孤独のグルメ Season2 第七話
千葉県旭市飯岡のサンマのなめろうと蛤の酒蒸し
監督:宝来忠昭
脚本:田口佳宏
出演:
井之頭五郎:松重豊
お母さん1:上杉二美
お母さん2:五味多恵子
お母さん3:片岡富枝
車掌:斎藤清六
ベテラン漁師:ガッツ石松
ふらっとQUSUMI:久住昌之
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*タイムラインはBDソフト準拠となっております。
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ドラマパートあらすじ
千葉県旭市飯岡、民宿に泊まった井之頭五郎。
雨上がりの朝、散歩しながら昨日の事を思い出す。
前日。(01:15:02)
ここ3日ろくに寝ていなかったという五郎さん。
電車の中で居眠り、気付けば終点の銚子駅にいた。
そこで携帯に電話。
なんと、届けた商品に手違いがあったのだ。
妻の誕生祝いだというその品、明日の午後に再び届けにあがる事になった。
往復する手間よりも、五郎さんは、本日はここに泊まる事にする。
民宿に行くにはまだ時間が早く、五郎さんは飯岡灯台に行ってみることにする。
その途中、一休みしてレアチーズケーキを頂く。(01:20:25)
「港町、魚も新鮮、チーズもレア」
「港町でレアチーズケーキ、下戸の俺にはこんなのが旅のほろ酔い気分だ」(01:21:18)
灯台に着いた五郎さん。
「失敗したから、この景色に出会えた」(01:22:13)
民宿に素泊まりした五郎さん。
チェックアウトして港沿いを歩いていると、ミスを謝っている若い漁師さんいた。
それに対しベテラン漁師は言う。(01:24:32)
「漁師にとって、一番の失敗って何だと思う?」
「それは失敗しない事だ」
「失敗をする事によって分かる事がある、失敗をしなきゃ見えない事もある」
「それを知らずに、ずっと来ちまう事ほど、怖いことはねぇんだよ」
「覚えとけ」
「失敗しない事が、一番の失敗」と五郎さん。
「だからって失敗も程ほどにしとかんと、仕舞いには本気でぶん殴るぞ」とハッパをかけるベテラン漁師。
良い事言うなぁと感嘆する五郎さん。
「それは、ともかく」
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「腹が、減った」(01:25:17)
ポン、ポン、ポォン。
店を探そう、もちろん魚だ。
「体が海の幸を求めている」
そう言って店を探す五郎さん。
「コレコレ、今の気分にドンのピシャ、ドンピシャだ」
良い店を見つけた五郎さん。
貝の水槽もあるし、
「やきはま」の幟に期待が膨らんでいる。
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つちや食堂(01:26:30)
メニューの木札を眺める五郎さん。
気になる「サーファー定食」なんてものもある。
(しょうが焼き、目玉焼き、納豆)
五郎さんは刺身定食(サンマ、マグロ)を注文。
単品で赤貝追加、焼蛤も頼む。
サンマは「なめろう」に出来ると言うので、そうしてもらう。
しかし、「焼蛤」はしていなくて、「酒蒸し」との事。
「え?」と困惑しつつも五郎さん、蛤の酒蒸しを頼む。
「表の幟に、確かに『やきはま』って書いてあったよなぁ…ま、いいんだけど」
お店を眺める五郎さん。
「何だか、中学時代の夏休みを思い出す」
「何か、くつろぐなぁ」
漁師っぽい人はビール片手にサーファー定食を頼んでいる。
五郎さん、トイレを借りる。
店の奥に行く途中、座敷にて居眠りしているお爺ちゃんを発見、抜き足差し足でトイレに行く。
刺身定食と赤貝が来る。(01:31:03)
今日は寒いので冷や奴ではなく、目玉焼きにしたとの事。
「いい眺めだ、これぞ正しい海の飯だ」
先ずはマグロから。(01:31:52)
「ちょうどいい厚みだ」
「うんうん、見た目通り、いいマグロだ」
「これだよなぁ、やっぱり、刺身もいいけど、白い飯にも抜群に合うのがマグロだ」
お次はサンマのなめろう(01:33:02)
「確かになめろうだ、でも、サンマ」
「お、甘い、本当に甘いぞ」
「オイオイ、これ、ご飯に最強、たまげたなぁ、サンマのなめろう」
赤貝の刺身もパクリ。(01:33:42)
「赤貝のこの歯ごたえ、コリッコリ」
「それにこのキツめの塩の味が良い、陸に揚がったばっかりって感じ」
気付くと、先ほどのお爺ちゃんが起きて座っている。
一息ついて周りの様子を眺める五郎さん。
塩焼きも美味そうだなぁと言い、
サーファー定食を食べている漁師は魚を食べ飽きているのかな?と推測する。
お吸物をすする。(01:34:35)
「みそ汁じゃなくて、卵スープなんだ」
「おぉ、何が違うんだろう、ダシか?」
「コイツは何だろう?胆?何のキモだ?」
「コイツがいい味出してるんだろうか?」
お次は目玉焼き。(01:35:25)
「随分ぶっきらぼうな目玉焼きだな」
「でも、こんな目玉焼きが似合ってるんだ、俺には」(01:35:33)
五郎さん、ご飯のお替わりがてら、お吸い物の事を聞いてみる。
「これ、何ですか?」
「あら、そんなもん入ってました?」
「何でしょうね、良く分かんないです、私バイトなんで、すいませんね」
「大雑把も、ここまで来ると逆に気持ち良いな」
と感心する五郎さんであった。
その時、家族連れの子供が何かを倒した。
両親にられるが、食堂のオバチャン達が大挙してふきんを持って集まって来る。
「怒らないでくださいね」と。
「昔の近所のおばさんって、みんなあんな感じだったよなぁ」
蛤の酒蒸し登場。(01:37:14)
「結構一杯あるなぁ」
「色白でプリプリつるん、べっぴんさんだなぁ」(01:37:36)
いただきます、じゅる、しゅるっ。
「ウホホホ、これはこれは、出るわ出るわ、うん」
「しょっぱい、でも、正しく海のしょっぱさだ」
「俺は今、海そのものを食べている」
うは「これは、声が出ちゃうよ」
五郎さん、働いているお爺ちゃんをみて、
ようやくエンジンがかかったな、と呟く。
ようし、と気合いをいれ、まとめにかかる五郎さん。
「マグロ、赤貝、サンマ。今、俺の胃袋には大漁旗がはためいているぞ」(01:39:20)
「このなめろうは今日の大当たりだなぁ」
「いいゾ、いいゾ、ノッて来たゾ」
「食った、食った、大漁、大漁」完食。
お会計。(01:40:38)
蛤の酒蒸しの分を忘れていたお母さん。
「間違えちゃった、アハハ」
「小さいミスは気にしない」と終始大らかな感じの店。
「はぁ、この店、大正解だったなぁ」
「さて、海辺の休息は終わり、働くとしますか」
晴れ晴れをした表情で、今日の仕事へと向かう五郎さんであった。
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ふらっとQUSUMI(01:41:57)
九十九里浜まで来て、生憎の雨に降られた久住さん。
お食事処 貝類販売 つちや食堂の幟には確かに「やきはま」の文字が見える。
*2013年当時のデータなので、現在も営業中なのかは要確認
サーファーの憩いの場所という「つちや食堂」。
久住さん、サンマなめろうとやきはまを頼む。
しかし、やっぱり、
「焼蛤ね、はい。出来ます。あの、焼蛤って言っても、あの、酒蒸しになりますけど宜しいでしょうか?」(01:42:48)
と言われる。
まず、蛤の酒蒸し。
「大きい、ええ、凄い量これ」
「うまうま、プリプリ」
「あんねぇ、もっとしょっぱいかと思ったんだけど、そうでもない」
でも、これで焼蛤食べたいと思う久住さんであった。
そして、アジフライ。
「これね、ソースをかけるか醤油をかけるか、もの凄い迷うんですよね、いつも」(01:43:48)
どうやら、今日は醤油に辛子のようです。
「うんまぁ」
「これは新鮮、魚臭さなんてもう全然無いですね」
「すごいホクホクしててね、こ・れ・は堪りません」
ここでビールを飲みながら、
「もう、もういいんです」
「今日は終わったな」と、既に満足げ。(01:44:08)
サンマのなめろうがやって来る。
(サンマの季節限定)
「これは美味いハズだ」
「うーわ、ウンマい、ちょっと酒負けたね、これ」
「今まで食べたなめろうと全然違う、ネギと味噌とショウガの感じも凄い良い」
「甘みがある感じですね、ご飯と一緒に食べると」
白いご飯を美味しく食べている久住さん。
そこに、裏メニューのほっき貝の天ぷらが届けられる。
「うわぁ、凄いしっかりした天ぷら」
「凄い歯応えがあってねぇ、甘味があって、ねぇ、これもご飯に合いますねぇ」
「この店に通ってると、デブになりそうだなぁ」(01:45:33)
と、慨嘆する久住さん。
サーファーの皆さんからも親しまれている食堂なのでした。
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声に出して言いたい!五郎さんの名台詞
今回の「声に出して言いたい」五郎さんの名セリフは、
「失敗したから、この景色に出会えた」(01:22:13)
仕事でポカをした五郎さん。
しかし、だからこそ見える景色をいうものもある。
転んでも、ただでは起きず、良い物を見つけ、
是非とも呟きたい台詞である。
「マグロ、赤貝、サンマ。今、俺の胃袋には大漁旗がはためいているぞ」(01:39:20)
海産物でまとめたレパートリー。
それを食った今、腹の中は大海原。
パンパンになるまで食べたら、すかさず大漁旗を高く掲げるのだ。
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感想と解説
お仕事でちょいとポカをした五郎さん。
今回のエピソードは、ドラマパートから食事シーンに至るまで、ちょっとした失敗と、それを許容する大らかさが描かれています。
失敗とは、出来ればしたく無いもの。
しかし、人間、何でも完全って訳にはいきません。
時には、失敗もある。
でも、そこから学ぶ事も一杯あるのだと教えてくれます。
特に、ガッツ石松演じるベテラン漁師の言葉が秀逸。
「漁師にとって、一番の失敗って何だと思う?」
「それは失敗しない事だ」
「失敗をする事によって分かる事がある、失敗をしなきゃ見えない事もある」
「それを知らずに、ずっと来ちまう事ほど、怖いことはねぇんだよ」(01:24:32)
失敗して、それに対策して、
次には上手くいく様に努力する。
この一歩一歩、自ら進んで行く感じ、
失敗を礎にする事で切り拓かれる道もあるのです。
いい先輩の、良い言葉ですね。
とは言え、ベテラン漁師のガッツさん。
あなたが本気でぶん殴ったら大変な事になりますよ、と言わざるを得ません。
こういう流れがある中で、食事シーンでは大らかな食堂のお母さん達が描かれます。
大らかすぎて、
外に「やきはま」の幟があるのに「やきはま」が無い、
何て言っちゃったりします。
けれど、そこで五郎さんはキレたりはしません。
「ま、いいんだけど」(01:28:57)とゆったり許容します。
それが、豊かな人生を生むんですね。
だって「やきはま」を食べられなかったから、蛤の酒蒸しという美味しい物を食べる事が出来た。
そういう店だったから、「サンマのなめろう」もあった。
そう考えるのがプラス思考ですね。
また、お母さん達、
勝手に冷や奴を目玉焼きにしたり、
お吸い物の中身が分からなかったり、
会計を間違っちゃったりします。
「大雑把も、ここまで来ると逆に気持ち良いな」(01:36:35)
という感じですが、こういうチョイミスみたいなものに目くじら立てない方が、心が豊かになる感じがしますね。
そんなお母さん達だからこそ、子供がこぼした時にも、フォローがしっかりしていたんでしょうね。
ミスしてへこむ所、
港町の風景と夢のようなゆったりした空間にて、五郎さんの心の傷を癒やした。
そして、今日も頑張っていこう、そういった情緒のあるエピソードでした。
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