孤独のグルメ Season2 第六話
江戸川区京成小岩の激辛四川料理
監督:宝来忠昭
脚本:児玉頼子
出演:
井之頭五郎:松重豊
高東:森下能幸
ケーキ屋店員:小松彩夏
常連客男:山崎大輔
常連客女:ヴァチスト太田
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*タイムラインはBDソフト準拠となっております
- ドラマパートあらすじ
江戸川区京成小岩にやって来た井之頭五郎。
約束の時間まではまだ1時間余裕があり、ケーキ屋を覗く。
「ゆっくりお選び下さい」
そう言われ、選んだのはガトーフレーズ。(42:52)
「倒れないように…うん、美味しい」
「フルーツも出し惜しみ無しの大盤振る舞いだ」
「苦いコーヒーに合う。甘みと苦味、大人のお楽しみ」
五郎さん、商店街を見つけぶらぶら歩く。(45:02)
魚屋ではお婆ちゃん達が井戸端会議。
嫁がりながら迎えに来ている。
靴屋、豆腐屋、練り物屋、いろいろみて回る。
「なんとも家庭の匂いのする町だなぁ」
ふと確認すると、待ち合わせの時間が迫っている。
「いかん、ノンビリし過ぎた」
「いかん、いかんぞ、遅刻はしたくない」
東工写真スタジオにて、なんとか間に合った五郎さん。(47:20)
待合室と撮影にも使えるタイプの椅子を探しているとの事で、
予めピックアップしていたサンプルを確認してもらう。
「人生の大切な一枚に残る訳ですから」と言いつつ、色々迷っているご様子。
その間、スタジオを見て回る五郎さん。
先程、魚屋でみたお婆ちゃんと嫁の家族写真もある。
何百もの家族写真を所蔵している町の写真館。
昔写した子供が、今大人になり自分の子供の七五三を撮りに来る、それが嬉しいと写真屋さんは言う。
「家庭って、繋がっていって歴史になる。そう思うんですよね」(49:22)
確かにそうだと頷く五郎さん。
写真屋さん、ドサクサに紛れて女性の写真を勧めて来る。
「この娘、どうですか?」
驚きつつも、丁重にお断りする五郎さんであった。
「誰かの人生の大切な一枚に関わる」
「何か、いいなぁ」
-
「でも、腹が、減った」(50:30)
ポン、ポン、ポォン、パシャッ!
写真屋さんも椅子が決まったようだし、よし、店を探そう。
「さぁ、何を食おう。京成小岩、京成小岩飯」
そぼ降る雨の中、店の看板を見つけた五郎さん。
「あぁ、明かりに吸い寄せられて行く、俺はムシか!?」(51:06)
「ほう、四川料理じゃなくて、四川家庭料理なのが、京成小岩っぽい様な気もするぞ」
「四川小岩、行ってみよう」
-
四川家庭料理 珍々(51:44)
入店、思った以上にこじんまりしたお店。
メニューを眺める五郎さん。
「定番とおすすめって、どっちが上なんだろう」
「四川と言えば、やっぱり麻婆豆腐が王道だよなぁ」
「王道と定番では、どっちが上なんだろう」
「いかん、いかん、腹が減りすぎてボーッとしてしまう」
「ここは、オススメに身を任せよう」(52:42)
五郎さんの注文は豚肉のニンニクたれかけと、ライス。
飲み物は水のみで。
「豚肉のニンニクダレ、食べなくても美味いのが分かる組み合わせだ」
「思い描くだけで、ヨダレがジュワーッ、だ」
周りを眺める五郎さん。
カウンターには、何故だか寿司のネタケースが。
一応寿司もあるかメニューで確認する五郎さん。
料理するお母さんの姿を見た五郎さん、
「手際が良いなぁ、まるでネタケースが舞台みたいだ」
との印象。
隣のマダム二人の麻婆豆腐にそそられ、
カウンター席の男の水餃子に心奪われる。
「口の中で想像がビンビンに膨らむ」
「堪らん、堪らん坂」
「ああ、待ちきれない、待つしか無いが、待ちきれない」
「お母さん、まだ?、こっち、まだ?…もしや」
蒜泥白肉(スヮン ニー バイロウ:豚肉のニンニクタレかけ)が来る。(55:44)
「おお、ガツン、コレはガツン、ガツン系、ちょいピリでニンニクガツン、四川のガツン」(56:30)
「いいぞ、いいぞ、でも、食えば食うほど腹が減って来る」(56:47)
「おお、これは、攻めて来るなぁ、コレは良い」
「ここいらで、麻婆豆腐いっとくかぁ?」
と悩むも、隣の汁なし担々麺も美味しそう。
「迷った時は両方いくか?」
そう考えていた時、逆の隣の常連客男女が「パオサイウィー」なるものを注文する。
五郎さん、メニューで確認するも、載っていないので店員さんに尋ねる。
「パオサイ」が香辛料で漬け込んだ、四川で言う所の漬け物。
「ウィー」が魚。
隣のオジサンが話かけて来る。
「お兄さん、この店初めて?だったら食べた方がいいねぇ、オススメだよ」
オススメという言葉に反応する五郎さん、
「じゃ、それお願いします」と注文する。
店内禁煙につき、灰皿を借りて外で一服する五郎さん。
泡菜魚(パオサイウィー:魚の四川漬け物煮込み)登場。(59:18)
小鉢に掬って、レンゲで啜る五郎さん。
「うわぁ」ゴホッと咳き込む五郎さん。
「四川、本気だして来た」
「うーん、これは辛い、凄い」
「真っ向勝負して汁を行ってると、やられるぞ」
「うわぁ」
「うーん、魚にも泡菜がジンジン染み込んでいる」
「でも、辛いけどコクがある、暴発的辛ウマだ」
水をごくごく飲んで、お替わり。
隣の席の常連男女は普通に食べている。
「常連さん、負けていない凄い乱暴に応戦している」
「でも、まだシメには早すぎる」
「辛ウマ、辛ウマ、何故か止まんないぞ、辛ウマ」
「ねぇ、美味いっしょ」と常連さん。
「この店はね、メニューに無いメニューが定番だから」
何やら不思議な事を言う。
「そうだ、お母さん、この人のニンニクダレに豆腐いれたげてよ」と女性。
「え?」
蒜泥白肉のタレの残りに豆腐を置くと、
豆腐のニンニクタレかけに早変わり。(01:02:05)
「残りのニンニクダレにただ豆腐を入れただけの様だが」と、食べる五郎さん。
「何?一体何したんだ、美味すぎるじゃないか」
「ニンニクダレも、豚肉から豆腐に乗り換えただけで別人の様に輝いてる」(01:02:42)
常連客を見て五郎さんは思う、
「あの人、この地を知り抜いている。京成小岩の諸葛亮孔明」(01:02:57)
汁を飲んで「ゴホッ」と咽せる五郎さん。
「ウヒヒィーイ、油断した、やっぱり強烈だ」
新しく客が入って来る。
「お母さん、じゃがとろある?」「ありますよ」
「じゃ、俺も」とカウンター席の客、
常連客男女も手を挙げ、隣のマダムも手を挙げ、
五郎さんもノリで手を挙げる「私も」。
…一応、聞いてみる五郎さん。
「あの、じゃがとろて何ですか?」
「食べれば分かるよ」と隣の常連客。
メニューにはやっぱり載っていない。
じゃがとろ現る。(01:04:12)
「ほほう、成程ね、そういう事でしたか」
レンゲで掬って、パクリ、ズゾッ。
「確かに、コイツの名はじゃがとろだ」
「いやぁ、美味いなぁ、こういう四川料理もあるのかぁ」
「みんな揃って同じじゃがとろ、何だか、大家族みたいだなぁ」
カウンター席の客、ご飯に載せてかっこんでいる。
「ほう、やるな末っ子」
五郎さんも負けじと同じ事をする。
「これがお袋の味なのかなぁ、ほっとする味」
「うんうん、良いなぁ」
常連客男女がお会計、
「お兄さん、また」と声を掛けて去って行く。
そうだ、アレもやってみようと五郎さん。
ご飯のお替わりを頼んで、泡菜魚の残り汁をかけて食べる。
「ではでは、お茶漬け感覚でサーラさらっと」
「ほう、ハァ、ご飯と一緒でもまだまだ辛い」
「でも美味い、泡菜茶漬けは、辛茶漬け」
お水をお替わりして、一息。
「四川料理の辛さ、食欲をそそるそそる」
「ならば、エンジン全開でただただ突っ走るのみだ」
食べ終わった五郎さん、汗を拭く。
「ハンカチ持ってて良かった」
退店。(01:08:37)
「四川発、京成小岩の家庭料理恐るべし」
「お袋の味は世界中にある」
「偶には、家庭を感じてみるのもアリなのかな」
満足げに篠突く夜の町を去って行く五郎さんであった。
-
ふらっとQUSUMI(01:09:24)
これ、ゼンゼン(珍々)は読めないよなぁ、と久住さん。
店の前にて、
ゲスト、かせきさいだぁさんと合流する。
*2013年当時のデータなので、現在も営業中なのかは要確認
中国、重慶出身のお母さんが、
毎日メニューに無いメニューを作ってくれるとの事。
前菜は早速メニューに無いもの
五香牛肉(ウーシャンニュウロウ:牛肉とアスパラの香辛料煮込み)。
「凄いスパイシーな」
かせき「後から来ますね、辛さが」
「時間置いてる感じがする」
かせきさいだぁさん、原作のあの「アームロック」の回(第1巻、第12話)が好きとの事。
かせき「人が食べる時はこういう気持ちで食べたいんだっていう事が書いてあって、ああ、こういう回なんだと」
かせきさいだぁさんが好きだという麻婆豆腐が来る。
「辛いっていうんじゃなくて、やっぱり痺れる」
ビールを飲んだ久住さん、
「ビールが違う味がする」との事。
かせきさんも「ビール、しっているビールじゃない味がする」
そして、じゃがとろ。
「美味い、あれ?思ってたのと違う、初めて食べたこんなの」
かせき「ご飯に合いますね」
「合う、こういうぶつかり方は無いですね、ご飯との」
どれも家庭的な味だよね、中華料理店で食べるっていうのと全然違う、と嘆息する二人でした。
-
声に出して言いたい!五郎さんの名台詞
今回の「声に出して言いたい」五郎さんの名台詞は、
「ここは、オススメに身を任せよう」(52:42)
空腹に巻かれ正常な判断が出来ない時。
そんな時は、他人の判断、
即ち、お店が自身を持ってオススメする商品に身を任せるのも、また一計である。
「いいぞ、いいぞ、でも、食えば食うほど腹が減って来る」(56:47)
何となく、腹が減ってなくとも、一口食べればあら不思議、次から次へと口に運んでしまう。
美味しさが美味しさを呼び、食欲が加速する時に言ってみたい台詞である。
-
感想と解説
今回の五郎さんが頂くのは四川家庭料理。
という事で、ドラマパートも「家庭」を感じるものになっています。
京成小岩。
五郎さんは、町の様子に家庭的な温かみを感じます。
ケーキ屋で出会った親子連れ、
商店街で見かけた嫁姑、
写真館での家族のエピソード。
そういう流れの中だからこそ、
五郎さんは四川「家庭」料理の文字に惹かれたのでしょうね。
燈火に群れる蛾の如く、
温かみに吸い寄せられたという訳です。
食事パートも、何とは無しに一体感を感じる描写でした。
最初に、五郎さんは「ここは、オススメに身を任せよう」(52:42)
と、今日のスタンスを決めます。
その流れの中で、お店や常連客のオススメに次々と乗っかっていったんですね。
袖すり合うも多生の縁、とばかりに、常連客も一見さんの五郎さんに温かく接します。
特に、じゃがとろの時の奇妙な一体感が面白いですね。
五郎さんの被せ芸が上手く炸裂した瞬間です。
ハードボイルドな五郎さんも、一時、家庭的な温かみを求める時がある、そんな意外な一面が観られるエピソードですね。
今回はさながら、「孤独では無いグルメ」とも言えましょう。
さて、今回は四川料理、
Season1の第三話にて、汁なし担々麺を筆頭として印象を残した「辛さ」。
今回も、「辛い」からこそ促進される食欲の不思議さを存分に描写しています。
でも、思うんですけど、
辛いものって、ご飯と合いますよね。
カレーとかも。
ご飯がある程度辛さを中和して、美味しさを引き立てている感じがします。
でも、ご飯の無い文化の地って、どうやって辛いもの食べてるんでしょうかね?
やっぱり、辛い食べ物イメージとしては、アジア圏の料理ですね。
熱さに対抗する感じで、辛さを追求している感じです。
おフランスやイタ飯って、辛いってあるんですかね?
精通してないので分かりませんが。
大航海時代は、香辛料が貴重品だったというので、
やはり、その地域にあったものが料理として生まれているんでしょうね。
現在は色々なものを幅広く食べられる時代。
五郎さんならずとも、幸せな世の中になったと嘆息しますね。
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