ビニー・パジェンサはプロボクサー。タイトル獲得経験もあり、ボクサーの常でジミーも自信家だが、タイトルマッチでチャンピオンにボコボコにされプロモーターより引退を勧告される。ビニーは再起の為、新しくトレーナーのケビンにコーチを依頼する、、、
監督はベン・ヤンガー。
『マネー・ゲーム』(2000)でデビュー。
プロのオートバイレーサーでもあるらしい。
主演のビニー・パジェンサ役にマイルズ・テラー。
『セッション』(2014)での演技は未だ印象的だ。他の出演作に
『ダイバージェント』(2014)
『ファンタスティック・フォー』(2015) 等。
ケビン・ルーニー役にアーロン・エッカート。他の出演作に
『サンキュー・スモーキング』(2006)
『ダークナイト』(2008)
『ハドソン川の奇跡』(2016) 等。
他、共演にケイティ・セイガル、キアラン・ハインズ、テッド・レヴィン等。
『ビニー/信じる男』は
実話系ボクシング物である。
いつものあの雰囲気を思い出して貰って構わない。
お馴染みの水準と安定した満足度がそこにはある。
しかし、実話系によくある山も谷も無い様なのっぺりとしたストーリーではない。
ビニーは数々の困難に見舞われ、それを
負けん気の強さと根性で乗り切る。
その様子が心地よい。
普通ならば、自信過剰な人間描写に共感する事は困難である。
しかし、ビニーの場合には1960~70年代のスポ根を思わせる妙な空気感があって憎めないのだ。
たまにはスポ根を見たい!
そんな要望を『ビニー/信じる男』は満たしてくれる。
以下ネタバレあり
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行動で黙らせる男
ビニーは自信過剰である。
決して万人に愛される人徳溢れる人物という訳では無い。
だが、彼はそれでも魅力的である。
何故ならビニーは、周りの反対、否定を自らの努力と根性、そしてそれに伴う結果によって黙らせているからである。
ビニーは言う。
諦めたり、逃げたりするのは簡単な道だ、と。
つまり、ビニーは敢えて困難な道を選んでいるのだ。
諦めた先の生活に価値は無い。
彼はそう言い切り、困難に挑戦する。
勿論、結果を出したからこその評価であろうが、挑戦する事なしにはその結果はそもそも為し得なかった。
今時珍しい「努力と根性」というスポ根的思考だが、それ故に掴んだ栄光なのだ。
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肉体改造
そして、それに説得力を与える為に役者はボクシングに向けた肉体改造を行う。
役柄に合わせてボクシングトレーニングを主演のマイルズ・テラーは積んでいる。
ボクシング物ではよくある、と思われるかもしれない。
しかし、日本においては役柄に合わせて体を作り上げるという行為がほとんど見られない。
それを考えると、如何に辛い作業であるかが想像出来るのではないだろうか?
(もっとも、鈴木亮平など、日本にも役に合わせて肉体改造を行う役者はちゃんといる)
そして、もう一つ。
トレーナー・ケビン役のアーロン・エッカートも肉体改造を行っている。
しかし、彼の場合は自堕落な太鼓腹とハゲ頭の再現、方言の習得という、トレーニングとはまた別のベクトルで難しいものである。
特に、ダンディな彼があのぶよぶよの腹を作っていたのはかなりの衝撃であった。
あの腹は作るのも大変だが、それを落とすのはもっと大変である。
ダイエット本を書けば一財産築けるのではないかと思わずにはいられない。
(アーロン・エッカートはこの役のために18キロ程増量し、それを次の役の為に1ヶ月と3週間で落としている)
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マイルズ・テラーの傷跡について
『セッション』の時に思ったが、彼の顔には傷跡がある。
そして、今作『ビニー/信じる男』において、顔の傷が増えていた。
これはボクサーという役作りの為にわざわざ増やしたのか?
と思ったが、どうやら彼は2016年に交通事故にあっていたらしい。
マイルズ・テラーは過去、実生活で2007年にも交通事故にあっているそうだ。
どうやら交通事故に因縁がある人らしい。
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人物補足
冒頭、ビニーが対戦したメイウェザーというのは、ロジャー・メイウェザーの事。
ロジャーの甥がかの有名なフロイド・メイウェザー・ジュニア。
現在プロ戦績49連勝無敗である。
2017年8月に試合がある様だが、果たして。
人間、生きていれば様々な批判にさらされる。
それを回避する方法はいろいろある。
周りと上手くやったり、大人しく生きる方法もある。
しかし、さらなる批判を恐れず、敢えて困難な道を行くことで相手を黙らせ、結果にて認めさせる道もある。
死に物狂いでチャレンジする、人生にはそうせねばならぬ時もあるのだ。
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次回は『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』について解説したい。