映画『アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~』感想  笑えて、楽しい!!チームプレイが勝利の面白さ!!

 

 

 

緑豊かな谷で、ウサギを狩って生活しているダグの部族。しかし、突如進撃して来た青銅器時代の部族によりたちまち故郷を追われ、危険なバッドランドへと追いやられてしまう。単身青銅器時代の町へ潜入するダグ。そこでは、サッカーが娯楽として絶大な人気を誇っていた、、、

 

 

 

 

監督はニック・パーク
アニーメーション制作スタジオ「アードマン」に所属。
アカデミー賞を4度も受賞している知られざる巨匠である。
主な監督作に
『快適な生活』(1989)
『チーズ・ホリデー』(1989)
『ペンギンに気をつけろ!』(1993)
『ウォレスとグルミット、危機一髪!』(1995)
『ウォレスとグルミット、野菜畑で大ピンチ!』(2005)
『ウォレスとグルミット/ベーカリー街の悪夢』(2008)等。

 

 

最近
KUBO/クボ 二本の弦の秘密
『僕の名前はズッキーニ』
犬ヶ島
など、ストップモーションのアニメが続けざまに公開されています。

この流れに乗って公開された本作『アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~』もストップモーションアニメーションです。

そして、本作の監督は、
「ウォレスとグルミット」シリーズにて幾度もアカデミー賞を受賞し、
「ひつじのショーン」シリーズの制作を手掛けた、
あのニック・パーク。

ストップモーションアニメ界の巨匠、
遂に、本命現る!?

 

そういうノリですよ!

 

とは言っても、構えて観るタイプの映画では無く、

基本はアニメーション、

動きや話の面白さで魅せるタイプの作品です。

 

余計な事はゴチャゴチャ考えずに、
楽しんで観ればいいじゃない!!

 

時代は、ネオ更新世。

石器時代の原始人と
青銅器を扱う都市国家の住民がサッカーで対決!?

 

もう、この時点で訳が分からない面白さがあります。

石器時代の住民は、
青銅器によって駆逐されてしまうのか!?

しかし、勝負はサッカー、
ワンチャン石器時代の住民にも、勝利の芽があるかも!?

そう、
ワールドカップに挑む、日本のように、、、

(それって、負け確定じゃん!!)

 

本作は、ある意味、ワールドカップに合わせた作品とも言えるのかもしれませんね。

 

そして、本作は、ストップモーションのアニメ独特の存在感、

いわゆるクレイアニメーションといった作品です。

 

簡単に言うと、
クレイ(ねんど)で作ったキャラクターをちょっとずつ動かしながら撮影しているのです。

なので、
よく見ると、キャラクターに指紋のシワらしきものも見えます。

この手造り感が、良い味出しているのです。

 

そして、キャラクターの顔がまたイイ!!

日本で言う所の『はじめ人間ギャートルズ』的な

独特のブサかわ感があります。

 

人間も、動物も、
出てくるキャラクターに魅力があります。

 

また、ストップモーションとしては珍しいですが、
本作はCGも所々使っています。

表現の為に、技術に囚われず、柔軟な姿勢で臨んでいるのですね。

 

上映時間はコンパクトな89分。

この間、俗世のしがらみを忘れ、
純粋に物語世界を楽しむ事が出来る、

頭カラッポにして、思いっきり笑えばいいじゃない!

『アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~』はそういう映画です。

 

 

  • 『アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~』のポイント

クレイ(ねんど)を使ったストップモーション独特の質感のアニメーション

キャラクターのブサかわ感

誇りを見出す物語

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


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  • ギャグセンス

『アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~』はアニメーション。

その基本は、「観る人を楽しませる事」を目標としています。

特にギャグ方面。

これが凄い。

人を笑わせるって、案外と難しいものです。

意図して笑わせようとすれば、
その内「一体何が面白いんだろう?」と、自問自答の森に迷い込んで、面白さそのものが分からなくなって来ます。

 

しかし、本作ではそんな困難を乗り越えて、
様々なシーンで、コンパクトにギャグを入れ込んで来ます。

動きの面白さ、台詞の面白さ、
中でも目立つのは、状況(シチュエーション)の面白さです。

 

ヌース卿に女王の言葉を伝える「伝言鳥」の面白さ、

遠近法がおかしい、鴨のどデカさ、

「志村、後ろ~」状態のヌース卿のマッサージ etc…

理屈というより、一目見て分かる面白さ
これを追求しているのです。

だからこそ、
老若男女、古今東西問わずに全ての人が楽しめる作品となっているのですね。

 

  • ちょいとシリアスなストーリー

その一方で、ストーリー面はちょいとシリアスです。

故郷を侵略され、荒地に追われる部族の人間。

青銅器に破れる石器時代の人間の悲哀を描いています。

しかし、歴史通りにいかないのが映画の面白い所。

本作では故郷を奪還しますが、
それを成し遂げたのは、未だ見ぬ誇りを手に入れたからなのです。

 

その象徴は、ダグとグーナの二人の人物。

ダグは部族の血気盛んな少年で、
ウサギを狩るより、巨大なマンモスに挑戦しよう!と、
常々皆にハッパをかけては、
その度に長老にたしなめられていました。

ダグは、自分には何か出来ると信じながら、
それを外に発散出来ずにいたのですね。

また、グーナはブロンズ・エイジ・シティでフライパンを売っている少女。

しかし、本当の夢は、サッカースタジアムでプレイすること。

しかし、ブロンズ・エイジ・シティでは、女性がスタジアムに立つ事が禁じられていたのです。

 

何かを出来ると信じていた少年と、
夢を持ちながら、それを禁じられていた少女、

二人の動機は違いますが
「故郷を取り戻す為のサッカー」
これにより、自らのアイデンティティを証明し、獲得するという結果は同じなんですね。

ダグは巨大な相手を倒す事が出来、
グーナは自らの夢を実現します。

二人は、夢に見ながら実現出来ずにいた事を成し遂げたのですね。

 

アードマンの長篇劇場映画の前作『ひつじのショーン ~バック・トゥ・ザ・ホーム~』も、
故郷からはなれて、初めてその大切さに気付く物語でした。

いわば自らのルーツ、アイデンティティを発見する物語。

意外と、深いテーマを得意としているのかもしれません。

 

  • 声の出演、補足

アニメの声の出演に意外な有名人を使うのは、
今や洋の東西を問わずに流行なのかもしれません。

ダグ役を演じたのは、エディ・レッドメイン
『博士と彼女のセオリー』(2014)
「ファンタスティック・ビースト」シリーズに出演しています。

ヌース卿はトム・ヒドルストン
「アベンジャーズ」シリーズのロキ役で有名です。

グーナを演じたのはメイジー・ウィリアムズ
ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズのアリア・スターク役で有名で、
今後、映画関係でも露出が期待されます。

長老のボブナーの声を演じたのは、ティモシー・スポール
否定と肯定』(2016)などに出演しています。
名前ではピンと来なくても、
顔を見れば、「見た事ある」と言える名脇役です。

 

…とは言え、私は吹き替えで観てしまったんですがね!!

 

 

 

兎に角、
笑って、楽しめて、面白い作品『アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~』。

映画の面白さって、本来こういうものだよな、
そう思わせてくれる作品と言えます。

 

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