映画『変な家』感想  おっと、後半そうなるのね!?

動画サイトでホラー系の投稿を行っている配信者の「雨男」こと雨宮。彼は、知人が購入予定だが違和感があるという、家の間取り図を手に入れる。
知人の設計士・栗原に相談した雨宮。間取り図を見た栗原は、即座に忠告する。「私なら買わない」と。彼の指摘によって、奇妙な点が浮かび上がる、、、

監督は石川淳一
数々のTVドラマでチーフディレクターを務める。
長篇映画監督作に、
『エイプリルフールズ』(2015)
『ミックス。』 がある。

原作者は、雨穴
ウェブ記事に掲載後、
YouTubeにて動画配信された「【不動産ミステリー】変な家」
及び、
書籍化された『変な家』が原作。

出演は、
雨宮トオル/雨男:間宮祥太郎
栗原文宣:佐藤二朗
柚希:川栄李奈

柳岡さん:DJ松永
片淵綾乃:瀧本美織
松岡喜江:斉藤由貴

片淵重治:石坂浩二
片淵文乃:根岸季衣
森垣清次:高嶋政伸 他

YouTubeを見ていると、
横に、あなたのオススメが出て来ますよね。

そこの欄に、
度々、現れていた雨穴の動画
「【不動産ミステリー】変な家」

特に見る事も無く、
今まで過ごしていましたが、
どうやら気付けば、人気のコンテンツだったらしく、
書籍化、
そして今回、映画化されるというものだそうです。

観てみると、
2024年3月19日現在、
再生回数1770万。

ス、スゴイ…

創作なのか?
実話なのか?

その点、曖昧な点も相俟って、
ちょっと、
ゾクッとして、
面白かったです。

(因みに私は映画版がファーストコンタクトです)

そして本作、
映画版『変な家』は、

動画版の雰囲気を導入部として配置し、
それを拡張した書籍版を原作としています。

好評な動画部分、
後半は、
小説として書籍化するにあたって、
増補された部分。

どうやら本作の好き嫌いは、

後半をどう捉えるかによって、
評価が変わってきそうです。

私の場合は、
え?こうなるの?と、
若干戸惑いましたが、

まぁ、
元来のホラー好きなので、
「これはこれで」と楽しめました。

人気コンテンツの映像化ということで、

ゾクッとして面白い部分がある反面、
そんな訳ねぇ!!とツッコみを入れる場面も多数

このツッコみ部分が許容出来るかどうかも、
本作の満足度に関わってくると思われます。

基本、ホラー映画という事で、
鷹揚な心で受け入れるのが、正しい鑑賞姿勢だと思われます。

割とカジュアルに観て、
ちょっと、ゾクッとして楽しむ、
『変な家』はそういう作品ですね。

  • 『変な家』のポイント

前半と後半のギャップ

ゾクッとする謎

ツッコみ部分も含めて楽しむべし

以下、内容に触れた感想となっております

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  • 前半と後半のギャップ

本作『変な家』のパンフレットに、
原作者、雨穴氏のインタビューが載っていました。

それによると、
小説版の『変な家』を読んだ読者の感想に、

前半のミステリー風味の部分は面白いけれど、
後半の因習ホラーの部分は、現実味が薄れてさめる

というものがあったそうです。

映画版の『変な家』が初見だった私の感想も、
正にそれ。

前半のミステリ調の部分が面白く鑑賞出来て、
後半は、とって付けた様な印象でした。

まぁ、それもそのはず。
前半のミステリ部分は、
元々、好評だった「本篇」の部分であり、

後半の因習ホラーの部分は、
それを、小説にする為に、書き加えた「増設部分」であるからです。

とは言え、
「変な家」という題名に即して、
住む家という建物の話と、
家系の習わしという家族の話を掛合わせたダブルミーニングにしているのは、
面白いアイディアだと私は思いました。

只、
前半部分が面白過ぎて、
後半、失速した感が否めないというだけです。

ぶっちゃけ本作のハイライトは、
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)風の
POV(撮影者の一人称)視点のモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)にて、

「変な家」に侵入し、隠し通路を発見した時に、
栗原からの電話にて、
「柚希」が素性の知れない人物だと判明するシーンですね。

この場面のゾクッとする感じが、
メチャメチャ面白かった!!

…けれど問題は、
中盤のこのシーンを超える場面が、
その後、存在しないという点なんですよね。

で、
後半は謎解きてきな面白さは薄れて、

変な家の変な因習の話になり、
どちらかというと、
ゴリ押しで事件を乗り越えているのが、
ちょっと、
物語の構成的にも、展開的にも、
無理矢理感があるな、と感じてしまいました。

これはこれで、面白いンですけどね。

要は、
前半と違うテイストになったのが、
戸惑いの元だと思うのです。

勿論、
前半と後半で違う映画なのに面白い作品もあります。

『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996)とか、
オーヴァーロード』(2018)などです。

しかし、これ達の映画は
後半の盛り上がりがメインなのです。

本作は逆に、
前半の雰囲気の方が面白かったので、
後半の転調が残念だと感じた人も多かったのかもしれません。

とは言え、
オチで柚希が、
母と姉の会話に引いていた表情とか、
面白部分も多くあったので、
どうにかこうにか、見せ方次第では、
後半も盛り上がり方があったのでは?と、思います。

  • ツッコみ部分が止まらない!!

前半から転調する後半のギャップに戸惑う、
というのが、
本作『変な家』の評価に関わると言いましたが、

それと同じくらいか、
寧ろ、
それ以上に重要な点が、

細部の作り込みの放棄、
所謂、
ツッコみ部分が多いという点です。

低予算のB級映画作品の様な投げっぱなしぶりが、
本作には多数、見られるのです。

例えば、
ネットで連絡して来た相手を、
雨男(雨宮)は、初見時に撮影スタジオに招きます。

いやいや、
そうはならんだろう、と。

人気YouTuberの「はじめしゃちょー」だって、
住所を特定されて「家凸」された事に何度も苦しめられ、
引っ越しを繰り返し、警察に通報する事もしばしばでした。

それなのに、動画配信者が、
ネットで連絡して来た初対面の人物を、
イキナリ、スタジオに招くでしょうか?
この時点で、現実味が無いファンタジーだと感じてしまいます。

他にも、
「変な家」に侵入するシーンですが、
何故、どうやって、侵入出来たのでしょうか?

問題無く家の中に入れて、謎です。

また、
「変な家」の子供部屋の床が、
爪の引っかき傷だらけだったのですが、
その不気味さの謎に、
納得のいく答えが出ていません。

回想シーンでは、
閉じ込められてはいるものの、
明るい、幸せな家庭の様に描写されていた

そのギャップに、
違和感があります。

また、
クライマックスの場面、
突然、チェーンソーをもってババア(片淵文乃)が現れます。

大暴れするかと思いきや、
チェーンソーを岩にぶつけるだけという拍子抜けぶり。

私だったら、
綾乃の夫の片淵慶太あたりの首を刎ねて、スプラッタ状態にし、
「バカ、刎ねるのは左手にしろ」とか
意味不明の台詞を言わせていましたね。

若しくは、
ゲームの『デッドライジング』に登場する殺人ピエロ(アダム)の様に、
自分のチェーンソーで自分の体が両断されるみたいな、
シュールな残酷シーンを入れていたら、
面白かったと思いますね。

チェーンソーババアというインパクト大のキャラクターを出したのに、
全然活躍させないのは、
意外を通り越して意味不明でした。

他にも、
雨宮が柚希のインタビュー動画を編集しようとした時、
急にバグッた現象も、
特に意味の無いミスリードの様でしたし、

柚希の父親の本当の死因も、
ぼかされたままです。

本作はそういう、
思わせぶりで振っておいて、
伏線を回収せずに投げっぱなし的な展開が多すぎて、
結果、
意味の無いシーンみたいな部分が多数です。

そういう点を
考察で補うのが面白いという部分もありますが、

本作では寧ろ、
脚本、設定の作り込み不足を露呈しているように感じました。

ストーリーの基本ラインが面白いだけに、
そこが、残念だと感じたのですが、どうでしょうか。

まぁ本作、
メインキャストに佐藤二朗が居るので、
そういう所も含めて、
寧ろ、コメディタッチにツッコむのが正しいのかもしれませんね

とは言え、
前半のミステリーと、
後半の因習ホラーで、

一本で二粒楽しめる本作。

後半が残念とは言ったものの、

観ている間は、
石坂浩二も、高嶋政伸も、
そうだと気付かない位、
役に入り込んでいて、
不気味さが際立っていました。

その点は、評価ポイントです。

ゾクッとしたり、
ツッコみを入れたり、
色々情緒の波が激しいですが、

そういう意味で、
『変な家』は、楽しく鑑賞出来たと言えます。

コチラが原作となった、雨穴・著、小説版の『変な家』です

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