ドラマ『孤独のグルメ Season3 第一話 北区赤羽のほろほろ鳥とうな丼』感想 あらすじと解説

孤独のグルメ Season3 第一話
北区赤羽のほろほろ鳥とうな丼

 

監督:溝口憲司
脚本:田口佳宏

 

出演:
井之頭五郎:松重豊

黒田真理子:広田レオナ
スナックママ:清水ミチコ
南木(着物屋主人):千本松喜兵衛
友人 東谷:高橋修
中年男性客:石倉三郎 他

ふらっとQUSUMI:久住昌之

 


スポンサーリンク

 

 

*タイムラインはBDソフト準拠となっております

 

 

  • ドラマパートあらすじ

北区赤羽に来た井之頭五郎。

20年ぶりという五郎さん、赤羽(あかばね)は随分変わったなぁという印象を持つ。
「ライトな浦島太郎感覚」

 

仕事の打ち合わせで、喫茶&果物のプチモンドに来た五郎さん。(01:32)

待っていた全身黒塗りの女性・黒田は、五郎さんの知人・滝山の紹介。
滝山にヨーロッパの物なら何でも取り寄せてくれると、五郎さんを紹介されたと言う。

その黒田さん、悪魔の像が欲しいとの事。
パズズ、バフォメット、アモン、木彫りの像を五郎さんに頼む。
「宜しくお願いします」と黒田さんは席を立つ。

難しい奇妙な依頼に嘆息しつつも、五郎さんは甘味で一服。
フルーツサンドを頼む。(05:29)

「デカい、でも美味そうだ」

「おお、思っていたのと違う、うま」

「フルーツサンド、胃袋の乱され方が、今までに無くフレッシュだ」

「コーヒーがウィンナ・コーヒーっぽくなる」

「成程、いいじゃないか」

 

「フルーツサンドのおかげで気分は新鮮、よし、もう一仕事行こう」

 

着物屋に着いた五郎さん。
ご主人を尋ねるも外に出かけ、その外出先に来て欲しいとの事。
娘さんは手提げと傘も持ち出し、「ついでに持って行って下さい」と頼む。

 

手書きの地図を頼りに探す五郎さん、結構歩いてカラオケスナックたけくらべに着く。(10:16)

ご主人と友人、そしてスナックママが談笑して盛り上がっている。
五郎さん、例の如くお酒を勧められるが、
これまた例の如く断ると、
例の如くに驚かれる。

手提げの中には卒業アルバムがあった。
注文の品を渡した五郎さん。

 

酒飲みに追従笑いで、気を遣った五郎さん。

「ハァ、仕事終了」

「沢山歩いてからか、何か腹が減って来た」

「フルーツサンド、腹持ち悪し」

 

  • 「何か、食べたし」(13:14)

ポン、ポン、ポォン

五郎さん、昔を行った店を思い出し、そこに行こうと思い付く。
昔のままの店を見つけるが、
五郎さん、近くにある鰻と焼鳥の店に心を奪われる。
新規開拓だと五郎さん、

「土用の丑の日には早いが、今の俺の体がウナギを欲している」

「それに、この匂い…」五郎さん、匂いに誘われ入店する。

 

  • 川栄(14:54)

「久々のウナギの匂いに、胃袋がもんどりうっている」

「無事、辿り着いた」と満足げに席に着く。
近くには、昼からビールを嗜み串モノを食べている男性がいる。

メニューを眺める五郎さん。

「ほろほろ鳥?フランス料理か何かにあったなぁ」

「まさか鰻屋でお目にかかるとは」

メニューにはほろほろ鳥のラインナップが沢山ある。

「いろいろ仕掛けて来るなぁ」

「イカン、いつの間にやらほろほろ鳥に心を奪われてしまっていた」

「じゃぁ、ホロちょっと行って、シメにうな丼だろう、鰻のオムレツ、良し」

五郎さん、注文を決める。
ほろほろ鳥の合せ盛りと、ほろバラ串、ほろあぶら串、ほろスープ、そして鰻のオムレツを先ず頼む。

「ちょっとほろ関係頼み過ぎたかなぁ」

 

厨房で鰻が焼かれている。
隣のオジサンの注文、「白焼き」の様だ。

「昼から酒、うなぎ、落語の世界だ」

オジサン、白焼きを肴に酒を飲み「アァッー」と声を上げる。

「ふん、いい気なもんだ」と酒飲みを横目に見る五郎さん。

 

注文の品が来る。

先ずはほろほろ鳥の合せ盛り。(18:39)
刺身とたたきから、頂きます。

「肉厚、見るからに美味そう、さぁて、ほろほろ初体験」

おぉ、おぉ、この美味さ、未知との遭遇、いい、E.T.!」(19:53)

「ほうほう、こういう奴だったんだ」

「たたきはニンニクダレで」

「うんうん、タタいても良し!」

「いやぁ、ほろ大正解、この店当たり!」

 

ほろバラ串。(21:39)
レモンの汁を搾り、かける五郎さん。

「成程、色んな部位か。うんまいなぁ」

無言でむしり食う五郎さん。

「一本で、ほろほろバラエティ」

 

ほろあぶら串。(22:40)

「これ、見るからに面白いなぁ」

「ほっう、これまた面白美味い」

 

ほろスープ。(23:16)

ズズッ、オォア「これは思わず声が出ちゃうな」

ハァ~ッと掛け声、酒で声がでた隣のオジサンとユニゾンする五郎さん。

 

鰻のオムレツ。(24:08)

「綺麗だなぁ、食べるのが惜しい様だ」

「おお、トロットロの中からウナギ君が」

「うん、こうなりますか、甘トロ」

「鰻屋で洋食屋気分」

「うん、玉子の中に居てもウナギはウナギ」

仲良くしながらも、己を全く失わない」(25:12)

 

そろそろシメのうな丼に行こうとする五郎さん。
注文が若者カップルとかぶり、五郎さんは後回し。

その若者カップル、男性が特上を二人前頼む。

「何!?特上?そんなに見栄張んなくても」

五郎さんは「うな丼」の「どん」の部分を強調して頼む。

 

「コレでいいんですよ、俺には」

うな丼。(26:31)

「うんうん、見た目を裏切らないうな丼だ」

美味い、ウナギと白い飯、最強、西京線胃袋行き、快速!」(27:49)

「鰻屋は何故か、奈良漬けを出す」(28:06)

「飲めない俺には、奈良漬けはちょっと苦手なんだが」

コリッ、コリッ「ああ、でもこれは良い奈良漬けだ、美味しい」

「でもちょっと、酔っちまいそうだ」

「あぁ、いいゾ、いいゾ、食っても食ってもまた美味しい」

「ほろほろの活躍がかすむ様な、うな丼の横綱相撲だ」

「この奥深い味は一朝一夕に出来るもんじゃない。俺は、歴史を食ったのだ」(29:26)

美味かった、と五郎さん。

 

退店。(29:59)

「おっとっと」と、足下が覚束ない五郎さん。

「あれ?奈良漬けで酔っ払っちまったか」

「大の大人が奈良漬けでほろ酔いとは、ほろほろ鳥に笑われちゃうよ」

傘をくるくるとぶん回しながら去りゆく五郎さん、

「あ、傘返しに行かなきゃ」

と、Uターンして戻って行くのだった。

 

  • ふらっとQUSUMI(30:49)

2013年当時、創業67年となる川栄

創業当時からウナギと鳥料理を扱って来たとの事。


*2013年当時のデータですので、お店に行く時は要確認

 

久住さんもやはり、五郎さん同様にほろほろ鳥に興味があるご様子。

うなぎのメニューを見ると、
「上、特上、最特上」とある。
「特別快速みたいだよね」と久住さん。

 

久住さんの注文は
ほろあぶら串、ほろバラ串、しのび重(並)。

「お飲み物は?」と聞かれ久住さん、

お飲み物!?あ~、飲み物。生ビールの小下さい

お飲み物と言われると…えっへっへ」(31:39)

 

その生ビールが先ず来る。
「昼から飲んでる人一杯いるんだろうなぁ」
「超ウマイ」

 

ほろあぶら串を食べる久住さん、
「うん、美味しい。すごいあっさりサッパリと口の中で溶けるような」

 

ほろバラ串は、
七種類の部位が一串に刺さっているもの。
胸肉、横隔膜、せせり、砂肝、皮、レバー、手羽先
(変更の場合もあり)から成るそうです。

「これは美味しい」
「本当に鳥よりあっさりしてるからね、これ食べやすいですね」
「飲み過ぎちゃいますよ」

 

しのび重とは、
ご飯の下にもウナギを忍ばせているから、しのび重。

「いいじゃん、これが忍び?」
「忍びって、この下に、お、入ってるよ、忍んでいます」
これ、海苔では、のり弁ではあるけどね、2段ってのは」(32:59)

「お、美味いコレ、色んな食べ方出来そうだな、コレ
上の段だけ食べちゃって、下だけもう一回、やるとか」(33:09)

「笑いがでちゃうね」

しのび重の奥深さに、久住さんも大満足のご様子でした。

 

  • 声に出して言いたい!五郎さんの名台詞

今回の「声に出して言いたい」五郎さんの名セリフは、

 

おぉ、おぉ、この美味さ、未知との遭遇、いい、E.T.!」(19:53)

五郎さん、まさかのスピルバーグネタ。
二本の傑作映画を一つの台詞に凝縮し、食事の素晴らしさを表現している。
これ程完成度の高い台詞は未だかつて無いといっても過言では無いだろう。
味の初体験時には、是非とも言ってみたい台詞である。

 

美味い、ウナギと白い飯、最強、西京線胃袋行き、快速!」(27:49)

こちらは、如何にも五郎さんらしい、連想ゲーム的な台詞回し。
この台詞の完成度も高く、唸らされる。
胃袋にズドンと来る美味さの表現。
しかし、使う時は、色々アレンジして、自分のローカル線で言い換えてみるのも面白いだろう。

 

  • 感想と解説

遂に Season3 開幕。
とは言え、作品のテイストは Season2 を継承した作りとなっています。

奇を衒わない平常運転、コレがいいんですよ、『孤独のグルメ』には。

その一方、段々ゲストキャラが豪華になって来ています。
チョイ役でも、見た事のある人が沢山います。

予算と知名度が両方上がり、頼みやすくなって来てるんでしょうね。

へぇ、あの人がこんな役を
という、驚きと楽しみが増えた感じです。

 

さて、今回のメインの料理はウナギ。

昨今は、土用の丑の日ともなれば、
スーパーもコンビニも牛丼屋もみなウナギを出し、
余ったものは、即廃棄、
乱獲に乱獲が進んで絶滅が危惧されています

ですが、今回のウナギの価格設定を見るに、
安く買える事が実は異常で、本来は贅沢品だったのだと改めて思い出されます。

価格設定によって、受容と供給のバランスが保たれていた所に価格破壊を持ち込んだら、
資源自体を取り尽くしてしまうという教訓として、将来刻まれると危惧されます。

 

未だに詳しく生態が解明されていない未知の生物、鰻。

美味しいからと、食い尽くしてしまうのは、如何と思うのですが、どうでしょうか。

個人的には、コンビニの鰻は廃止した方がいいと思うのですが、、、

 

さて、喫茶店「プチモンド」のシーン。

聞き慣れない言葉をちょっと解説してみます。

先ずは「ウィンナ・コーヒー」。
別にコーヒーの中にウインナーを入れるわけでは無いです。

Wikipediaによりますと、
日本におけるウィンナ・コーヒーとはコーヒーの上にホイップクリームを載せたものだと言います。

「ウィンナ」とは、「ウィーン風の」という意味。

しかし、名前の由来となったオーストリアの首都「ウィーン」では、むしろエスプレッソ的なコーヒーが飲まれているそうです。

 

因みに、黒田さんに五郎さんを推薦した滝山さんは、Season2 第九話 にて声が聞けます。
滝山の声を演じたのは植草朋樹。
ふらっとQUSUMIのナレーションをされている方です。

 

そして、悪魔が欲しいといった黒田さん。
その悪魔もちょっと解説。

パズズはアッシリアとバビロニアで崇拝されたと言われる、古代メソポタミアの「風の魔王」。

映画「エクソシスト」シリーズの悪魔は、
このパズズのビジュアルイメージで描かれています。

 

バフォメットは、キリスト教由来の、「サバトの牡山羊」と言われる有名医な悪魔。

山羊の頭に黒羽、胸は女性でありながら男根があり、あぐらをかいている、
よくアメリカ人がTシャツに着ている悪魔の絵のアレです。

 

アモンはいわゆるソロモンの72柱の悪魔の一体。

フクロウの様な頭に、尻尾は蛇で描かれる事が多く、
口から火を吐く悪魔だそうです。

漫画の『デビルマン』で
主人公の不動明が合体したデーモンとして有名ですね。

 

欲とエゴの計り知れなさ。
日本人がうなぎに執着し、絶滅させる様子を悪魔的所業と断じた、
そういう意味が今回のエピソードには込められているのかも、しれませんね。

 

 

 

 


スポンサーリンク