映画『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』感想  観た瞬間だけ、面白い!それが良い、それで、良い!!

 

 

 

減刑と引き替えに、実行不可能の自殺ミッションに挑む受刑者達。それが、アマンダ・ウォラー率いる「スーサイド・スクワッド」だ!!
今回の任務は、クーデターの発生した南米のコルト・マルテーゼにて、ナチスの遺産とも言うべき「スターフィッシュ計画」を阻止する事!
集められた精鋭(?)、ハーレイ・クインやブラッドスポートの運命や如何に、、、

 

 

 

 

 

 

監督は、ジェームズ・ガン
「マーベル・シネマティック・ユニバース」にて、
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)を監督しながら、
今回、「DCエクステンディッドユニバース」の作品の監督をするという離れ技。
他の監督作品に、
『スリザー』(2006)
『スーパー!』(2010)等がある。

 

出演は、
ハーレイ・クイン:マーゴット・ロビー
ブラッドスポート:イドリス・エルバ
ピースメイカー:ジョン・シナ
リック・フラッグ:ジェエル・キナマン
ポルカドットマン:デヴィッド・ダストマルチャン
ラットキャッチャー2:ダニエラ・メルキオール
キング・シャーク:シルベスター・スタローン(声)

アマンダ・ウォラー:ヴィオラ・デイヴィス 他

 

 

 

 

本作の監督は、ジェームズ・ガン。

かつて、ドナルド・トランプ政権下のアメリカにて、
左派寄りのジェームズ・ガンは、トランプ批判をツイッターで繰り返し、

トランプ指示の右派から、過去の不適切投稿を掘り返され、
それを問題視したディズニーが、
予定されていた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の3作目の監督から解雇する騒動になりました。

しかし、
只では転ばず。

ディズニーが解雇した瞬間を狙ったのか?

ワーナー系列、
そして、同じアメコミ系の映画化作品であり、
ライバルシリーズである「DCエクステンディッドユニバース」作品を監督する事に相成りました。

それが本作『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』です。

 

因みに、
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの出演者や、
オンラインでの署名嘆願の成果か、

ジェームズ・ガンは、その後、
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」3作目の監督に復帰しております。

 

 

それはさておき、
『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』です。

 

 

本作、
まぁ、ぶっちゃけ言うと、
語るべき事は、それ程多くありません。

ストーリー的には、内容が、無いよう

そんなオヤジギャグで誤魔化す位、
薄っぺらです。

飲んだ瞬間だけ、美味しい炭酸飲料の様な作品、
正に、
サイダー映画とでも言った所でしょうか。

 

いや、
炭酸飲料は、栄養が無いだけでは無く、
むしろ、歯が溶けたり、色々弊害があります。

本作だって、そう。

倫理的に問題があったり、
暴力、下ネタ描写のオンパレードで、
むしろ、教育に悪い作品と言えるでしょう。

 

…しかし、サイダーって、美味いですよね。

それと同じ、

本作は、

過激描写が満載、
しかし、
それが良い、それで良いのです。

 

 

「ストーリーが無い」とは言いましたが、
それは「語るべき話」が無いという事。
つまらないわけでは、ありません。

アクション映画としては、
必要十分。

いや、
余計な「説教」が無い分、
アクションに特化、集中出来る作りになっていると言えるのです。

 

 

そう、本作のテーマは、

アクションエンタメを観せる!!
それに特化する!!

 

というものなのです。

それはもう、
作っている段階から、覚悟の上。

故に、本作、
今年公開された他のアメコミ映画
ブラック・ウィドウ
シャン・チー/テン・リングスの伝説
エターナルズ
ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ
と比べても、
一番面白かったと言える作品です。

 

平均的な数値より、
何かに特化している方が、優れている

それは、
運動神経だったり、
知能だったり、

ほら、
ポケモンでも、
「こうげき」とか、
「ぼうぎょ」とか、
「とくこう」「どくぼう」とか、
平均的な能力値より、
どれか低くても、
何かが特化している方が強いです。

それと同じですね。

 

エンタメに特化し、

アクションの派手さ、
ポーズの格好良さ、
台詞のクサさ、
画面構成の「画になる」感、

それを瞬間、瞬間で、
上映時間中、常に追求し続けるという離れ技を成し遂げた

それが凄い、
だから、面白い、
不謹慎だけれどもね。

そんな作品、
『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』です。

 

 

 

  • 『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』のポイント

ストーリーは必要最低限、アクションを楽しめ!!

「瞬間の面白さ」を追求した、サイダー映画

続篇でも、リブートでも無い?故に、何でもアリ!!

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 

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  • 続篇でも、リブートでも非ず

さて、本作『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』については、
まぁ、
個人的には、殆ど、語る事はありません。

ブラッドスポートカッコ良い!!
ラットキャッチャー2可愛い!!

単純に、そう思うだけで、
本作は成功だし、

そして、映画を観た後は影響されて、

ブラッドスポートを真似して、銃を撃つポーズをしたり、
ラットキャッチャー2の真似して、ステッキを掲げるポーズをしたりするのです。

 

さて、エンタメに特化した本作ですが、

その意外性は、
冒頭にて、顕著に表われています。

何せ、
「スーサイド・スクワッド」部隊が、
ほぼ壊滅するのです。

 

企画段階では、
おそらくは、
前作の登場キャラクターを、
最初の突撃で全滅させるという、驚きの構想だったのでは?
と思います。

でも、それは、
ぶっちゃけ、
前作の登場人物を「噛ませ」に使う事であり、
それを演じた人間からすると、面白く無いですよね。

だから、
「デッドショット」を演じたウィル・スミスを筆頭に、
キラー・クロック(爬虫類)や
「カタナ」(日本人女子)は出演しなかったのかもしれません。

で、
人気キャラの「ハーレイ・クイン」は生き残り、
「リック・フラッグ」は使いやすいキャラなので、生き残り、
「ブーメラン」のみが、「噛ませ」になりました。

 

そして、本作の設定の面白い所が、

前作の続篇で無く、
それでいて、リブート作品でも無いという点です。

 

どうにかして、
ヤンチャしたい。

キャラを、ドンドンブチ殺した方が、
面白いだろ?

みたいなノリで、
味方も、
敵も、
一般市民も、
ボコボコ死んで行きます。

それを可能にするには、
どうすれば良いか?

だって、主要キャラをうっかり殺してしまったら、
あわよくば、続篇が、作りにくくなってしまいます。

 

「育った人気キャラ」を殺したら、
それだけ、ストーリーの幅が狭まりますもんね。

漫画の「バキ」シリーズで、
烈海王を殺した様にね。

 

で、本作はどうしたのかと言いますと、

前作と
同じ世界観、
同じキャラクターを使いながら、

しかし、
別の世界線である、

という設定にしているのです。

世界観が同じなので、
リブート(設定の作り直し)でも無い、と。

 

恐らく、
この辺の設定が理解出来なかった為に、

前作のファンとか、
「DCエクステンディッドユニバース」のファンとかに、
混乱を与えたのではないかと思います。

 

本作の設定を分かりやすく(?)例えると、

漫画や、宝塚とかの「スターシステム」を思い出してもらうと良いと思います。

 

手塚治虫の漫画『ブラックジャック』では、
ブラックジャックやピノコなどの主要キャラ意外は、
基本、ゲストキャラです。

で、
一話完結の漫画にて、
毎回、違う容姿のキャラを作るのは至難の業。

それで、手塚治虫はどうしたのかというと、

見た目、性格、が同じキャラクターを、
別のエピソードで、
別のキャラクターとして、流用しているのです。

 

例えば、
オヤジキャラは、毎回同じ見た目のキャラが、
チンピラ役は、チンピラ専門のキャラが、

そういった感じで、
金持ち系の若者キャラ、
ヤクザの親分キャラ、
不遇の女性キャラ、など、

その見た目の応じたキャラを、

別のエピソードで、
「別人」として採用しているのです。

 

もっと分かりやすく言うと、

宝塚とかは、
スターが、毎回スターを演じますよね。

時代劇の一話完結系のドラマでも、

毎回、雑魚の切られ役は同じだったりしますよね。

 

それと同じ発想で、

世界観は同じだけれども、

一話完結的なノリで、

その場限りの、
「ハーレイ・クイン」

その場限りの
「リック・フラッグ」として、

本作は、
前作の登場人物を流用する部分がありつつも、
前作とは無関係という設定を採用しているのです。

 

本作はそういう、
「その場限りのノリ」に特化した面白さです。

そういう意味で、
無責任と言えますが、

しかし、
それ故の、
何もかも投げ出した、
瞬間的な、投げやりな面白さがあります。

 

でも、
こんな無責任さが、逆に、

今年公開されたアメコミ系映画の中でも、

ダントツに面白かったというのが、
皮肉な所。

 

ほら、
元々、
「DCエクステンディッドユニバース」系列の映画は、

暗くて、説教クサいのが、
売りだったりするじゃないですか。

それは、
「アメコミ映画」というものが、
子供騙しという世間の風潮を覆すための努力の結晶であった訳で、

その結果、
ダークナイト』(2008)や
ジョーカー』(2019)と言った名作が生まれました。

 

しかし、
今度は逆に、
堅苦しくなったアメコミ映画に、

「本来のお気楽さに立ち返ろう」と提案しつつも

子供向けという寄りむしろ、
対象年齢が上がった層に向けた作品として、

新しい方向性を示したのではないでしょうか。

 

『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』
バカ映画と見せかけて、
実は、計算され尽くした、

高度なエンタメ映画なのかも、しれませんね。

 

 

 

 

 

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