映画『ジョン・ウィック:パラベラム』感想  全篇これ、バトル!!アクション大魔王降臨!!

組織のルール破り、聖域であるコンチネンタル・ホテルにて殺しを行ったジョン・ウィック。故に、賞金首として、街全体から狙われる事となる。
その、猶予は一時間。
1400万ドル、敵は、街の全ての殺し屋。
ジョン・ウィックの友人、コンチネンタル・ホテル・ニューヨークの支配人、ウィンストンは言う。
「ジョン・ウィックが生き残る確率は五分五分だろう」、、、

 

 

 

 

監督はチャド・スタエルスキ
スタントマン出身。
『マトリックス』(1999)では、キアヌ・リーブスのスタントダブルを務めた。
監督作は、
『ジョン・ウィック』(2014)
ジョン・ウィック:チャプター2』(2017)という、
ジョン・ウィックと共に歩んでいる監督である。

 

出演は、
ジョン・ウィック:キアヌ・リーブス
犬:ピットブル

ソフィア:ハル・ベリー
犬×2:ベルジャン・マリノア

ウィンストン:イアン・マクシェーン
シャロン:ランス・レディック

バワリー・キング:ローレンス・フィッシュバーン

ディレクター:アンジェリカ・ヒューストン

ゼロ:マーク・ダカスコス
裁定人:エイジア・ケイト・ディロン 他

 

 

 

高い戦闘能力に、
ぶっ飛んだ思考、
復讐の鬼が快刀乱麻を断つ、『ジョン・ウィック』第一作目。

面白いアクション映画でしたが、
その界隈以外では、
特別に話題に上ることが少なかった印象でした。

 

その評価が一変したのが、第二作目の、
ジョン・ウィック:チャプター2』。

過剰だったアクションが、さらにエスカレート!

ストーリーも、
絶体絶命の危機を乗り越えたら、
それ以上の危機を誘発してしまうという、
正に地獄絵図

これを、圧倒的なアクションで乗り越えるのが、
滅茶苦茶興奮した作品です。

この第二作目が、
興行的にも、評価的にも大ヒット(日本以外で)。

そのラストは、
ジョン・ウィックが、最後の拠り所すら失って、
犬一匹を道連れに、
街をあてどなく彷徨い出でるというものでした、、、

 

そして、
あの、衝撃のラストの直後から開始されるのが、
本作、

『ジョン・ウィック:パラベラム』です。

期待のハードルが上がりに上がった状態で迎えた、
この第三弾の出来は如何に!?

 

いやぁ、凄い!

全篇、これ、アクション、
アクション大魔王、キアヌ・リーブス降臨!!

 

元々、「ジョン・ウィック」シリーズは、アクションシーンが多い作品ですが、

1が、6:4(アクション:ドラマ 比率)
2が、7:3 だとしたら、
本作は8:2 位、アクションの大盤振る舞いです。

 

最早、バランス崩壊レベル。

ストーリーは、ギリギリ理解出来る程度に留め、
後はもう、
アクションに次ぐ、アクションで、
アクションの箸休めに、アクションを行う始末。

「柿の種」だって、
柿の種と、ピーナッツの割合が、
5:5か、6:4位が、丁度いい感じですが、

ここまでアクションの連続なら、
胸焼けを起こしそう、と、思うでしょう?

 

しかし、本作は違います。

全篇これアクションシーンと言ってもいいのに、
全く飽きない、これが凄い!

本作にて使われる武器は、

肉体、銃、ナイフのみならず、
本、馬、バイク、ベルト!!

そして、最強の武器は、犬!?

 

これだけ武器があり、
戦闘にバリエーションがあるからこそ、
観客は飽きないのです。

いわば、
ビーフカレーに、
カツカレーに、
シーフードカレー、
インドカレーに、
タイカレーに、
カレーヌードル!!

料理法が違えば、
アクションの質も変わる。

これだけ、アクションを魅せてくれるのは、
流石、スタント出身の監督と言わざるを得ません。

 

…まぁ、でも、
カレー(アクション)ばっかり食べられる訳ないでしょ!!

という人には、
正直、オススメ出来ないという側面があるのもまた、確かです。

 

しかし、
全篇アクションにて、
破綻無く映画をまとめ上げた力技は、
これは、これで凄いもの。

確かに、ストーリー的には、
第二作目の『ジョン・ウィック:チャプター2』を観ていないと、
ちんぷんかんぷんでしょうが、

元々、アクションを楽しむ作品なので、
ストーリーを、過度に気にする必要もありません。

 

見事、期待に応えて、望むものを観せてくれた、
『ジョン・ウィック:パラベラム』。

あ、
本作がヒットしたなら、
続篇、また来そうですよ!!

 

 

  • 『ジョン・ウィック:パラベラム』のポイント

アクションに次ぐ、アクション、アクションの連続!

犬!!

ルール相手に、上手く立ち回るべし

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


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  • パラベラムとは?

本作の題名は、
『ジョン・ウィック:パラベラム』。

パラベラム(parabellum)とは聞き慣れない言葉なので、
ちょっと、意味を調べてみました。

 

作中、
コンチネンタル・ホテル・ニューヨークの支配人のウィンストンの台詞に

「Si  vis pacem, para bellum」というものがあります。
これは、ラテン語で、

英語の字幕で、
「If you seek peace, prepare for war」と訳されていました。

「para」が、提供する、備える
「bellum」が、戦争という意味なので、

これを日本語に直訳すると、
「もし平和を望むなら、戦争に備えよ」となるので、

つまり、意味合い的には、
平和の為には、戦争も已む無し」と言えるでしょう。

 

また、
ドイツにて、1898年に製造され、
第二次世界大戦時には、自動拳銃のスタンダードといわれた銃弾の名前に、
「パラベラム(parabellum)」というものがあります。

ラテン語の「Si  vis pacem, para bellum」も、
ドイツ武器弾薬製造会社(DWM)のモットーだそうです。

 

心の平穏の為には、過剰な争いすら厭わない本作のテーマと、
銃弾という象徴的なアイテムのダブルミーニング

それが、本作の副題となっているのですね。

 

  • パラベラムのアクション

本作『ジョン・ウィック:パラベラム』は、
アクションがウリの作品。

そんじょそこらのアクション映画とは、
訳が違います。

 

殆どのシーンを、
キアヌ・リーブス自身が、スタント無しで熱演。

馬に乗ったり、バイクに乗ったり、
人を投げたり、ナイフを投げたり、斧を投げたり、
拳銃を組み立てたり、弾丸連続リロードしたり、
殴って、殺陣を演じたり etc…

役者が訓練して、
自身で演じるからこその、説得力が凄いです。

 

また、その相手で、印象的なのが、
寿司屋「平家」を営む殺し屋「ゼロ」の弟子の「シノビ」の二人。

セセプ・アリフ・ラーマンと、
ヤヤン・ルヒアンの二人です。

二人は、インドネシア映画の『ザ・レイド GOKKUDO』(2014)に出演しており、

その映画で披露した、
「シラット」という格闘技を使います。

その辺り、アクション映画ファンなら、嬉しい所。

そして、その二人と戦う場所、クライマックスのアクションシーンは、
鏡、ガラス張りの部屋、
これは勿論『燃えよドラゴン』(1973)のラストシーンのオマージュ。

ガラスの破壊が、空間に傷が付いている様に見えるという、
視覚的な面白さに満ちた戦闘シーンです。

 

そして、本作で、最も印象的だったアクションシーンが、
モロッコ(カサブランカ)の場面。

ソフィアと共に戦う、犬(ベルジャン・マリノア)2匹です。

 

思えば、『ジョン・ウィック』第一作目にて、
「犬を殺した映画」として、
犬派の人間の不評を買ってしまった、本シリーズ。
(『デッドプール2』でもネタにされてました)

まさか、あの悪夢の場面の再現か!?

中盤、ソフィアの犬が撃ち殺され、
怒りを爆発させたソフィアが、
ジョン・ウィックと共に、
組織の「金貨鋳造局」を壊滅させるシーンがあります。

犬の敵討ちなら、仕方ないよね、
と、思って観ていたら、
何か、犬が、2匹居る様に、見えるんですよね。

というか、
拳銃で撃たれた犬、生きてます!
防弾チョッキ着てました!
そして、かなり元気です!

え!?
犬を撃たれた、という事実だけに対する報復なら、
過剰じゃない!?と思いますが、

そんな事言ったら、
犬に股ぐら食いちぎられますよ!?

 

そして、このソフィアの犬2匹、
なんと、演技が出来るのです。

実際に、ソフィア役のハル・ベリーは、
映画に出演する犬と、長時間コミュニケーションを取り、

最終的には、犬が、彼女を、トレーナーだと認識する位になったのだとか。

その甲斐あってか、
ソフィアの合図で人に飛びかかり、

ソフィアの股を潜って飛び出したり、
ソフィアの背中を踏み台にして、二階へとジャンプしたり、

犬ならではの、数々のアクションシーンが繰り広げられています。

正に、
対戦格闘ゲーム「サムライ・スピリッツ」シリーズの、
ガルフォードの飼い犬、パピィ並の活躍、

これが、リアルで観られるという驚異が、
本作の一番の収穫と言っても過言では無いでしょう。

 

犬好きの、犬好きによる、犬好きの為の映画、
それが、『ジョン・ウィック:パラベラム』なのです。

 

  • 秩序という名の「ルール」

「ジョン・ウィック」シリーズの世界観は、ある意味、特異なもの。

街には殺し屋があふれ、
「組織」のメールの一斉配信で、
賞金首の情報が出回ります。

そんな殺し屋組織を束ねる、
最上級の意思決定機関が、「主席連合」(ハイ・テーブル)。

本作では、
ルール(秩序)こそが、人を、ケダモノと分かつ」として、
厳格な規則厳守を、所属メンバーに強いています。

 

これは、いわば、「性悪説」。

人間を野放図にしていれば、
そこは、サバンナの如くに、弱肉強食の世界が訪れる、
だからこそ、規則が大事、
街が、殺し屋で溢れているのなら、尚更でしょう。

 

しかし、
結局は、その「ルール」を作った側の都合が良い様に、
世の中は回って行きます

本作では、
「裁定人」が派遣され、
その所属する「主席連合」の意向で以て、
まるで、虎の威を借る狐そのままに、強権を各地で振りかざします

公権力か?
はたまた、
本社から派遣されて来た、幹部候補生なのか?

現実社会でも、
こういう、嫌味なヤツいるよなぁ~!

 

恨み骨髄で観る私は、
バワリー・キングと同じ心境で映画を観ていました。

即ち、
「7日で引退しろだ?突然現われて、ふざけた事、言いおって」
という心境で、
反発心丸出しです。

しかし、現実社会と同じく、
強権を振りかざす嫌味野郎相手に反抗するのは、スマートじゃないんですよね。

むしろ、ウィンストンの様に、
自分の意見は通しつつ、
ある程度は恭順の姿勢を見せる、
面従腹背の姿勢で、相手を操る方が、よっぽど得策なのですね。

 

ルールに真っ向から立ち向かった、
ジョン・ウィックとバワリー・キングは地の底に堕ち、

ウィンストン率いるコンチネンタル・ホテル・ニューヨークは、
上手く立ち回って復権した、

この差が描かれているのが、
興味深いです。

 

ルールを作った側の制裁で潰されたなら、
逆に、
そのルールを作った側を、潰さなければ自らは復権出来ない

もしかすると、
ジョン・ウィックとバワリー・キングの復讐が、
次回作の展開になるのかもしれません。

 

 

アクションの連続でも、
全く飽きない面白さ。

何故なら、

アクションのバリエーションの豊かさ、アイディアの突飛さ、
そして、アクションシーンに真摯に取り組む姿勢が、
インフレし続ける「ジョン・ウィック」シリーズを支えているからです。

お腹一杯、アクションを堪能出来る本作『ジョン・ウィック:パラベラム』、

きっと、満腹の満足感で劇場を出る事になるでしょう。

 

 

前作『ジョン・ウィック:チャプター2』について語ったページはコチラ

 

 

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