映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』感想  これぞ王道!!故に面白い冒険ファンタジー!!

元は、世の為人の為に尽力する「ハーパーズ」の一員でありながら、身を持ち崩して盗賊となり、現在、収監されて2年が経過しているエドガン。
釈放の機会とあって、聴聞会にて身の上話を披露する、、、

 

 

 

 

 

 

監督は、
ジョナサン・ゴールドスタイン & ジョン・フランシス・デイリー
共同監督として、
『お!バカんす家族』(2015)
『ゲーム・ナイト』(2018)がある。

 

出演は、
エドガン:クリス・パイン
ホルガ:ミシェル・ロドリゲス
サイモン:ジャスティス・スミス
ドリック:ソフィア・リリス
ゼンク:レゲ=ジャン・ペイジ
キーラ:クロエ・コールマン
フォージ:ヒュー・グラント
ソフィーナ:デイジー・ヘッド 他

 

 

 

本作『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』、

その原作は、
TRPG(テーブルトークRPG)の「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(1974~)シリーズであり、

現在の、
コンピューターゲームの「剣と魔法のRPG」の元祖となった作品と言われています。

 

 

「TRPG」とは、
トーク型のボードゲームの一種で、
ゲームマスター(司会:ダンジョンズ&ドラゴンズにおいてはダンジョンマスターと言われる)の進行の元、

自分のクラス(職業)、種族(人種)を決め、
ルールブックに基づいてサイコロを振って、
マップを進んだり、モンスターと戦ったりするゲームです。

 

「剣と魔法のファンタジー」の王道がトールキンの小説『指輪物語』であるならば、

「剣と魔法のファンタジー」を、
ゲームに落とし込んだ元祖が「ダンジョンズ&ドラゴンズ」なんですよね。

 

 

私にとっての「D&D」(ダンジョンズ&ドラゴンズ)は、
カプコンのアーケードゲーム、
『ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ』(1996)であり、

これは、
ベルトスクロールアクションの最高傑作と言われる作品で、
ゲーセンとかで遊んだ事が、思い出深いです。

 

 

で、

「ダンジョンズ&ドラゴンズ」ですが、

実は、実写映像化されるのは、
今回で3度目。

3部作構想の第一作目として、
『ダンジョン&ドラゴン』(2000)が公開されましたが、
評価がイマイチ。

私も、劇場で観た事は覚えてますが、
内容は、覚えてません!!

なんか、
盗賊?の青年が、
姫?を助けて、
ジェレミー・アイアンズ扮する悪の宰相を倒す?みたいな内容だったような?

どうやら続篇もあるようですが、
特に、話題にもならず。

 

しかし、というか、故に、
設定、世界観を刷新し、
本作『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』は、
過去の2作品とは、何にも関係の無いリブート作品としてリリースされました。

 

まぁ、ぶっちゃけ、ね。

ファンタジー映画は、
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001~3)がマスターピースであり、
その他の作品は、
どうしても、見劣りしてしまうというのが、
現状ではないでしょうか。

 

で、あまり期待しないで観に行った本作ですが、

これが、どうして、

面白かった!
そうだよ、こういうのが観たかったンだよ!

 

正に、
鑑賞前の期待に応えて、
期待以上の満足感を得られる作品だったのです。

 

実は、
「剣と魔法のファンタジー」って、
映画100余年の歴史の中で、そんなに、多くないです。

それでも、
「こんなだったら、面白いだろうなぁ」みたいな、
淡い期待というか、妄想というか、
ファンタジー映画に対する無意識下の要望みないなもの、
それを汲み上げて、具現化したのが本作。

これぞ、
剣と魔法の、王道ファンタジー冒険譚

 

と言える仕上がりなのではないでしょうか。

 

また、
どこか、イメージ的に、
「ファンタジー」というジャンルが、
ゲームチックというか、
オタクっぽいというか、
B級映画感が漂っているというか、

なんか、
そういう偏見を持つ方の居ると思われます。

しかして本作、

お金を掛けて、
真面目にちゃんと、
エンタメとして作ってあります。

故に、

老若男女、誰が観ても、
「映画」として面白い、楽しめる作品に仕上がっているのです。

 

 

私について言いますと、ファンタジー映画に対するハードルは割と低くて、
最近でも、
巷では評価が芳しくなかった

移動都市/モータル・エンジン』(2018)とか
モンスターハンター』(2020)なんかも、

実は、
それなりに楽しめました。

そんなガバガバ感性の私でも、
「あ、コレは凄い、良い!!」と、

他人に、胸を張って勧める事が出来ます。

 

また、
「原作在りき」の作品って、

妙に、「原作ファンの目」を意識しちゃって、
変に小ネタばっかり入れ込んで、
マニアしか悦べない様な作品になってしまうものもありますよね。

 

いや、別に、
シン・仮面ライダー』(2023)の話ではないですよ?

 

しかし本作は、
原作の事を1ミリも知らなくとも、

「剣と魔法のファンタジー」が好きな人は勿論、
別に、何の興味も無い人でさえも、

ハラハラドキドキワクワクで、ユーモアもある冒険を、
十二分に楽しむ事が出来ます

 

更に本作、
映画単体としての構成、ストーリーがしっかりしています

変に続篇を意識して引っ張る要素を無理矢理入れ込んだ挙句、
作品そのものの出来が破綻する様な作品が多い昨今、

普通に王道の冒険譚を作ってくれた事が、
何とも嬉しいですね。

(とは言え本作も、続篇を作ろうと思ったら作れる伏線は張ってありますが)

 

また、
何故か本作、けっこうプロモーションに力を入れており、
日本語吹替え版のキャストに、
ちゃんとした声優を起用し、
YouTubeの特番なんかも放送していました。

私は劇場公開作品は、
役者本人の声が聞きたいので、
基本的には字幕版を鑑賞しますが、

本作は、そんなに力を入れているならばと、
吹替え版を鑑賞したしました。

 

そしたらね。
懐かしい気持ちになりましたよ。

そうだよな。
私が映画好きになったのは、
かつて、
TVで放映された吹替え外国語作品に夢中になった事が切っ掛けだったよな。

アイドルとかをゴリ押しして主要キャラに起用して、
世界観ぶち壊しみたいにならないだけで、

吹替え版の映画鑑賞って、
こんなに面白いものなんですね!!

それを再確認させてくれた事も、
本作の功績と言えるのではないでしょうか。

 

「剣と魔法のファンタジー」が好きな人、
日常に疲れて異世界を夢見る人、
少年漫画的なノリが好きな人、
まともな構成のちゃんとした映画が好きな人、

そんな人が観れば、
間違い無く楽しめる、

上映時間は134分と結構長目ですが、
それがあっと言う間に感じられる、

『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』は、
中々、良く出来た、
オススメの作品と言えます。

 

 

  • 『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』のポイント

剣と魔法の王道ファンタジー冒険譚

一本の映画として、しっかりとした構成とストーリー展開

様々な映像表現の面白さ、楽しさ

 

 

以下、内容に触れた感想となってなっております

 

 

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  • ダンジョンズ&ドラゴンズと、その周辺

本作『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』の原作は、
TRPGの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」。

TRPGとは、
「テーブルトークRPG」の略。

いわゆるボードゲームの一種で、
ゲームの司会(ゲームマスター:D&Dにおいてはダンジョンマスター)の進行で、

サイコロを振り、
マップ(ダンジョン)を進んで、
お宝を発見したり、
モンスターと戦ったりするゲームです。

「ダンジョンズ&ドラゴンズ」は、
世界で初めて作られた「ロールプレイングゲーム」と言われており、
その後のゲームに多大な影響を与えた原点とも言える作品なのです。

 

プレイヤーの種族(人間、エルフ、ドワーフなどの人種)
クラス(戦士、魔法使い、盗賊などの職業)を選び、

力や敏捷、知力などのパラメーターにポイントを割り振る。

この形式は、
コンピューターRPGの
「ウィザードリィ」や「ウルティマ」などに引き継がれ、
それが、
日本を代表するRPG「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」「真・女神転生」などのシリーズの元になりました。

現在でも
「ポケットモンスター」などのゲームにて、
パラメーターを数値化し、
個性、特徴、特技の「見える化」がなされている事を考えると、
RPGというジャンルの根本的な基礎を確立したと言えるのではないでしょうか。

 

本邦においては、
TRPGの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の影響を受けた「ロードス島戦記」があり、
このプレイの様子を文字起こしした「紙上リプレイ」が好評で、
これを基に小説化された「ロードス島戦記」シリーズは、
日本のファンタジー小説にて最も成功した作品と言えるのではないでしょうか。

 

そんなこんなで、
後のRPGやファンタジー小説などに多大な影響を与えた「ダンジョンズ&ドラゴンズ」ですが、

個人的に、最も印象に残っているのは、
カプコンがアーケードゲームとしてリリースした、
『ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ』(1996)です。

「~シャドーオーバーミスタラ」は、
1994年にリリースされた『ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム』の続篇。

キャラクターの追加やバランス調整が成されており、

「天地を喰らう」
「ファイナルファイト」
「エイリアンVSプレデター」
「キャプテンコマンドー」など、

多くのシリーズを出してきたカプコンにおいても、
ベルトスクロールアクションゲームの最高傑作」を称される作品です。

 

ファイター、エルフ、クレリック、ドワーフ、
そして追加された
マジックユーザー、シーフの6タイプから自分が使うキャラクターを選び、

画面を(主に)左から右へと向かって、敵をボンボコ倒しながら進んで行く、
今で言うところの、「無双」ゲー的なノリのアクションゲームです。

 

有名なモンスターの「ビホルダー」が出て来たり、
「ディスプレッサービースト」を倒したら「ディスプレッサークローク」を作れたり。

私が使っていたのはマジックユーザーでしたが、

一番印象に残っているのは、
クレリックの作中のボイスである
「ワレニカゴー」(我に加護を)
「キュアクリティカルワンズ」などを、
有り得ないくらいの早口で繰り出す様子だったり。

色々、思い出がある作品です。

 

  • 多彩な映像表現の妙

しかし、
本作『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』は、

そんな「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の思い出や知識など、
1ミリも知らなくとも、
老若男女、誰が観ても楽しめる作品となっています。

このマニアックさを排除した、
汎用性の高い作りが、素晴らしいです。

 

先ず、目を惹くのが、映像表現です。

これは、CGが良く出来ている、
というのは、そうなのですが、

動きとしてのアイディア、表現方法が色々あって、
本作は楽しめました。

例を言うと、

ソフィーナの「タイムストップ」の魔法の範囲が「透明のバブル」として視覚化されている点、
潜入をソフィーナに見破られたドリックが、変身を駆使して逃げ回るシーン、
墓を掘るとき、テンポを良くする為に、シャベルだけを接写するという表現、
「魔法破りの兜」を被った時、現実世界が水中のように揺らめく様子、
予告篇でも使われていた、
「ここそこの杖」を使って、お宝を載せた馬車にドリックが乗り込むシーン、
城に忍び込む為に、エドガンの幻を作り出すが、下手打ってバグってしまうシーン etc…

どのシーンも、
CGの凄さもさることながら、視覚的な面白さに重点を置いていると言えます。

 

タイムストップのシーンでは、
魔法の効果範囲を「バブル」で視覚化する事で、
強力な魔法だが、即効性の無さと、効果範囲という弱点があると感覚的に理解出来ます。

 

ドリックが変身を駆使して逃走するシーンは、
地獄の鬼ごっこをスピーディーに描いた素晴らしい場面です。

 

「五つの質問」でゾンビが二度寝するシーンでは、
ギャグの基本である「繰り返し」を行っていますが、
シャベルの接写で「墓を掘っている」という行為を簡略化し、テンポの良い演出しています。

 

「魔法破りの兜」を被った時、
自分以外の時が止まっているイマジナリー空間が展開されますが、
その時、
周りが止まっている、という事を視覚化する為に、
まるで、水中を裸眼で眺めたような映像にしたのは面白いです。

 

ドリックがお宝を積んだ馬車に、
「ここそこの杖」で開けた穴(ポータル)を通って忍び込むシーン。

これは、予告篇でも使われた、印象的な場面で、
下に落ちたのに、床に着地するという面白演出が成されています。

この、ドリックの180度回転する様子に、
視覚が一瞬バグってしまう感覚が、癖になりそうですね。

 

ネバー・ウィンター城に忍び込む時、
エドガンの幻が歌を歌い、衛兵の注意を惹きつけますが、
途中で魔法の効果がバグって、
壊れたレコードの様に同じ事を繰り返した挙句、
顔が不気味に歪む、
ホラーとギャグの紙一重のシーン。

これは、絶対、
『トータル・リコール』(1990)のオマージュシーンでしょう。

『トータル・リコール』は、
原作フィリップ・K・ディック、
監督ポール・バーホーベン
主演アーノルド・シュワルツェネッガーという最強布陣。

劇中、
シュワちゃん演じるハワードは、
火星への入国審査の時、
巨大な女性に変装していました。

しかし、変装の覆面がバグって、
「2週間よ」という言葉しか言わなくなり、
挙句、
覆面が二つに割れてシュワちゃんが中から出て来るという、
シュールでホラーで笑えるシーンがありました。

ファンタジーでSFをオマージュする、
この越境ぶりが、嬉しいですね。

 

この様に、
本作は、
「映像在りき」では無く、

この場面を活かすには、
どんな映像表現をすれば楽しいか、面白いのか

それに重点が置かれているのが、
素晴らしいのです。

 

  • しっかりとした作品

この、
視覚、映像にたいする真摯な姿勢は、
作品のストーリーやテーマ、構成、
そして、世界観の再現などに、徹底されています。

 

ファンタジー小説、と言えば、
トールキンの『指輪物語』。

有名な所では、
J・K・ローリングの「ハリー・ポッター」シリーズがありますが、

他にも、
パトリシア・A・マキリップ
アン・マキャフリー
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
アーシュラ・K・ル・グウィン
ジーン・ウルフ
デイヴィッド&リー・エディングス などの作家の諸作品、

ロバート・E・ハワードの「コナン」シリーズ
マーヴィン・ピークの「ゴーメンガースト」シリーズ
マイケル・ムアコックの「エターナルチャンピオン」シリーズ
ジョージ・R・R・マーティンの「炎と氷の歌」シリーズ etc…

結構、錚々たる作品があります。

 

日本でも
ライトノベルのジャンルの一つに、
「異世界転生モノ」が定着した感があり、

それも、一種のファンタジー作品です。

例えば、
建築業界のブラックぶりを表した作品とか、
銀行の融資と、企業の癒着を描いた作品とかは、

実際に就業経験がなければ書くのが難しい作品ですが、

「異世界転生モノ」なら、
現実と物理法則が同じだが、
社会構造を好きに描ける別の世界という、
ある種、無責任に、
社会経験も無く描写出来る世界観が、

書き手にとっても魅力的なのだろうと思われます。

 

しかし、
映画100年超の歴史において、
実は、
ハイ・ファンタジー映画って、それほど多くないです。

 

例えば、
『パンズ・ラビリンス』(2006)
『テラビシアに掛ける橋』(2007)
怪物はささやく』(2016)
バーバラと心の巨人』(2017)など

現実的、現代的な舞台で、
ファンタジー要素のある作品は結構あります。

一方、所謂「ハイ・ファンタジー」を作品を映像化する為には、

世界観、設定、舞台、
これを、想像上では無く、
現実に作らなくてはならない為、

現代劇とは違って、
時代劇と同等か、それ以上に手間暇資金がかかり、
敷居が高いです。

 

個人的に印象に残っているハイ・ファンタジーの映画は、
『シンバッド七回目の航海』(1958)
『アルゴ探検隊の冒険』(1963)
『タイタンの戦い』(1981)
『コナン・ザ・グレート』(1982)
『ネバーエンディング・ストーリー』(1984)
『レジェンド/光と闇の伝説』(1985)
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001~)

などです。

 

さて、本作はどうかと言いますと、
その舞台、背景、建物
衣装や武器、食器、チラシなどの小道具に至るまで、
ファンタジー的な世界観の構築に成功しているのです。

ファンタジー映画と言われると、
どこか、B級な雰囲気が漂うのは、

世界観の構築、
つまり、
衣装や小道具に「作り物」「安物」感が浮き出てしまうことが、
原因の一つと思われます。

本作には、
ソレが無い。

着古した皮の上着、
エロそうでエロくならないホルガの鎧、
要所で披露するドリックのパチンコ、

ちゃんと、手間暇かけて作ってある衣装、小道具だからこそ、
世界観の構築を保証しているのではないでしょうか。

 

また、本作はテーマや、
ストーリー展開、
伏線の張り方とその回収の気持ち良さも素晴らしいです。

 

テンポの良い展開、
随所に仕込まれた伏線を、後に回収して行くという気持ち良さ。

思わせぶりに登場するシオカラトンボっぽい、青色のトンボとか、
フォージの気球の口から金銀財宝を落として、それで市民を誘導したりとか、

ああ、
これが、ここに結実するのか、
というシーンが多かったですね。

 

中でも、
テーマ性と絡んだ、
エドガンが、娘のキーラの信頼を取り戻す展開。

エドガンは、
「自分が、キーラとその母を愛している」事を、分かって欲しいと、
娘に伝えます

しかし、
それはキーラ自身の気持ちとは無関係な、独りよがりの感情、
押し付けです。

分かって欲しい、
では無くて、
相手が欲している事を受け入れる
そういう親子の関係性に気付きます。

 

聖騎士ゼンクはエドガンに言います。
「君は自分自身で、ハーパーズの誇りを取り戻す」と。

それはつまり、
他者への献身であり、
己の為では無く、他者の幸せの為に行動するという、
ヒーローの誇りを取り戻す、

それは、
愛する娘の信頼を取り戻す事が切っ掛けであり、

この親子の絆というものが、
そのまま、
世界を救うヒーロー性と直結しているのが、
本作のテーマとなっております。

 

物語終盤、
エドガン一行は、まんまとフォージを出し抜いて、
娘を奪還、ついでにお宝もガッポリゲットします。

その逃亡の船上、
ネバー・ウィンター城でレッドウィザードの儀式が行われている事を察します。

ここでちょっと間があり、
観客は、皆思います、
「戻れ、戻って皆を助けて、エドガン!!」と、

果たして、エドガンは船を旋回し、
市民を助ける為に戻るのです。

 

これこそがヒーローの決断であり、
ある意味、
このシーンこそが、
本作の最大のクライマックスと言えるのではないでしょうか。

 

また、本作はアクションシーンも映えますね。

ミシェル・ロドリゲスの肉弾アクションも素晴らしいし、
聖騎士ゼンクの剣戟、
ラストバトルの流れる様なバトルなど、

趣向の違うバトル描写があるのが興味深いです。

 

また、
目玉の一つである、
モンスターも奇妙奇天烈、インパクトのデカいヤツらがばかりです。

「五つの質問」を要求するゾンビ、
知能が高い人間の脳みそを襲う(でもスルーされた)怪物、
食べ過ぎで太った(?)レッドドラゴン、
宝箱に化ける、ご存知ミミック、
必殺のトラップ、ゼラチナス・キューブ 
石像から生み出されたストーンドラゴン etc…

中でも私が一番好きなのは、
やっぱりディスプレッサービースト(ディスプレイサービースト)ですね。

 

狡猾で強敵の猫型モンスターとしては、
A・E・ヴァンヴォークトの『宇宙船ビーグル号の冒険』に出て来る
「ケアル」と双璧を成す、そう個人的には思っている、
お気に入りモンスターです。

 

後、
本作、その「ダンジョン&ドラゴン」という複数形の題名を気にしたのか、
ちゃんと、
ドラゴンを数体、
ダンジョンも、ちゃんと二つ用意している点も、
好感度が高いです。

細かいけれど、
題名詐欺を回避しているのが、
面白いですよね。

 

 

 

ぶっちゃけ、『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』は、
それほど、期待しないで観に行きました。

しかし、
本作は、本当に面白かった!!

こうしたら面白くなるハズ、という、
エンタメとしての映画を追求し、

様々な映像表現を駆使し、
張りまくった伏線を綺麗に回収するストーリー展開、
納得の行くテーマ性、
アクションも、
モンスターも素晴らしい。

ハイ・ファンタジー映画作品に期待する事を忠実に再現し、
期待に応える事で、
期待以上の満足感を提供するという、

正に、職人芸の作品。

ファンタジーというジャンルに留まらず、
映画作品として、
全うに面白い、
中々の傑作なのではないでしょうか。

 

 

 

 

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