孤独のグルメ Season3 第五話
中野区東中野の羊の鉄鍋とラグマン
監督:井川尊史
脚本:田口佳宏
出演:
井之頭五郎:松重豊
時田実:石丸謙二郎
キャラバンサライ 陶芸家風の親父:大槻修治
キャラバンサライ 女性店員:久下恵美
キャラバンサライ 店員:小林俊 他
ふらっとQUSUMI:久住昌之
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*タイムラインはBDソフト準拠となっております。
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ドラマパートあらすじ
中野区東中野に降り立った井之頭五郎。
初めて降りる場所、昭和風の飲み屋街に風情を感じる五郎さん、
「シャンソン」という文字の反応し、
「新春シャンソンショー」と言おうとするが
「新春シャンションショー」と言ってしまう。
東中野ギンザ通りを見つけ、ぶらぶら歩きをする五郎さん。
店頭のセルフサービスのコーン茶を飲んだり、(02:58)
甘味処を覗いたりする間に、約束の時間になる。
「シアター ポレポレ東中野」に訪れた五郎さん。(04:30)
「ポレポレって何処かの国の言葉だったよなぁ」
この映画館の館長は、10年ぶりに合う五郎さんの先輩の時田。
「スイーツ、好きだったろ」と、ジェラートを貰う五郎さん。
桜塩ミルクジェラート。(05:48)
「あ、本当に桜風味。うん、しょっぱい」
「ミルクの中に桜ちりぬる」
「イタリアーノでジャパネスク。これはボーノ、ほのボーノ」(06:39)
時田先輩、映画撮影を止めた訳では無く、
むしろ後進の育成なんかもやって充実した日々を送っているご様子。
その時田先輩がドキュメンタリー映像作家の、
写真展や資料展示のイベントのトータルコーディネートを五郎さんに頼みたいとの事。
五郎さんは快諾、色々やるんですねと尋ねると、
時田は言う、
「昔と違ってねぇ、今はモノ作りが難しい時代になったからねぇ」
「金が集まらないとか、場所が悪いとか、理屈をこねるのは簡単だけど、言い訳しても何も生まれないからねぇ」(07:56)
実はまだ、丁度企画を思い付き、作成した段階だと言う。
五郎さん「実現の可能性は低そうだな」と思いつつ外へ出る。
ぶらりと歩いている五郎さん。
「ステーキハウス おなかいっぱい」の文字を見る。
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「思い出した。俺は、腹が減っていた」(09:45)
ポン、ポン、ポォン。
店を探そう、と言う五郎さん、さっきの「東中野 ぎんざ通り」に戻ってみる事にする。
「うーん、如何様にも攻められるが、決め手に欠ける」
と、イマイチ乗り切れない五郎さん。
しかし、屋台併設のお店を見つける。
出しているのは焼鳥かと思いきや、羊肉の料理。
「真夏、羊の鉄鍋、今食うべきは、意表を突いて、羊」
「直感に従え」(11:17)
二つある入り口に、ちょっと迷いつつも、五郎さん入店する。
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キャラヴァン・サライ(11:38)
店内入り口には、異国の壺やお椀が並んでいる。
「これって何処の国のものだろう」
テーブルのある場所まで行くと、客層が正に無国籍状態。
席に着き、メニューを見てアフガニスタン・パキスタン系の料理を出す店だと知れる。
「少しずつ、店の空気に馴染んで来たぞ」
「アフガニスタンは、基本羊、牛と豚は駄目なんだよな」
そう言いつつ、五郎さんはメニューを眺め注文を組み立てる。
「カバブ、うん、串は外せない。外して食べても、外せない」
徹底した羊料理に合わせ、五郎さんが注文するのは、
カバブとコフタの串を一つずつ、
ラムロースのたたき、カラヒィ、ナンを注文。
飲み物は店員さんに尋ねたオススメのドーグを頼む。
ドーグとは、
口直しで飲むことが多いが、現地ではきゅうりのみじん切りを入れたりするとの事。
「口直しにきゅうり?アフガニスタン料理、大丈夫かな」
と独白しつつも、顔には期待の笑顔が浮かぶ。
注文が来るまで雑貨を眺める五郎さん。
壺、椀、キリムなんかを見ている内に、座席にはドーグが置いてあった。(15:43)
ストローでずずっと飲む五郎さん。
「あ、美味しい、ちょいシナモンテイスト」
「言われてみれば、口直しとしての立ち位置なのかもしれん」
周りを見渡す五郎さん。
現地系の人や、ヒッピー風のボヘミアンな感じの若者も居る。
「なんか、自由だよなぁ」
「店は、何処も独立国だ。ここは、こういう国なんだなぁ」(16:34)
屋台側の親父さんが、カバブとコフタを持って来る。
カバブ。(17:28)
「うぅん、美味い」
コフタ。(17:21)
「こっちはどうだ?」
「おお、こっちはちょいと、スパイスは、はしゃいでる。やんちゃな肉だ」(18:11)
食べている間にラムロースのたたきが来る。(18:26)
オリーブオイルと塩につけて食べるとの事。
「たたきは初めてだよ、どれどれ?」
「え?マジ?全然臭みがない。ラムってこうなの?」
「美味い、美味い、俺の羊観はたった今ひっくり返った」
「うおお、これも良い」
そしてカラヒィがナンと共にやって来る。
パチパチとの鍋の音に聞き耳を立てる五郎さん。
「鉄鍋が感性をあげている」
カラヒィ。(20:18)
「ようし、遊牧民料理の真髄を」
「見た目ほど、辛くは無い」
「この羊の肉、クセが無いからクセになりそうだ」(21:21)
そして、ナンを使って食べてみる。(21:35)
「お、アツアツだ」
漬けて食べて「あ、これもまた良し」
「こっち系の料理にナンは必須、必須アミノ酸だ」(22:01)
「それにしても、ここん家のは噛み応えが凄い。俺の知ってるナンとはちょっと違う」
ふにふにでは無く、固めのタイプ。
「立つナン。これがアフガンのナンなのか」
「え、うそ!?」
ふと見ると、現地系のお客さん3人組は、ナンを8枚も並べている。
「もしかして、俺の方が間違ってるのか?」
五郎さん、勢いでナンをもう一枚注文する。
「何にでもナン、ナン、オールマイティ」
「食い進む内に、口の中に辛さのマイレージが貯まっていくようだ」
五郎さん、
「まだ入るな」と食べ足りないご様子。
「よし、気になってるの、行っとくか」
と、ラグマンを頼む。
ラグマン。(24:36)
「こっちの方が良さそうだ」
と、五郎さん、フォークとスプーンを取り出し、混ぜ混ぜする。
ヨシ。
「成程、濃い味系」
「アフガン混ぜ麺、日本人向けにアレンジされているのか?」
「そうでないなら、アフガニスタン人と日本人の好みが似ているって事になる」
「美味しさに理屈は要らない。俺の口は世界を股にかける遊牧民だ」(26:03)
「老いも若木も、男も女も、自由に飲み、気ままに語らい、腹を満たすフリーダム」
「この店の法律は、何て大らかなんだ」
「うん、これもありだ」
ナンに料理を載せ、まとめにかかる五郎さん。
「遊牧、羊、灼熱、絹の道。俺の胃袋がさすらっている」(27:03)
「誰の目も気にせず、好きな様に好きなものを食らう。食う事は本来、自由だったハズだ」
「あぁ、楽しかったぁ、ご馳走様でした」ハァ
退店(28:28)
外の屋台を見ると、オジサン客が日本酒と焼鳥を食べている。
「なんだよ、ちゃんと焼鳥もあるんじゃないか」
「さすらい終了、さぁ、一駅歩いて帰るとしますか」
ご機嫌で歩く五郎さん。
「新春シャンソンショー」をやっぱり言えず、
「新春チャンチョンチョウ」と言ってしまう。
「やっぱり駄目か、おしいな。ま、新春じゃないし」
と、歩み行くのでした。
*五郎さんの食事全集はコチラのページにまとめられています。
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ふらっとQUSUMI(29:36)
「漫画原作の、久住昌之です」
と、早速屋台の方に座っている久住さん。
*2013年当時のデータですので、お店に行く時は要確認
早速何かの液体のグラスを手にしている久住さん。
「今日は、あの…お茶ですかね、ウーロン茶のような、ちょっと良い気持ちになるお茶を…」(29:49)
*実際はカメだし紹興酒だったりします。
肴は蒸しキャベツ。
キャベツをせいろで蒸したシンプルなもの。
「これ美味しそうだね」
「見て、これキャベツ好きには堪らないものですね」
「うわ、美味しい、シャキシャキ感もあって、甘くてね」
アフガニスタン料理とパキスタン料理を出す、キャラヴァン・サライ。
なのに、久住さんは、何故からっきょうを食べる。
「ボリボリ、音がもう」
ラムのからし炒め。
「おお、思ったのと違う」
「ラムの上にこのスライスした玉ねぎがこんなに一杯載ってて、しかも香菜が」
「これ、いい~じゃない。うん、美味しい、コレ、これ当たりでしょ」
「ちょっとカレー風味で、ハーブをケチってない所が良いですね。うん、美味しい」
そして、シメのとりかゆを注文する久住さん。
「おお、良い感じなプレーンな」
トッピングに「冬菜(つけもの)」が付く。
*冬菜とは:
中国の白菜の様なものを、ニンニクと塩で漬け込んだもの
「スープ粥ですよ」
「優しい味だね、美味しい」
「酒飲みの、まるで救いの手の様なね」(32:29)
冬菜を加えて食べてみる久住さん。
「みんなで、不良な酒を飲んで盛り上がって、最後にコレを食べるとね、穏やかな気持ちになって、静かにエンディングを迎えられるという」
「もう一軒行こうぜェ!とかならない、これ、いいと思います」(32:44)
今日も出来上がっている久住さんの言葉だけに、説得力のあるセリフです。
*ふらっとQUSUMIの食事全集はコチラのページにまとめられています。
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声に出して言いたい!五郎さんの名台詞
今回の「声に出して言いたい」五郎さんの名セリフは、
「クセが無いからクセになりそうだ」(21:21)
フラットでクセの無いものほど食べやすい。
食べやすいから何度でも、いくらでも食べられる。
気付けばクセになっている事請け合い、
それに気付いた時、思わず口にするセリフである。
「美味しさに理屈は要らない。俺の口は世界を股にかける遊牧民だ」(26:03)
美味さに国境は無い。
そして、そこに理屈を求めるのもまた、野暮である。
国の差など考えずに、ただ、世界中の美味しい物を美味しく頂く。
そんな時に口にする事が出来るセリフであろう。
*名言集はコチラのページにてまとめられています。
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感想と解説
前半のドラマパートにて出て来た劇場「ポレポレ東中野」。
これは、実在する施設であり、
実際のオーナーも、映画監督をしている本橋誠一さんです。
そして、この「ポレポレ」という言葉。
これはスワヒリ語で「ゆっくり」を意味する言葉だそうです。
さて、劇中の館長、時田先輩のセリフに
「金が集まらないとか、場所が悪いとか、理屈をこねるのは簡単だけど、言い訳しても何も生まれないからねぇ」(07:56)
というものがあります。
そして食事シーンの五郎さんも、今回はこのスタンス。
「美味しさに理屈は要らない。俺の口は世界を股にかける遊牧民だ」(26:03)
こう五郎さんは独白しています。
つまり、何かをする時、
理屈をこねたり、やらない言い訳を考えたりする事は愚の骨頂。
何かを作ったり、物を食べたりする事は、本来自由な行為のハズ。
兎に角、飛び込んでやってみろよと言っているんですね。
さらに五郎さん、特に今回は自分を遊牧民に例え、
国境に拘らない食のフリーダム(自由闊達)を宣言します。
その発想の段々規模がデカくなって行ってるのがまた、面白い所でもあります。
さて、作中にちらりと五郎さんが口にした「キリム」とはいったい何でしょう?
キリムとは:
中央アジアの広い地域に住んでいる遊牧民が織る平織りの織物の事です。
素材はウール(羊毛)で出来ています。
そして、五郎さんが挑戦していた早口言葉、
「新春・シャンソン・ショー」。
これには発展形のバリエーション、
「新進シャンソン歌手、総出演、新春シャンソンショー」というものもあります。
どうですか?言えそうですか?
文字で見ると、意外と言えそうな気もします。
頑張って3回言って、五郎さんの前でドヤ顔決めたいですね。
*『孤独のグルメ』のエピソード一覧をコチラのページにてまとめています。
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