映画『デューン 砂の惑星 PART2』感想  格好良いは正義!?ケレン味溢れるSF大作!

辺境の惑星アラキス。スパイスが採れるこの惑星を支配する者は、宇宙を支配する…
ハルコンネン家の陰謀で、一夜にして滅んだアトレイデス家。
当主の息子、ポールは母ジェシカと共に砂漠に逃げ込んだ。
アラキスの先住民、砂漠の民「フレメン」の部族長の一人スティンガーは、ポールこそ待ち望んだ「救世主」であると信じ、受け入れるのだが、、、

 

 

 

 

 

 

監督は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ
カナダ出身。
いつの間にか、SF映画巨匠っぽいポジションに落ち着いている。
長篇映画監督作に、
『静かなる叫び』(2009)
『灼熱の魂』(2010)
『プリズナーズ』(2013)
『複製された男』(2013)
『ボーダーライン』(2015)
『メッセージ』(2016)
ブレードランナー2049』(2017)
DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)

 

原作は、フランク・ハーバートのSF小説
『デューン砂の惑星』。

 

出演は、
ポール・アトレイデス:ティモシー・シャラメ
チャニ:ゼンデイヤ
レディ・ジェシカ:レベッカ・ファーガソン
ガーニイ・ハレック:ジョシュ・ブローリン
スティルガー:ハビエル・バルデム
???:アニャ・テイラー=ジョイ

ウラディミール・ハルコンネン男爵:ステラン・スカルスガルド
フェイド・ラウザ=ハルコンネン:オースティン・バトラー
ラッバーン・ハルコンネン:デイブ・バウティスタ

バーディシャー皇帝シャッダム四世:クリストファー・ウォーケン
皇女イルーラン:フローレンス・ピュー

教母ガイウス・ヘレネ・モヒアム:シャーロット・ランブリング 他

 

 

 

 

いつの間にやらSF映画監督、
どうも、ドゥニ・ヴィルヌーヴです。

前作『DUNE/デューン 砂の惑星』がヒットしたとの事で、
続篇製作決定!!
パート2だ!!

という事で、続きが観られるぞ!!
『デューン 砂の惑星 PART2』です。

 

というか、
前作は、薄々気付いていましたが
「続き物」と告知せずに公開、
「じゃじゃーん!!続きます!!」と
中途半端な所で終わったという、ね。

やらずぼったくりとは、
正にこの映画だったという、ね。

 

いやね、
前作は、本当に、
ストーリー的な山場が無い、
設定と専門用語と「画」だけカッコ良いという、
それだけの映画でした…

 

しかし、安心して下さい、

本作はちゃんと面白い!!
アクション、修行、成長、
謀略、仇敵、サスペンス、
スペクタクル、決闘
恋やら、予言やら、試練やら、
盛り沢山ですね

 

 

コレはインド映画か?という程の盛り沢山ぶり

前作で盛って、使われなかった山場の設定を、
本作にて回収しています。

ふぅ、満足。

 

でもねぇ、
3時間映画2本分って、

そこを頑張って一本の作品にまとめるのが、
ナンボのもんでしょう!?

と、思わなくも、ないです。

あ、因みに、
ちゃんと前作を観ておかないと、
本作はちんぷんかんぷんですので、悪しからず。

 

まぁ、それはそれとして、

本作、
先ず、ビジュアルイメージがカッコ良いです。

基本、

「画」がカッコ良い、
カッコつけ映画です。

 

もう、
ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督は、
そういうモノだと割り切りました

そういうモノだと知っているから、

もう、慣れちゃった感じで
逆に、持ち味として面白く思います。

 

ほら、
狩野英孝って、
最初見た時は、
何か、いけ好かないヤツだなと、思いませんでしたか?

しかし、
見慣れて、そういう人だと認識した後は、
「オモロイおっさん」というイメージになっていませんか?

 

つまり、ヴィルヌーヴの「デューン」も、
そんな感じです(!?)
映画版・狩野英孝なんですよ!!

 

いや、褒めてますよ!

 

で、
画がカッコ良くて、

砂漠が舞台なのに、
全然、汗臭くないのです。

砂とかで汚れていても、
スタイリッシュです。

この持ち味にて、

SF的なハッタリをかますのだから、
面白い!

 

ポーズとか、
止め画とかがカッコ良い、

思わず真似したくなる、
厨二病映画なのです。

 

SF映画という、
どっちかと言うと、
オタク向けジャンルを、

金をジャブジャブ使って、
有名な役者をドンドコ使って映像化して、

ちゃんと、
面白い作品に仕上げている、
この手腕だけでも、褒められるのではないでしょうか。

 

前作の良い所を伸ばして、
ちゃんと、決着させた『デューン 砂の惑星 PART2』

消化不良の前作に辟易した人も、
頑張って、観る価値がある作品です。

 

…しかし、
一応、切りの良い所で終わってはいますが、
まだ、続篇を匂わせているンだよなぁ…

 

 

 

  • 『デューン 砂の惑星 PART2』のポイント

消化不良だった前作を受け継ぎ、山場をちゃんと作っている

画がカッコ良い!!

偶像崇拝

 

 

 

以下、内容に触れた感想を語ります

 

 

 

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  • ドゥニ・ヴィルヌーヴのデューン

本作『デューン 砂の惑星 PART2』は、
「貴種流離譚」と言われる物語の形をしており、

王子や英雄などが、
故郷を逐われ、
異郷での修行や試練を乗り越え、
最終的に目的を果たしたり、覚醒したりするストーリー展開のものです。

 

原作は、
その貴種流離譚という物語の定型に、
SF的な設定、ガジェットを多数盛込んで、
魅力的な世界観を構築して、
ヒットした小説シリーズ。

本作は、
その第1巻分を
たっぷり、6時間強の時間を使って映像化したものです。

 

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ならではの、
「画」の拘り、

見た目のスタイリッシュさ、
止め画の格好良さなど、

原作の独特な設定を、
独自の美学にて、映像美として再現していいます。

 

さて、
前作は消化不良で不満だったのですが、

本作では、
アクションや謀略など、
見所が多く、楽しめました

 

また、
個人的には、
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の、
止め画や美術にばかり比重を置いた
「かっこ付け」が鼻についていたのですが、

それも
『メッセージ』
『ブレードランナー2049』
『DUNE/デューン 砂の惑星』と3作も観ると、

もう、こういう持ち味なんだと慣れっこになって、
鼻持ちならなさが、気になりません

 

いやぁ、慣れって、怖いですね…

 

  • 偶像崇拝の三者三様

そんなヴィルヌーヴの「デューン」で、
私が一番好きなシーンは、

ポールが南部の部族会議に乗り込んで、
演説するシーンです。

 

先ずポールは、
フレメンによって新しい名前、
「ムアディブ(トビネズミの意味)」=「道を指し示す者」を与えられます。

 

その彼が、ベネ・ゲセリットによって、
予め、救世主伝説が拡げられていた、
アラキスの南部へ行きます。

原住民であるフレメンの間では
外からやって来ると言われるリサーン・アル=ガイブが
緑の大地を蘇らせる救世主と言われています。

 

そのベネ・ゲセリットは、
謀略によって、
男性版ベネ・ゲセリットである
クゥィサック・ハデラック=救世主を産もうとしています。

 

三者三様の「救世主」として認識されているポール。

彼は演説にて、

多数のフレメン達の中に立ち

微妙に立場が違う人々の、
その人間が信じたい救世主像に自分を当て嵌めて行きます。

 

半信半疑の人には、
その人間しか知り得ない様な情報を、千里眼の様に披露し平服させ、

緑の大地を欲するスティンガーには、
それを約束し、

レト大公の仇を討ちたいガーニィには、
自分こそが後継者だと宣言し、

それぞれの立場の者の、
それぞれの「救世主」像を巧みに理解し、
その望みの救世主を演じているのです。

 

これこそ、偶像崇拝であり、
アイドルの誕生です。

ファン(信者)に、
偶像の理想像を妄想させ、
自分こそが、理想像だと勝手に宣言し、
そのイメージ戦略によって支配する

政治家や宗教家、アイドルが用いている人心掌握術です。

これは、
ラストのフェイド・ラウザ=ハルコネンとの決闘と、
その後の皇位継承の時にも使われた演出です。

 

そして、
どちらのシーンにも、
その「作られた演出」に嫌悪感を感じるチャニが、
群衆の様に勝ち鬨を上げず、或いは、拝跪せず、
一人、頑是無く佇み、
離反する様に踵を返すのです。

 

支配者、
利用される側、
まつろわぬ者と、

三者三様の立場が際立つ
印象的なシーンと言えるのではないでしょうか。

 

 

 

単なるカッコ付け、
しかも、消化不良で終わった前作の積み残しのストーリーを完結させた
『デューン 砂の惑星 PART2』。

格好良さはそのままに、
見せ場が多く、
ちゃんと、カタルシスもある作品となったのではないでしょうか。

 

…そしてもしかして、
評判良ければまた、続くかも!?
そんな「デューン」シリーズにも期待出来るかも、
しれませんね。

 

 

 

コチラが、原作小説の上中下巻の内の「下」巻。映画部分もこの辺がメインです

 

 

 

 

 

 

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