映画『パピヨン』感想  求めてやまない自由より、最も尊きは男の友情!!

1931年パリ、金庫破りのパピヨンは、ヤクザ者に嵌められ、身に覚えの無い殺人の容疑にて終身刑を言い渡された。フランス領ギアナで死ぬまで労働する事が決まってしまったパピヨン。彼は脱獄を決意するが、それには金が要る。パピヨンは、通貨偽造で終身刑となったルイ・ドガに目を付ける、、、

 

 

 

 

監督は、マイケル・ノアー
監督作に
『R』(2010)等がある。

 

原作は、
アンリ・シャリエールの自伝的小説『パピヨン』。

 

出演は、
パピヨン:チャーリー・ハナム
ルイ・ドガ:ラミ・マレック

セリエ:ローラン・モラー
刑務所長:ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン 他

 

 

3Dの対戦格闘ゲーム、
『SAMURAI SPIRITS』が、先頃発売されました。

覇王丸、橘右京、ナコルル、等々の人気キャラが多数存在するこの作品。

 

濃いキャラが多い作品ですが、

その濃いキャラの一人に、
アメリカ忍者の「ガルフォード」という者がいます。

武器で戦う対戦格闘ゲームである「サムライスピリッツ」シリーズにおいて、
ガルフォードの使う武器は、
忍者犬の「パピー」。

ガルフォード本体より、
パピー単体で戦った方が、強くないか?

長年、そんな噂が流れ続けてきました。

 

そんな陰口にもめげず、
ガルフォードは、いつもパピー頼みで戦います。

「ヘイ!パピー!」
「ヘイ!パピー!」
「ヘイ!パピー!」

 

「ヘイ!パピヨン!」

 

ハイ、という事で、
本作『パピヨン』です。

 

本作、原作がありますが、
実は更に、

1973年にも、
スティーブ・マックイーン、
ダスティン・ホフマン出演にて、映画化されています。

とは言え、
私は、原作も、1973年版も観ていないので、
本作のみの感想となります。

 

さて、『パピヨン』ですが、
本作、アメリカでは2018公開の作品。

ちょっと、期間が空いて、日本公開となりましたが、
これは、明らかに、
ボヘミアン・ラプソディ』のヒットを受けて、
その主演を演じたラミ・マレックの出演作という事で、
急遽、買い付けたという印象が拭えません。

しかし、
面白いならば、文句は何も無し、
果たして、本作の出来は、如何に!?

 

そんな本作、端的に言うと、

自由を求める男の脱獄物語。

 

言いつけを馬鹿正直に守って、
死ぬまで労働するか?

それとも、

捕まったら、罰せられるとしても、
自由を求めて脱走に懸けるか?

そりゃ、脱走でしょ!

 

しかし、
言うは易し、行うは難し。

誰でも脱走出来るなら、
逃げ放題のダッシュ状態。

実際は、
誰も脱走出来ない、

だが、
それに挑むからこそ、意味があるのです。

 

とは言え本作、

基本、脱走と収監の繰り返しなので、

中盤、
ダレる部分もあります。

出だしの雰囲気は最高だったので、
そのテンションで、最後まで行ってくれたら、傑作だったでしょう。

しかし、
そのシビアさこそ、
実話系の作品である事の証左であり、

必ずしも、
面白さに振り切っていない所に、
本作のリアルさがあります。

 

そう、
人生、面白いだけではない。

ままならない事も多数あり、

しかし、
それに挫けず、諦めず、
挑戦し続けねば、何事も達成出来ない
その事を示す、

『パピヨン』は、そんな作品と言えるでしょう。

 

 

  • 『パピヨン』のポイント

人が希求する、自由とは何か

諦めなかった者のみが、物事を達成出来る

友情とは、行動で示すものである

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


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  • 男の友情

本作『パピヨン』は、

自由を求めるパピヨンと、
彼を支え、そして、支えられる、ルイ・ドガとの、

男の友情物語であると言えるでしょう。

 

『キン肉マン』でも、
ソルジャーキャプテンが、言ってましたよね。

男というものは、ベラベラ喋らず、行動で以て友情を示せ」と。

本作の友情は、正にそれ。

最初は、
金を媒介にした利害関係に過ぎなかったのが、
徐々に、
真の友情が芽生えていく辺りが、
本作の、最も面白い部分と言えるでしょう。

 

独房に入れられたパピヨンに、
危険を冒して、ココナッツを差し入れするルイ。

そのココナッツがバレ、
差し入れしていたルイの事をゲロらなかったパピヨン。

お互いが、
自分の危険を顧みずに、
相手の為に尽くす、

この一連の流れにて、
本作で、二人の間に真の友情が芽生えたと言えるでしょう。

 

本作が惜しいのは、
この、良いシーンが、
地味過ぎた事です。

パピヨンが、
沈黙を強制される独房に入れられている、

という設定なので、
ひたすら、静かで、動きの無いシーンを、
鬱の如くに延々と流します。

こんなもの観せられたら、
大抵の人は、居眠りしてしまいます

 

最も良いシーンが、
最も眠たいシーン。

これが、本作が、傑作に届かなかった要因だと思います。

 

  • 自由を求める魂

本作、
パピヨンは、ひたすら自由を求めて、
脱走を繰り返します。

しかし、
「自由を求める」と言っても、
実は、それが第一では無く、

必ず、ルイを助けてもいるのですね。

それは、
パピヨンが、自由よりも友情を選んだとも言えますが、

また、それに加え、
自由とは、人それぞれに、多様な解釈がある事の証左でもあります。

 

脱走する時も、ルイを助け、
ルイが足手まといだと、海上でセリエに難癖を付けられた時も、ルイを庇い、
自分一人なら逃げおおせたタイミングで、ルイの為に戻って来る。

必ず、友情を、自由よりも優先するパピヨンですが、

それは、
友情を捨て去ってまで生き残る事が、
パピヨンにとっての自由では無いという事を意味します。

 

弱肉強食、
何でもありの世の中で、

自分だけのルールを持ち、
それを矜持として生きる。

カッコ良い生き方ですが、
それも、

人間の真価は、ピンチの時に発揮されます

パピヨンは、
自分が助かるという絶体絶命の時に、
友情の為に戻って来る、

この、
『走れメロス』的な、
現実社会では有り得ない男の友情を観せてくれる部分が、

本作の見所と言えます。

 

『ジョジョの奇妙な冒険』のDIOの様に、
「勝てばよかろうなのだぁ~」という人も居れば、

パピヨンの様に、
絶対に枉げない信念を持つ人も居る。

自由の解釈は人それぞれであり、
それは、
窮地における行動で以て表われる

故に本作は、
その自由の解釈が美しく、
誰もが惹かれる部分と言えるのです。

 

 

 

自由を求める男の脱走物語である『パピヨン』。

しかし、
自由よりも尊いものとして、
本作では、
男の友情の有様を描いています。

友情とは、言葉では無く、
行動で以て示すもの。

それを体現した、
『パピヨン』は、そういう作品なのです。

 

 

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コチラは、原作小説の上巻

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