映画『鳩の撃退法』感想  物語がローリングストーンする、奇妙な展開!

かつて、直木賞を受賞した事もある作家の津田伸一。現実の出来事を勝手に作品として発表した過去を持つ彼は、現在、業界で干され気味になり、富山でデリヘルの送迎ドライバーとして働いていた。
そんな津田が、旧知の編集者に新作を送る。一家失踪事件と取り扱ったその作品は、果たしてフィクションか?現実か?、、、

 

 

 

 

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監督はタカハタ秀太
TVディレクター出身。
モーニング娘。の、『LOVEマシーン』などのミュージックビデオも手掛ける。
監督作に、
『ホテルビーナス』(2004)等がある。

 

原作は、
山田風太郎賞を受賞した、佐藤正午の『鳩の撃退法』。

 

出演は、
津田伸一:藤原竜也
鳥飼なほみ:土屋太鳳
幸地秀吉:風間俊介
沼本:西野七瀬
川島社長:岩松了

倉田健次郎:豊川悦司 他

 

 

 

鳩って、平和の象徴って言うじゃないですか。

あれ、誰が言い出したンですかね?

で、調べて見た所、
第二次大戦後、
オリーブの枝を咥えた鳩」のリトグラフである、
パブロ・ピカソが制作した『鳩』が由来らしいです。

オリーブの枝も、
そして、「鳩」も、
どうやら古来から「平和」を象徴するシンボルだったのですが、
それが、
ピカソにより、世界的に、一般に広まったらしいです。

 

しかし、
私のイメージとしては、
長崎県長崎市の平和公園にある、
平和祈念像に鳩がたかっており、
像が糞塗れになっていた事です。

「これが、平和の象徴がする所業か、、、」

幼き頃、これを見た私は、
平和の建前と現実の乖離を感じる事になりました。

 

 

 

それはさておき、
本作『鳩の撃退法』です。

原作の小説があるそうですが、
私は未読なので、
映画鑑賞のみの感想となっております。

 

本作は、
その設定だけ見ると、
中々に複雑な作品です。

一家失踪神隠し事件、
偽札と大金、
郵便局員の失踪、
そして、
津田の描く小説は、真実か、フィクションか?

物語は一本に留まらず、
様々なストーリーラインを
自由自在に、ぴょんぴょんと跳び越えて行きます。

 

 

本来なら、
ここまで複雑なら、観客を煙に巻く事になりますが、

本作が凄いのは、

テンポ良く物語が進みながらも、
観客が混乱しそうになったら、
ちゃんと、解説を入れてくれる点です。

 

 

なので、
複雑な物語のハズが、
観客は、無理無く、無駄無く、
映画を堪能する事が出来ます。

 

まぁ、この辺りは、賛否両論だと思います。

映画として、
気持ち良く謎を堪能出来る反面、

自分で考えて推察する前に答えを教えてくれるので、
ミステリ好きには、ちょっと物足りないというか、
消化不良を覚える部分もあります。

そこは、
映像として楽しむ映画と、
文章として楽しむ小説の違いが出ているのかな?
とも、思います。

 

また、
こういう賞を獲った原作小説の映画化作品という事で、

本作は出演陣が豪華です。

メインの藤原竜也や土屋太鳳は勿論、
風間俊介や西野七瀬、
豊川悦司、

脇役も、
岩松了や浜野謙太、村上淳、
リリー・フランキー、ミッキー・カーチスなど、

画面が「濃く」なるメンバーが揃っています。

 

 

 

個人的には、私が好きな作品で、
土屋太鳳がTVドラマで初のレギュラー出演した『鈴木先生』(2011)の映画版、

『映画 鈴木先生』(2013)にメインキャラとして出演した、
土屋太鳳、風間俊介、浜野謙太が揃っていたのが、
嬉しい所。

 

 

本作は
物語を追う上での解り易さ、テンポの良さ

そして、
映像で観る場合の、キャラクターの魅力を、

ちゃんと考え、
留意された作品なのです。

観客は、
まるで迷路の中を進むジェットコースターのような、
スリリングながらも、安心・安全なエンタメを楽しむ事が出来ます。

 

それはそうと、
個人的に思う事は、

邦画のクライム・サスペンスにありがちな事ですが、
どうしても、硬派に徹底出来ない部分があるのが、残念な所。

本作においては、
出演陣の「陽」のキャラクターが、
映画全体が「重く」なる事を防いだという所もありますし、
そう、ディレクションした部分もあると思います。

しかし、
例えば洋画の、
ザ・アウトロー』(2018)とか、
キャッシュトラック』(2021)みたいな、
ガチンコな作品も、観たい所です。

まぁ、洋画でも、
アメリカン・アニマルズ』(2018)みたいに、
コメディタッチのクライム・サスペンスもありますし、
その辺は、好みの問題でもありますね。

 

 

それでもやはり、
映画として、
「観て楽しむ作品」を目指した本作は完成度が高く、

複雑な物語の錯綜した謎の糸が、
自然に解ける快感を、
座りしままに享受出来るという贅沢さを味わえる、

『鳩の撃退法』とは、
そういう作品と言えるのではないでしょうか。

 

 

  • 『鳩の撃退法』のポイント

縦横無尽に様々なエピソードが絡まる面白さ

考えずとも、謎がスッキリ解ける快感

豪華出演陣のキャラの良さ

 

 

 

コチラは原作小説の上巻

 

 

 

 

 

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