パソコンを手に入れたマタイアス。電源を入れ、運良くパスワードもクリア。所有者「Norah」のSNS、フェイスブックや履歴などを覗き見ながら、自分のグーグルアカウントでネットにログイン、彼女や友達とSkypeで楽しんでいた所、パソコンの持ち主から連絡が届く、、、
監督はスティーブン・サスコ。
脚本家出身。
本作が長篇映画初監督作で、脚本も兼ねている。
出演は、
マタイアス:コリン・ウッデル
アマヤ:ステファニー・ノゲーラス
ナリ:ベティ・ガブリエル
セリーナ:レベッカ・リッテンハウス
デーモン:アンドリュー・リース
AJ:コナー・デル・リオ
レックス:サヴィラ・ウィンディアニ 他
「Unfriended」。
直訳すると、「非友好的」。
本作『アンフレンデッド:ダークウェブ』はそのタイトルから、
ホラー映画『アンフレンデッド』(2014)の続篇と思われるかもしれません。
しかし、
前作とは、ストーリー上の繋がりは全く無く、
SNS(主にSkyape)での映像のみで作られた作品、
という共通点しかありません。
ホラー映画好きな私は、
前作の『アンフレンデッド』も観ました。
しかし、
「SNSの映像のみで作った作品」
という、アイディアが斬新だった、
そういう印象のみが残っており、
内容については殆ど覚えていません。
所謂、
アイディア先行の作品であり、
他に特筆すべき事が無かった様に思います。
…そんな、薄い印象なのに、
続篇を観に行くのか?
それがホラー映画ファンの因果な所。
一作目が駄作でも、
二作目で化ける作品もある、かもしれない!?
と、思ったら、
見逃す事が出来ないのです。
そういう意味で、
私は本作を観るにあたって、
ハードルは極力下がった状態でした。
そしたら、
割と面白かった。
いやぁ、
観る直前の期待値というのは、
映画鑑賞の印象に多大な影響をもたらすのですね。
さて、
理不尽なホラー映画だった前作と比較すると、
本作は、
サスペンスよりのホラー映画
となっております。
そういう意味では、
前作よりも、本作は多くの人間が、
観て楽しめる(!?)ものとなっています。
とは言え本作は、
いわゆる、「観た瞬間の恐ろしさ」を目指した、
良くも悪くも、
典型的な「ポップコーンムービー」であるのです。
いいんだよ、
むしろ、こういう映画こそ、
たまに観ると、面白いものです。
過度な期待は禁物、
それでも、
ホラー演出で、ちょっと、ドキッとした人にはオススメ。
『アンフレンデッド:ダークウェブ』は、そんな作品です。
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『アンフレンデッド:ダークウェブ』のポイント
SNS上の映像のみで作られた作品
スピーディーでサスペンスフルな展開
現実的であるからの、怖さ
以下、内容に触れた感想となっております
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ホラーから、サスペンスへ
前作『アンフレンデッド』は、
言うなれば、理不尽なタイプのホラー映画でした。
いわゆる、モキュメンタリーというタイプの作品であり、
ファウンドフッテージ形式でありながら、
SNS上の映像のみで作られたという革新性が面白かった印象です。
因みに
モキュメンタリーとは、
疑似的なドキュメンタリー形式の作品の事。
ファウンドフッテージとは、
第三者の手によって発見された(found)、
未編集の映像(footage)の事です。
ホラー作品との相性が良く、
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)の登場以降、
2000年代半ばから、類似の作品が雨後の竹の子の様に量産されました。
『REC/レック』(2007)
『トロール・ハンター』(2010)
『クロニクル』(2012)
『ヴィジット』(2015)
『search/サーチ』(2018)
など、面白い作品も多数あります。
その中でも、
PCでのSNSの画面上での映像のみ、
特に、Skypeを主軸としている所が、
『アンフレンデッド』は新しかったのです。
本作、
『アンフレンデッド:ダークウェブ』は、
前作とはストーリー上の関連は全くありませんが、
前作同様、
SNS上の画面のみの、ファウンドフッテージ、
という共通点で繋がっています。
しかし、
怨霊が出て来て云々かんぬんした理不尽なホラー映画だった前作と比較しますと、
本作は、
サスペンスよりのホラー映画。
展開としては、
現実的にありえるレベルに留まっているからこそ、
リアル寄りの恐ろしさがあります。
この路線変更は、
「SNS」を題材にした本作と、相性が良い様に思います。
普段、
何気なく駆使している、
ツイッターやフェイスブック、スカイプ。
その日常が、
現実レベルで浸食されて行くというのが恐ろしく、
そこが、本作の一番の面白さであると思います。
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本作の死亡フラグ
さて、本作『アンフレンデッド:ダークウェブ』は、
その映像的には変わり種ではありますが、
展開的には、ホラー映画の基本を踏襲しています。
若者がちょっとした馬鹿な事をやったばっかりに、
代償が非常に高い、
のっぴきならない状況に追い込まれる、
という展開です。
個人的に、
こういうタイプのホラー映画において、
私はいつも、
自分だったら、どういう風に行動して、
そして、生き残る道はあるのか?
みたいな事を考えて楽しんでいます。
本作の場合、
ジェイソンやフレディみたいな無敵の殺人鬼では無く、
「ネットを熟知した犯罪集団」という人間レベルの相手なので、
やろうと思えば、反撃も可能だし、
生き残る筋道も多く残されている印象でした。
そういう逃げ道が多いからこそ、
逆に本作は、
ホラー映画として面白い印象があります。
特に印象的なものは、
普通、ホラー映画やサスペンス映画では、
「犯人(殺人鬼)が設定したルール」に反したら、即死亡フラグが立ちますが、
本作では、
観ている人間のそういう思考を逆に利用している所がありました。
具体的に言うと、
パソコンの持ち主の「カロンⅣ」は、
「警察に知らせるな」と警告しますが、
本作では、
実は、迅速に警察と連絡を取っていれば、
悲劇は避けられたのですね。
現実では普通、
犯罪に直面したら、警察に通報します。
しかし、
ホラー映画の文法としては、それは御法度。
犯人が、それを阻止する為に、
行動を起こした人間を殺してしまうからです。
本作でも、
マタイアスは、自分がPCをパクッたという負い目があるからこそ、
初動が遅れた感があります。
そして、
「警察に連絡するなよ」という警告が効いて、
犯人が、次の行動をする余裕を生む事に成功してしまっているのですね。
しかし、本作の相手は、
ネットに精通しているとはいえ、あくまで人間。
被害者側が、素早く動いていれば助かった、
しかし、
脅しにビビって、逃げる事も、通報も遅れた事が、
本作の死亡フラグだったのです。
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ラストのオチについて
『アンフレンデッド:ダークウェブ』は、
そのラストにて、
「ゲームナイト」という実況中継にて、
実はネットのリアルタイムライブで中継されていた映像だったのだと知れます。
因みに本作の当初の副題は、「game night」だったそうですね。
人間レベルの相手だったとは言え、
マタイアス達は、
理不尽な恐怖に、突発的に見舞われた被害者と言えます。
何故、彼達が、そんな悲惨な目に遭わなければならなかったのか?
エンディングの引きの映像(本作で唯一の、SNS上では無い映像)で明かされる真実、
それは、
ライブを観る、悪趣味で残酷な視聴者がいるから、
即ち、
ホラー映画を喜んで観に行くような、
悪趣味で残酷な観客がいるから、
という、
ホラーファンには、
何ともバツの悪い現実をメタ目線で叩き付けて来るのです。
さて、本作はエンディングが多数あり、
試写における観客の反応を考慮して、
実際のラストが採用されたそうです。
そこで考えるに、
元は「game night」という副題が付いていたという事から、
実は
犯罪集団の「カロン」のメンバーは、
マタイアス以外の全員だった、
つまり、
マタイアス(と観客)を騙す、
Skypeのメンバー達の自作自演だった、
というエンディングもあったんじゃないかな、と思います。
ラスト、
「カロン」のメンバーがドヤ顔で素顔を晒していたのには違和感がありましたが、
そのシーンで、
実はデーモンやAJがニヤついていて、
これが今夜の「ゲーム」だったんだよ、というオチもあったと思います。
しかし、
本作はホラー映画として、
そして、
メタな目線を含むオチを目指して、
実際のエンディングになったのですね。
個人的には、
ホラー映画のラストは、
被害者側の反撃で終わって欲しいので、
「エンディングが複数あった」という本作には、
その道があったのか?
そういう事も、妄想してしまいますね。
SNSの映像がメインで作られたサスペンス・ホラー作品、
『アンフレンデッド:ダークウェブ』。
日常で使っている、
慣れ親しんだSNS上の画面だからこそ、
現実的な恐怖を味わえる作品です。
skypeの映像が主になっている為、
役者の顔芸を楽しむ事も出来、
そして、
本作は無名の役者が多数出演していますが、
ホラー映画特有の、
「後に、出世する役者が、無名時代に出演していた」
という先物買いも期待出来ます。
とは言え、
基本は、観た瞬間のみ楽しめる、
清く正しい「ポップコーンムービー」。
観て、ビビって、あ~怖かった!
そういう楽しみ方が最も似合う、
それが『アンフレンデッド:ダークウェブ』なのです。
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前作『アンフレンデッド』はコチラ
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