映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』感想  最大のスパイダーマン祭りの開幕だ!!どいつもコイツもアッセンブル!!

スパイダーマン=ピーター・パーカーである事が、ミステリオによって暴露された!!
更には、ミステリオ殺害容疑もかけられ、その影響でピーターのみならず、友人であるMJやネッドまでもが大学の志望校から入学拒否される。
思い余ったピーターは、共にサノスと戦った戦友の魔術師ドクター・ストレンジに相談。ピーターがスパイダーマンという記憶を人々から消す「魔法」をかけるのだが、、、

 

 

 

 

 

監督はジョン・ワッツ
スパイダーマン:ホームカミング』(2017)
スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)
に続いて、本作でも監督を務める。
他の監督作に、
『クラウン』(2014)
『COP CAR/コップ・カー』(2015)がある。

 

出演は、
ピーター・パーカー/スパイダーマン:トム・ホランド
MJ:ゼンデイヤ
ネッド・リーズ:ジェイコブ・バタロン
メイ・パーカー:マリサ・トメイ
ハッピー・ホーガン:ジョン・ファブロー

ドクター・ストレンジ:ベネディクト・カンバーバッチ

J・ジョナ・ジェイムソン:J・K・シモンズ

ノーマン・オズボーン/グリーン・ゴブリン:ウィレム・デフォー
オットー・オクタビアス/ドクター・オクトパス:アルフレッド・モリーナ
マックス・ディロン/エレクトロ:ジェイミー・フォックス 他

 

 

 

 

トム・ホランド版「スパイダーマン」、
「ホーム」シリーズの第三作目であり、

「マーベル・シネマティック・ユニバース」の第27作目である本作。

「マーベル・シネマティック・ユニバース」の作品でありながら、
配給がディズニーでは無く、
ソニー・ピクチャーズ系列という特殊性。

また、
日本においては、
最も有名なアメコミヒーローとも言うべき存在。

更には、
事前予告にて、

過去の「スパイダーマン」映画のヴィラン(敵役)、

グリーンゴブリン:『スパイダーマン』(2002)
ドクター・オクトパス:『スパイダーマン2』(2004)
サンドマン:『スパイダーマン3』(2007)
リザード:『アメイジング・スパイダーマン』(2012)
エレクトロ:『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)

が揃って集結するという動画が公開され、騒然、
公開前から期待値が爆上がり
する結果となりました。

 

私は普段、
事前情報は、予告篇くらいにして、
なるべく、フラットな状況で映画を観に行くのですが、

言い換えればそれは、
事前に過剰な期待を抱かない様にしているのですが、

本作は流石に、
観る前から、ワクワクと期待が膨らみまくりでした。

 

 

で、実際に観て、どうだったかと言いますと、

面白かった!!

期待に応えて、予想を裏切る!!

 

 

漫画の「バキ」シリーズで、
過去、繰り返されたフレーズですが、

正に、
この言葉通りです。

本作に当て嵌めて、より詳しく言うと、

「こうなるよね」という観客の期待や予想を、
忠実に叶えながらも、

その満足度は、
事前の想定を超えたものを提供したと言えます。

 

 

世界の人々から、
「ピーター・パーカーがスパイダーマン」という記憶を消そうとして、
ストレンジが魔法を失敗!?

結果、何故だが、
「ピーター・パーカーがスパイダーマンだと知っている人間」を、
他の世界線(ユニバース)から呼び寄せてしまう。

怪人達を確保する様にストレンジに命じられたピーターは、
MJとネッドに協力を仰ぐ、、、

 

 

いや、この敵役の豪華さ、
過去の映画でヴィランを演じた有名役者が、

そのまま、
本作でも続投するという贅沢さ。

映画『アベンジャーズ』(2012)で、
多数の別の映画で主役を張ったスーパーヒーローが集結した時には興奮しましたが、

本作は、
それと同等か、それ以上の興奮があります。

 

正に、
「スパイダーマン」映画の総集篇と言える出来映えです。

 

 

とにかく、
黙って観るべし!!

出来れば、
過去の「スパイダーマン」映画を知っていれば、
尚楽しめますが、

まぁ、
トム・ホランド版「ホーム」シリーズだけでも、OK。

最悪、
本作だけでも、ノリで楽しめちゃう!?

それくらい、面白い、
エンタテインメント映画の最高峰、

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』です。

みんな、ネタバレ喰らう前に、観に行けよな!!

 

 

 

 

  • 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のポイント

みんな集まれ!!スパイダーマン映画の総集篇

マルチバース(多世界解釈)

大いなる力には、大いなる責任が伴う

 

 

 

以下、内容に触れた感想となっております
ネタバレ有りです

 

 

 

 

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  • マルチバース(多世界解釈)

過去、
スパイダーマン映画は多数製作され、
「ホーム」シリーズのスパイダーマンは三代目。

エヴァンゲリオンで言う所の綾波レイですね。

 

監督:サム・ライミ 主演:トビー・マグワイア 
『スパイダーマン』(2002)
『スパイダーマン2』(2004)
『スパイダーマン3』(2007)

監督:マーク・ウェブ 主演:アンドリュー・ガーフィールド
『アメイジング・スパイダーマン』(2012)
『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)

監督:ジョン・ワッツ 主演:トム・ホランド
スパイダーマン:ホームカミング』(2017)
スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021:本作)

 

どのシリーズも、
主演が同じ作品で、監督が共通しており、
それぞれの作品の世界観が、ちょっとずつ違うのが、ポイントであり、面白い所。

 

さて、本作では、
マルチバース(多世界解釈)が採用されています。

簡単に言うと、
可能性の数だけ、世界が存在し、
選択により、行く先が分岐(世界が創造)してゆくという設定です。

言葉で言うと解りにくいかもしれませんが、

例えるならば、
映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作(1985、1989、1990)や、

漫画の『ドラゴンボール』の人造人間編、

漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第七部「スティール・ボール・ラン」と、
その登場人物、ファニー・バレンタインのスタンド「D4C」が挙げられます。

 

上記の作品で挙げられた多世界解釈は、

SF作品では古くから用いられて来た設定であり、
所謂、
パラレルワールド(並行世界、平行宇宙)というヤツです。

 

日本においては、
20年位前、
グレッグ・イーガンの小説『宇宙消失』が翻訳された1999年程から、
SF界隈で流行りだした、
量子論を基調とした理論であり、

後に、
影響を受けたフォロワーが、
自身の作品で、
量子論によるパラレルワールドの多世界解釈を展開して行きました。

 

そのSF設定を、
この程、
サノス編が終わって、一区切り終えた「マーベル・シネマティック・ユニバース」が、

次の展開として選んだ舞台と言った所でしょうか。

 

「マーベル・シネマティック・ユニバース」がマルチバースを扱うのは、
映画より先行して、

TVシリーズの
『ワンダヴィジョン』(2021)
『What if…?』(2021)で扱われましたが、

「スパイダーマン」シリーズでは、
それに先行する形で、

アニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2019)にて
多数の世界のスパイダーマンが、一堂に会する」展開が成されていました。

 

つまり本作では、

過去の映画「スパイダーマン」シリーズの総集篇であり、

「マーベル・シネマティック・ユニバース」の次の展開の端緒であり、

『スパイダーマン:スパイダーバース』を実写でやった、継承作品でもあるのです。

 

つまり、
過去作の展開、設定を、
それこそ、全て盛り込んだ、
現時点での、最高峰のヒーロー映画が完成したと言っても、
過言では無いのです。

 

 

以下、重大なネタバレあります

 

 

  • みんな集まれ!!

さて、本作

グリーンゴブリン:『スパイダーマン』
ドクター・オクトパス:『スパイダーマン2』
サンドマン:『スパイダーマン3』
リザード:『アメイジング・スパイダーマン』
エレクトロ:『アメイジング・スパイダーマン2』

と、各作品からヴィランが集結するという予告篇、

そして、

サム・ライミ版「スパイダーマン」シリーズにてMJを演じたキルスティン・ダンストが、
「私出てない」とインタビューで語っていた事、

それから察するに、

ヴィランが集まるという事は、
スパイダーマンも集まるって事だよな!?

この期待と予想に、
本作は見事に応えてくれました。

 

ちょっとウケるのは、
事前に公開されていた予告篇のラストシーン、
サンドマン、エレクトロ、リザードにスパイダーマンが単騎で立ち向かうシーンがあるのですが、

実際の本篇では、
トビー・マグワイア版スパイダーマンと、
アンドリュー・ガーフィールド版スパイダーマンも、
トム・ホランドと一緒に飛びかかっており、

つまり、先輩二人の姿が、
予告篇では綺麗さっぱり消されていたという事実です。

 

いや、ちょっと話題になっていたんですよね。

「よく見ると、リザードの首が空気抵抗で勝手に折れている」と。

実際は、消されたスパイダーマンに殴られていたんですね。

 

そう、本作には、
過去の映画作品でピーター・パーカー/スパイダーマンを演じた二人、

トビー・マグワイアと、
アンドリュー・ガーフィールドが、

過去映画から、
「年月を経たピーター」として出演しているのです。

フゥー!!

正にこれ、
ピーター・パーカー独りアベンジャーズアッセンブル!!状態!!

 

更に本作は、
スパイダーマンやヴィランが集まっただけでは無く、
小ネタも集結している、

正に、
スパイダーマンカルトクイズ、
トリビアの泉状態となっております。

 

例えば、
ネッドが、トビー・マグワイアに、
「他の世界のスパイダーマンにも親友が居る?」と尋ね、

「僕を殺そうとして、僕の腕の中で死んだ」と返答されるシーン。

これは、『スパイダーマン3』の話ですが、
ニューゴブリンとなった親友のハリーと、
戦ったり、共闘したりした事を言った台詞であり、

それに加え、
原作漫画では、
ネッド・リーズが、3代目ホブゴブリンという、
グリーンゴブリンのフォロワー的なキャラである事も、
考慮されている台詞です。

 

ジェイミー・フォックス演じるエレクトロが、
アンドリュー・ガーフィールドに、
「何処かに、黒人のスパイダーマンが居てもいい」という台詞は、

『スパイダーマン:スパイダーバース』の
黒人少年マイルズ・モラレスを意識しています。

 

落下するヒロインを、
間一髪で助けるというのは、
スパイダーマン映画にて繰り返されるモチーフですが、

『アメイジング・スパイダーマン2』では、
アンドリュー・ガーフィールドが、
グウェン・ステイシーの救出に間に合わずに、
墜落死させてしまったシーンがありました。

今回、
トム・ホランドも間に合いませんでしたが、

その代わりに、
アンドリュー・ガーフィールドが、
MJの救出に成功します。

それは、過去の贖罪であり、
彼自身も、
そして、観ていた観客も、
ずっと、モヤモヤしていた気持ちが、
少し、救われるシーンです。

ちょっと、
漫画『寄生獣』のラストエピソードを思い出しますね。

 

あと、
ゼンデイヤ演じるMJ。

彼女が「期待しなければ、失望もしない」という台詞がありますが、
ラストシーンでは、
「そうでもない」と気持ちを新たにしています。

これは、未来や、可能性への希望を語る、
何気ないシーンですが、

それは、本作が、
「期待させておいて、尚且つ、それを上回る」映画であるからこそ、説得力がある場面と言えます。

 

J・K・シモンズが演じるJ・ジョナ・ジェイムソンは、
「ホーム」シリーズでは、
2作目の「ファー・フロム・ホーム」のポストクレジットシーンにて、
ピーター・パーカーが正体だとバラすTV局員ですが、

彼は、
サム・ライミ版の3作品でも、同役で出演しています。

原作では、
覆面強盗に妻を殺されたという過去がある為、
執拗に、スパイダーマンに「正体を現せ」と絡んでいます。

 

『アメイジング・スパイダーマン』にて、
リザードこと、カート・コナーズ博士を演じたのは、リス・エヴァンス

彼は『キングスマン:ファースト・エージェント』(2021)で、
グレゴリー・ラスプーチンを怪演した事で記憶が新しいですが、

本作でもリザード役だったかどうか、
実は、顔を確認したのですが、よく分からなかったのは私だけ?

 

作品冒頭近く、
ピーターやメイおばさんの弁護をした、
盲目の弁護士は、マット・マードック。

彼が、投げ込まれた石を掴めたのは、
音の反響を、3Dの映像の様にとらえる「レーダーセンス」を持つ
スーパーヒーロー「デアデビル」であるからです。

スパイダーマンと同じ、ニューヨーク拠点のスーパーヒーローという事で、
原作漫画では、共闘する事も多いそうです。

Netflixで放映されたTVシリーズ『デアデビル』(2015~18)では、
チャーリー・コックスが演じており、
本作でも、彼がマット・マードックとして出演している様です。

 

  • 大いなる力には、大いなる責任が伴う

そして、
マリサ・トメイ演じるメイおばさんが、
本作にて、
「スパイダーマン」シリーズでの、最重要台詞を口にします。

それは、
大いなる力には、大いなる責任が伴う
(With great power comes great responsibility)です。

彼女がその台詞を口にした瞬間、
観客は皆、「あ」と思ったハズです。

それは、死亡フラグだと。

 

スパイダーマンシリーズのヴィランは、
元々は、
根っからの悪人という訳ではありません

いずれも、
ひょんな事が切っ掛けで、悪の道へと進んでしまいます。

力を手にし、
それを私利私欲に、使った時、
人は、必ず、道を違えてしまう

その教訓でもあります。

 

故に、孤独であっても、
自分の力を他人の為に使う、誇り高き、
「愛すべき隣人」である事を、

本作のピーター・パーカーは選びます。

 

彼は、
自らのユニバース(世界)を守る為に、

世界の皆から自分がスパイダーマンであるという記憶を消します。

皆の記憶が消えても、
必ず会いに行くとMJに約束しますが、
しかし、
実際に会いに行っても、
用意した台詞を言わず、
一言二言会話して、その場を去ります。

 

ダークナイト ライジング』(2012)にて、
ブルース・ウェインは、
自分の正体を知ったジョン・ブレイクにこう言います。

「マスクで正体を隠すのは、愛する人を守るためだ」と。

 

それと同じです。

ピーターは、
MJやネッドの安全を確認しただけ、

以前の様に、知り合いになろうとしません。

何故なら、
自分に巻き込んでしまいたくないから

今回の大騒動も、
発端は、元々、ピーターと知り合いだったから、
彼の火の粉を、友人が被った形になりますし、

何時、メイおばさんの様に、
巻き添えになって命を落とすか知れません。

愛する恋人と親友だからこそ、
ピーターは、
まるで、林の中の象の如くに、孤独に歩む事を選択します。

それは、
大いなる責任であるが故に

 

しかし、
ラストシーンで、
MJがバイトしているドーナツショップのコーヒーのカップが、
ピーターの部屋にある事が分かります。

彼は、MJのドーナツショップに、
通っているんでしょうね。

知人では無くとも、
あくまで、隣人として、見守っている

それに、
彼は独りでも、
真の孤独ではありません。

自分と同じように、
困難な道を進んだ先達が居る事を知れたから。

だから、
スターク社由来の、
ナノテクを駆使したスパイダースーツでは無く、
(スターク社や、ハッピー・ホーガンに危害を加えたくないから)

お手製のスーツを使って、
スパイダーマンとして、
隣人を助けるヒーロー活動を再開します。

 

本作は、
「ホーム」シリーズの完結篇でありつつも、

しかし、
我々が知る「スパイダーマン」の誕生、
そのオリジンストーリーでもあったのです。

少年が、
責任感を覚え、
青年になる。

その成長にて、
本作は、ほろ苦い完結を迎えますが、

しかし、
不思議と、心には希望が満ちています。

 

エンタテインメント作品として申し分無い、

これ以上無い位の要素を、
ふんだんに積み込んだ作品、

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。

 

スーパーヒーロー「スパイダーマン」の何たるか、
その原点(ホーム)に、
立ち返ったというテーマ性も、
見事と言えるのではないでしょうか。

 

 

コチラは、「トビー・マグワイア版スパイダーマン」シリーズ

 

 

 

 

 

コチラは、「アンドリュー・ガーフィールド版スパイダーマン」シリーズ

 

 

 

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