映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』感想  いつもの、トム・クルーズ。それが良い、それで良い!!

最強の軍事AIを搭載したロシアの原子力潜水艦。しかしそれは、そのAI「エンティティ」の叛乱により撃沈された…
IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)に所属するイーサン・ハントに指令が届いた。昔馴染みの元MI6のエージェント、イルサが所持する「鍵」を確保しろとの事。「鍵」と、その背後に潜む力を求めて、世界中の思惑が交錯する、、、

 

 

 

 

 

 

監督はクリストファー・マッカリー
前前作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)
前作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)から引き続いて監督となる。
多くのトム・クルーズ作品にて、監督のみならず、
製作や脚本を手掛ける。
他の監督作に、
『誘拐犯』(2000)
『アウトロー』(2012)がある。

 

出演は、
イーサン・ハント:トム・クルーズ
グレース:ヘイリー・アトウェル
ルーサー:ヴィング・レイムス
ベンジー:サイモン・ペッグ
イルサ:レベッカ・ファーガソン

キトリッジ:ヘンリー・ツェニー
ブリッグス:シェー・ウィガム
ドガ:グレッグ・ターザン・デイヴィス

アラナ/ホワイト・ウィドウ:ヴァネッサ・カービー

ガブリエル:イーサイ・モラレス
パリス:ポム・クレメンティエフ 他

 

 

いつの間にか、27年に及ぶ長寿となっている、
トム・クルーズ主演の映画「ミッション:インポッシブル」シリーズ。

TVシリーズの『スパイ大作戦』を元ネタとしながら、
トム・クルーズの「俺様」映画として発展していった本シリーズは、

一作目の『ミッション:インポッシブル』が、
トム・クルーズの映画初プロデュース作品であり、

このシリーズ自体が、トム・クルーズの「肝いり」である事は
間違い無いでしょう。

 

 

一作目『ミッション:インポッシブル』(1996)の監督は、ブライアン・デ・パルマ。
二作目『M:I-2』(2000)の監督がジョン・ウー。
三作目『M:I:Ⅲ』(2006)の監督が、J・J・エイブラムス。

錚々たる顔触れであり、
それぞれの作品も、それなりに評価が高いです。

私個人は、
一作目は面白く、
二作目は印象が薄く、
三作目はスルーして観ていないです。

 

しかし、「ミッション:インポッシブル」シリーズが化けたのは
四作目の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)からだと、
私は思います。

 

 

監督の力量というより、
トム・クルーズが魅せたい「画」を重視した方向性に舵を切ったシリーズは、
以降、興行収入の面で、前3作をいずれも上回る大ヒット。

最早、シリーズ恒例となってしまった、
トム・クルーズ自身が挑む、
「命懸けのスタント」も「ゴースト・プロトコル」から始まりました。

「ゴースト・プロトコル」では、
ドバイの高層ビルに貼り付き

第五作目の『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)では空を飛ぶ飛行機の外側に貼り付き!!?

第六作目の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)では
ビルからビルへと飛び移るシーンで骨折したが、
そのまま、その場面を採用したり、
飛行機から飛び降りて、
地上からの距離が短い間隔でパラシュートを展開したり(高高度降下低高度開傘:HALO)。

 

 

そして、
遂に公開されたシリーズ最新作、
本作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング RART ONE』(2013)では
崖からバイクごとダイブするという離れ業を魅せてくれました。

予告篇でも使われたそのシーン。

何と、

見映えの良い「画」を作る為に、
7回も繰り返したとか。

 

 

いや、
命懸け過ぎダロ!!

しかし、
マジで映画に命を懸けて、
面白いモノを作っているという情熱が解るからこそ、

「ミッション:インポッシブル」シリーズは面白いンですよね。

 

 

さて、もう言ってしまっていますが、

本作は、面白いです。

いつも(四作目以降)の「ミッション:インポッシブル」シリーズで、

トム・クルーズの命懸けのスタント、
トム・クルーズのバイクアクション、
トム・クルーズの全力疾走などの、シリーズ恒例の要素、

そして、

ルーサーやベンジー、イルサなどの「イツメン」が揃う安心感と、

スパイギミックと知略、作戦を駆使しながら、
結局はゴリ押しアクションで事件に臨むという
いつもの流れ。

 

 

コレで良い、
コレが良い。

 

これ以上観せたら「ダレるな」という線の、
ギリギリを攻めてくる、

丁度良い塩梅なので、
アクションのキレとテンポが良い

それが本シリーズの特徴であり、
本作でも、それが踏襲されています。

 

 

とは言え、

ストーリー的には、未完で、
よくよく考えると、もの足りない部分もあります。

 

 

しかし、
ちゃんとタイトルに「PART ONE」と題しており、

「PART TWO」に続きますと知らせており、
ストーリーは未完であると
予め観客に予告しています。

更には、場合によっては「THREE」もありかも?
的な事を匂わせているのは、良心的です。

 

 

明らかに未完なのに、続篇に続くと示さなかった
DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)とか、

始めは二部作の予定だったが、
実は、三部作でしたとか言い出した
「ホビット」シリーズ(2012~2013)とか、

前後編で完結!!と謳っておきながら、
興行収入目当てで、
実は、三部作にするかもね、とか言い出した
『ワイルドスピード/ファイヤーブースト』(2013)とか、

色々と、
物議を醸しますからね。

ちゃんと題名で
「続きます」と知らせて欲しいですよね。

 

確かに、本作は、
シリーズを観ていた方が、
キャラクターが理解出来るという点でも、
面白いです。

しかし、
アクション自体が凄いので、

まぁ、
シリーズ未見でも、
何とかなるっちゃ、なります。

アクションの凄さで、ストーリーは気にならない!?

今回もアタリ映画
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング RART ONE』です。

 

 

  • 『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング RART ONE』のポイント

テンポ良い、超絶アクションのつるべ打ち!!

口を開けて観ても理解出来る爽快感!!

やっぱりAIは敵なのか!?

 

以下、内容に触れた感想となっております

 

 

スポンサーリンク

 

  • デッドレコニング

トム・クルーズの人気シリーズ最新作
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング RART ONE』。

副題の「デッドレコニング(dead reckoning)」は、
字幕では「推測航法」と訳されていました。

ザックリと説明すると、

元は、航海用語で、
コンパスや電子機器、天体観測を使わずに、
自分が、今まで辿って来た移動方向、距離により、
現在地を推測し、進む事です。

 

そんな副題が付いた本作。

圧倒的なアクションの連続で、
観る者を圧倒します。

まぁ、しかし、
ストーリーはぶっちゃけ、微妙というか、
何が起きているのか解りません

 

そもそも、
黒幕である、発展型の軍事AI「エンティティ(entitiy:実在物)」の目的が何なのか、
判然としない所があります。

で、
その「エンティティ」が、
現実世界において、自分の代弁者兼、執行官として選んだのが、
ガブリエルですが、

そのガブリエルとイーサンの過去の因縁とか、
何故ガブリエルが選ばれたのか?など、

説明していない部分、設定が
多数、本作には存在します。

 

ストーリー展開も、
イーサンは、鍵を取引する存在の目的が判然としない為、
ある程度、泳がせるしかない、
という、後手の対処を迫られます。

 

そして、実はこれは意図的な演出であり、

イーサンも、観客も、
どう対処すればいいのか、手探りの状態、
何が起きるのか解らない状態、
おぼろげな目的地を推測するしか無い状態に、
必然的に置かれます。

つまり、
副題で示された「デッドレコニング」をせざるを得ないのです。

 

普通、
こんな投げっぱなしのストーリーでは、
微妙だな、
という感想になってしまいますが、
本作では、
圧倒的なアクションの連続で、
そこの部分の満足度が高く

トータルで観ると、
「面白かったな」と思えてしまう
力業の凄さを披露してくれます。

 

「デッドレコニング」するのは、
ストーリーのみならず、

本作でのヒロイン役
ヘイリー・アトウェル演じるグレースもそうです。

グレースは、
組織のメンバーではありませんが、
スリや詐欺などの、裏稼業のプロです。

奇縁にて、
イーサンのチームの手伝いをする事になりますが、

今後の人生の事を考え、
「IMF」の一員にならないかと、
イーサンにリクルートされます。

 

訳の分からない組織、
命懸けのミッション、

この選択で、
今後、自分の人生がどう転がるのか推測が出来ずとも、
自分のこれまでの人生を懸けて、
臨むしかない

本作はつまり、
そういう事をテーマに描いた作品なのかもしれませんね。

 

  • AIの恐怖

本作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング RART ONE』は、
2023年の7月17日に、
ジャパンプレミアのイベントがあり、

トム・クルーズや共演者、
監督などが登壇し、挨拶、
先行上映が行われる予定でした。

しかし、
先んじてストライキしていた脚本家協会に合流する形で、

全米俳優組合もストライキを決行する事になり、
これに伴い、
スタッフ、キャストの来日が中止になってしまいました。

それでも、
上映直前に
「この事を想定して、予め撮影していた日本向けメッセージ」を
用意、放映した点、
流石、トム・クルーズだな、と思わせるファンサービスでした。

 

さて、ストライキの内容ですが、
主に、過去作が配信サービスになった場合の利益配分や、
AI活用時のルール作り、などが挙げらていました。

「ChatGPT」などが、
脚本家の仕事を奪うのではないか、

また、
未知のAIソフトが、
役者の肖像権だけ利用し、
役そのものを奪うのではないか、

そういう懸念が存在します。

 

日本で作られるフィクションでは、
割と、AIやロボットは肯定的に描かれますが、

ハリウッド映画では、
AIやロボットは、
地球上で、人類に取って替わる存在だとして、
驚異、排除の対象であると描かれる事が大半です。

『ウォー・ゲーム』(1983)
『ターミネーター』(1984)
『マトリックス』(1999)
『エクス・マキナ』(2014)などのSF映画や、
最近でも、ホラー映画の
M3GAN/ミーガン』(2023)で、
その様子が描かれていました。

 

本作は、
「エンティティ」が、
究極的には、何が目的なのか、
それは未だに解りません。

AIのくせに「実在」と名乗っているのも、
何故でしょうか?

ただ、現在は、
その支配権を巡って、
各国のスパイが右往左往している
というのが今の状況。

しかし、実際のストーリーラインでは、
イーサンと、「エンティティ」の代理人であるガブリエルの対決に終始していますが…

まぁ、
それは置いておいて、
近日公開予定の「PART TWO」にて、
その辺りのストーリーを描いてくれることに、
期待して待ちましょう。

果たして、
従来通りの「人類の驚異」パターンなのか、
それとも、他の着地点があるのか…?

 

 

 

ストーリー的には未完ですが、
アクションの凄さで黙らせて、
結局、面白い、

トム・クルーズの最新作
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング RART ONE』は、

いつものトム・クルーズ映画で、
ちゃんと面白い作品です。

 

 

 

 

 

 

スポンサーリンク