映画『ビヨンド』感想 人体は破壊する事に意味がある!!?

 

 

 

1927年、ルイジアナにてホテルに滞在していた画家がリンチにより惨殺された。時が経ち1981年、寂れたホテルを相続し、再建しようと奮闘するライザの前に盲目の女性エミリーが現れ警告する、、、

 

 

 

監督はルシオ・フルチ
ショッキングなホラー描写で有名な監督だ。代表作に
『サンゲリア』(1979)
『地獄の門』(1980)等がある。

主演はカトリオーナ・マッコール
他共演に、デヴィッド・ウォーベック、サラ・ケラー等。

 

ルシオ・フルチはスプラッター映画の巨匠、マスター・オブ・ゴア、ゾンビ映画監督、等と呼ばれている。

そして本作『ビヨンド』も

ゾンビ映画だ。

 

しかし、今の常識で計ってはいけない。
銃で「パンッ!」と撃って、「パキャッ」と小気味よく頭が吹っ飛ぶみたいなノリではない。

ぐちょっ、っとして生々しい、リアルな痛みのある人体破壊描写が満載されている。

 

というか、それがこの映画『ビヨンド』の主眼である。

ストーリーはあってなきもの。

如何に残酷描写を見せるか、その一点にのみ全力を注いでいる。

 

CGなど無い時代。
特殊メイクによる必要以上の残酷描写に苦心惨憺している様子がありありと伝わってくる。

その異様な執念というか熱気みたいなモノを感じてみるのも良いかもしれない。

 

 

以下ネタバレあり


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  • 気難しい監督

あなたはDVDなんかのソフトについている「オーディオコメンタリー」って観てますか?
私はオーディオコメンタリーが大好きで、むしろそれを観る為にソフトを買っているタイプです。

さて、この『ビヨンド』のオーディオコメンタリーによると、監督は相当気難しかったようだ。

キレて俳優と喧嘩し、暴言を吐く。
俳優は呆れて現場を離脱、それを助監督等がフォローし何度も迎えに行っていたらしい。

他にもセットの影で涙を呑んだり、あらぬ麻薬疑惑を懸けられ罵倒された人もいたようだ。

しかし、その影響か?
画面からは常に異様な緊張感が漂っている

そして「何か起きそう」という雰囲気になったら、必ず何らかの不幸が起こる。
「引き」や「溜め」は考えない。
出し惜しみなど一切無し、全編に亘って残酷描写をコンスタントにちりばめている

 

  • 拘りの人体破壊描写

そして、その残酷描写も拘っている。

CGが無い時代、特殊メイクを使っていると一目で分かる。
しかし特殊メイクと分かっていても、人体を必要以上に残酷に破壊する描写を見せられると、あまりの悪趣味に嫌悪感を抑えられない

この「生理的嫌悪感の喚起」という点は、現在のツルツルしたCG描写、謂わば「滅菌された無害さ」では到底真似出来ないものだ。

 

ホラー映画に歴史あり。
先人達の(異様な)努力、その効果は現在においても十分通用するものがある。

その歴史の一端に触れてみれば、新たな視点が獲得できるかもしれない。

 


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さて、次回は、本ブログも新たな視点を以て、『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺跡群』について語ってみたい。