思う人も居るでしょう。

 

確かに本作は、
一言で言ってしまえば、
堅苦しいスターウォーズ」と言った所。

スターウォーズと同じ様な設定だな、
スターウォーズで観たな、

そういうシーンだったり、
展開だったり、
設定だったり、多く見受けられます。

 

が、
しかし、待って欲しい。

「デューン」の原作の一作目が発表されたのが、
1965年。

スターウォーズの一作目、
エピソード4が公開されたのが、1977年。

実際には、
明らかに原作「デューン」の設定を、
スターウォーズはパクっています

 

哀しいかな、
映画としては後発となったが為に、

本来の起源である「デューン」の方が、
二番煎じとなってしまうという逆転現象が起きているのです。

まるで、
偽物が先に特許を取ったが為に、
本物が販売出来なくなるみたいな理不尽!!

しかし、
これが現実!!

 

まぁ、でも、
「スターウォーズ」も「デューン」も、
持ち味が違うので、
人それぞれ、好みが、評価は分かれるでしょう。

例えると、
「スターウォーズ」が少年ジャンプで、
「デューン」はSFマガジンと言った所でしょうか?

一般受けするのはどっちかというと、
言わずもがなです。

 

 

本作『DUNE/デューン 砂の惑星』は、
監督らしい個性が存分に発揮された、

美しく、真面目で、完成度が高く、
手堅い作品となっています。

155分の間、異世界の世界観に存分に浸れますし、
続篇も絶対に観に行きます。

 

その一方、
キチンと仕事はこなすけれど、
勤務終了後には、一緒に飲みには行かない仕事仲間みたいな、

難点や批判点はないけれど、
特に大好きで、メチャクチャ推す!という程では無い

という、作品でもあります。

 

豪華出演陣の好演も相俟って、

無難に手堅く面白い
それが、今回の
『DUNE/デューン 砂の惑星』といった印象です。

 

 

  • 『DUNE/デューン 砂の惑星』のポイント

静謐で透徹した映像美、クオリティ

豪華出演陣の好演

良くも悪くも、王道なストーリーとSF設定

 

 

 

コチラは原作小説第一作目「砂の惑星」の、上巻

 

 

 

コチラが、ホドロフスキーのデューン

 

 

 

デイヴィッド・リンチ版がコチラ

 

 

 

 

TVシリーズ版は、コチラ

 

 

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