映画『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』感想  観た後、何も残らない!!けれども、瞬間、楽しい映画!!

核戦争によって地球は荒廃、放射能汚染により地表には住めず、僅かに残った人類は、月にある、かつての月面ナチスの基地にて生き長らえていた。ある日、施設、生活環境、食料も限界が近い月面基地に、地球からの亡命者がやって来る、、、

 

 

 

 

監督は、ティモ・ブオレンソラ
クラウドファンディングで制作費を補充した『アイアン・スカイ』(2012)に引き続き、本作を監督する。

 

出演は、
オビ:ララ・ロッシ
サーシャ:ウラジミル・ブラコフ
マルコム:キット・デイル
ドナルド:トム・グリーン
レナーテ・リヒター:ユリア・ディーツェ

ヴォルフガング・コーツフライシュ
&アドルフ・ヒトラー:ウド・キア 他

 

 

月面で生き延びていたナチスが、
地球に攻めて来る!?

このドンデモ設定が、
抜群のインパクトを起こし、

クラウドファンディングで制作費を集め、補充した、
ある意味伝説の映画『アイアン・スカイ』。

 

完全にバカ映画の発想ですが、
さりとて、
バカに振り切れている訳でも無く、
特別面白い訳でも無く、

結局、

観る前の、勝手な期待という妄想以上のものは無かった印象の作品でした。

 

そんな作品だったので、
観たハズなのに、
内容は全く(ほとんど)覚えていないという健忘症ぶり。

 

ああ、それなのに、

人形爬虫類(レプタリアン)のヒトラーが、
ティラノサウルスに乗って、攻めて来る!?

 

月ではアップル至上主義の「ジョブズ教」の信奉者がセレブリティ!?
地球は空洞で!?
宇宙人由来の人形爬虫類が、跋扈している!?

このインパクトだけで、
再び観に行くという行為自体が、
真の健忘症と言えるのかもしれません。

 

そんな本作『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』は、

ギャグを交えつつ、
SFというか、
オカルトというか、
トンデモ設定の連続!?

 

正に、着いてこれる奴だけ、着いてこい、といった感じ。

分かり易く言うと、

映画版、『ムー』

 

と言った所でしょうか。

 

いやぁ、
ぶっちゃけ、
面白いんですよ、設定が。抜群に。

ドキドキとワクワクが詰まってる!
頭カラッポの方が、夢詰め込める!

そんな感じで、

観ている間は、存分に楽しめます。

しかし、

観た後には、全く、何も、残らない。

まるで、
炭酸水の様な感じ。

 

後味、スッキリです。

 

 


 

 

  • 『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』のポイント

SF・オカルト・トンデモ設定アドベンチャー!!

何か、ギャグが大目ですね

観ている間だけでも、存分に楽しめ!

 

 

以下、内容に触れた感想となっております

 


スポンサーリンク

 

  • 何か、ギャグ大目ですね

本作『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』は、
ギャグが多い作品です。

まず、初っ端の冒頭から、
トランプ米国大統領の言葉(と思われる)

「偉大さを、取り戻そう」という台詞から始まります。

 

個人的に、一番好きなのは、

オビが、ジョブズ教のガラスのドアにハンマーを投げ込むシーンですね。

これは、
Apple の、スーパーボウルで初披露された、伝説のCM「1984」のパロディ

かつて、
IBM を打倒しようと躍起になって、
そんな、キレキレのCMを作ってしまったApple。
(監督は、リドリー・スコット)

それが、時が経ち、
自らが、打倒されるべき体制側になっている、
というのが、皮肉であり、笑える点です。

…ですが、
劇場では、誰も笑っていなかったですね。

 

あとは、
オビが聖杯を手にするシーンも好きですね。

このシーンは、
『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)と、
『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989)の複合ネタですね。

聖杯を探求するのは、「最後の聖戦」ですが、

聖杯を取ると、自爆装置が発動するというのは、
冒頭にて、
お宝を取ると、トラップが発動するという描写があった「失われたアーク」のネタです。

「失われたアーク」では、
トラップを騙すため、
お宝と同じ重さのものを、元あった場所に置いていましたが、

何故か、本作でも、その「インディー・ジョーンズ」ネタを披露します。

勿論、それを観た観客は、
「いやいや、自爆装置の発動に、重さ関係ないやん!」
と、ツッコむのです。

 

多分、本作は、
そんな感じで、
誰も解らない笑いを、沢山ちりばめていると思います。

トンデモ設定の世界観を旅しながら、
それを、ギャグで引っ張って行く。

その瞬間だけ面白い、

ほら、駄菓子で、
口の中に入れた一瞬だけ、酸っぱいレモンの味が広がって、
後に残るのは、着色料で舌が黄色くなるという事実のみ、
そんなお菓子
があるじゃないですか、

そんな感じですよ、本作は。

 

舌が黄色くなっているから、
「観た」という事実だけは残っていますが、

満腹感も、栄養にもならない感じです。

 

大体ですよ、
マルコム役を演じたキット・デイルなんて、
もう、見た目からして、ジェイソン・ステイサムですよ。

「え!?出る映画間違えてない?これ、ワイルド・スピードじゃないよ!?」

と、一瞬思いましたが、
よく見ると(よく見なくても)別人。

でも、もう、
ジェイソン・ステイサムの影がちらついて、
マルコム(キット・デイル)が映るだけでも、
個人的には笑えましたね、ええ。

 

つまり、本作、

あそこのシーンが好き、

あれが、面白かった、

そんな感じに、
鑑賞後、友達と言い合う時が、
本作の一番面白い瞬間であるのかもしれませんね。

 

まぁ、問題は、
こんな映画を一緒に観に行ってくれる竹馬の友が居るのかどうか、
という点ですがね。

私なら、
トイ・ストーリー4』を観に行きますよ!!

 

  • 原題「The Coming Race」

本作の原題は、『Iron Sky: The Coming Race』です。

この「The Coming Race」とは、

エドワード=ブルワー・リットンが書いた、
『来たるべき世界』という小説から来ているとの事。

 

この小説は、
ヒトラーも信じた(?)と言われる作品で、
本作の固有名詞や、世界設定などに、
深い関わりがあるのだそうです。

 

 

  • 歴史上の、あの独裁者がヴリルだった!?

本作、兎に角、
設定が盛り込まれており、
それは、面白いのですが、

その設定が、
作品の完成度を上げているのか、
というと、そうでは無いのがもどかしい所。

それでも、
この設定だけでも、面白さがあります。

 

例えば、
地球空洞説なのですが、

本作では、
「空洞」に入ると、
地表側が、地面になっているのですよね。

それは、
方位磁石の方角が、東西、逆になっている、
というサーシャの台詞にて判明します。

 

何故、重力が反転しているのか?

これだけでも、面白い設定なのに、
それを、突き詰めない。

設定を盛り込んでいるのに、
それを、スルーするからこそ、

本作には、後に残る引っ掛かりが、無いのだとも言えます。

 

それでも、
インパクトが大きいのは、
ヴリルだった(という設定の)、独裁者達の、まさかの共演。

 

ヴリルのメンバーは、

アドルフ・ヒトラー(ナチスドイツ)
カリギュラ(ローマ帝国)
ウルバヌス2世(十字軍を派遣したローマ教皇)
チンギス・ハーン(モンゴル)
ヨシフ・スターリン(ソ連)
毛沢東(中国)
ウルホ・ケッコネン(フィンランド)
マーガレット・サッチャー(イギリス)
イディ・アミン(ウガンダ)
ウラジミール・プーチン(ロシア)
ウサーマ・ビン・ラディン(イスラム過激派テロリスト)
マーク・ザッカーバーグ(Facebook 創始者)
金正恩(北朝鮮)

 

もうね、
豪華版『ムダヅモ無き改革』みたいなノリですよ。

それなのに、
このキャラクター性を活かしたストーリーじゃないのが、
また、笑えます。
いや、勿体なくて、笑えないけれども。

ただ、顔出ししただけというね。

 

それでも、
「最後の晩餐」のシーンには、
プーチンは居ないんですよね。

つまり、
ラストシーンで示唆された、
火星の裏側のロシア帝国(?)の方に居るのだと推測されます。

どうやら、続篇の構想もあるとかで、
その辺り、今後の展開が見られるかもしれません。

 

しかし、

このメンバーに、
トランプが居ないのは、
日和っているとしか言えないですよね。

(その分、「トランプ」版の特別CMには笑いましたが)

 

 

 

スティーブ・ジョブズも出演するのに、
ただ、
「シャーッ」としか言わないし。

 

 

兎に角、本作、
面白い所も多数あるのに、
それを活かしきれていない。

あくまでも、
真面目に、ふざけているんですよね。

しかし、
吹っ切れたお馬鹿なポテンシャルは、あると思いますので、

これが、
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)
位はっちゃけたら、
傑作になるのに、

そう、思わずにはいられない、
惜しい作品、

それが『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』です。

 

 

現在公開中の新作映画作品をコチラのページで紹介しています。
クリックでページに飛びます

 

本作の元ネタとなる設定がてんこ盛り(らしい)エドワード=ブルワー・リットンの『来たるべき種族』です

コチラは前作。


スポンサーリンク