破産し、貯金も無く、家を追い出されてしまったシングルマザーのキャリー。二人の子供を連れて向かうは、亡くなった父の家だった。
そこはオクラホマ州のド田舎。近所の人達からは、お化け屋敷に住む変人という認識を持たれていた。
結局、キャリーが期待していた様な遺産は全く無く、ボロ屋敷が残るのみだったが、そこで娘のフィービーは、奇妙な機械「PKEメーター」を発見する、、、
監督は、ジェイソン・ライトマン。
『ゴーストバスターズ』(1984)
『ゴーストバスターズ2』(1989)を監督した、
アイヴァン・ライトマンの実の息子。
映画監督作に
『サンキュー・スモーキング』(2005)
『JUNO/ジュノ』(2007)
『マイレージ、マイライフ』(2009)
『ヤング≒アダルト』(2011)
『とらわれて夏』(2013)
『タリーと私の秘密の時間』(2018)
『フロントランナー』(2018)等がある。
出演は、
フィービー:マッケナ・グレイス
トレヴァー:フィン・ウルフハード
キャリー:キャリー・クーン
グルーバーソン先生:ポール・ラッド
ポッドキャスト:ローガン・キム
ラッキー:セレステ・オコナー 他
私も長く映画を観ていますが、
その質は日々、進化しており、
現代の映画作品は、
過去のモノと比べると、
そのテーマ性、アクション、ドラマ、派手さ、
どれを取っても、飛躍的に面白いモノが作られています。
それでも、個人的には、
映画が単純に、
「物語」として「誰が観ても楽しかった」のは、
1980年代のハリウッド映画なんじゃないかな、と思っています。
『グレムリン』(1984)
『グーニーズ』(1985)
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)
『スタンド・バイ・ミー』(1986)etc…
そして、
『ゴーストバスターズ』(1984)です。
『ゴーストバスターズ』は、
お化け退治でお金稼ぎというアイディアの面白さ、
怖いのに、何処かコミカルなお化けのキャラクター性、
それに劣らぬ、出演キャラクターの個性、
お化け退治のアイテム、装備の数々、
英語が分からない5歳児でも、ノリノリでサビの所だけ合いの手を入れられる主題歌、
レイ・パーカー・ジュニアが歌う「ゴーストバスターズ」 等、
今観ても、
恐ろしい程に完成度の高いエンタメ映画の最高峰と言えます。
当然、
子供の頃『ゴーストバスターズ』を観た私も夢中になり、
映画のロゴを自分で書いてみて、上手く描けなくて自分の絵心の無さに悶々したり、
「鍵の神」と「門の神」の関係性を知らなくとも、雰囲気で「エロい事」と察したり、
子供心に、見た目がイケメンじゃないのに、二枚目的な雰囲気のビル・マーレイに疑問を呈したり、
それでも、人間、イケメンかどうかは見た目じゃないんだな、と本作で学んだり、
また、ビル・マーレイは未だに、クールな二枚目的な役をやっている事が何処か嬉しかったり、
やっぱり、一番のお気に入りのシーンは、
緑のお化けが、ホテルのルームサービスを勝手にムシャムシャ食べて、
でも、お化けだから、
食べているものがボタボタと床に落ちているという場面。
映画の内容が、
思い出そのものになっていますねぇ。
因みに、
ゲームの『ルイージマンション』は『ゴーストバスターズ』的な作品で、
また、
『ゴーストハンターズ』(1986)という映画もありますが、
本作とは全く関係ありません。
そんな傑作『ゴーストバスターズ』を、
当時の監督、アイヴァン・ライトマンの息子、
ジェイソン・ライトマンが、続篇として現代に蘇らせる。
もう、この設定だけで、
エモいねぇ。
そんな本作、一体どんな作品に仕上がっているんでしょうか?
本作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、
本家の第一作、
『ゴーストバスターズ』を観ている事が推奨されます。
その上で、
第一作目『ゴーストバスターズ』と比べると、
アクション、コメディ、ホラー映画の融合としての、
エンタメ傑作としては、
及ばないな、というのが正直な感想です。
では、本作はつまらないのか?
と言うと、そうではありません。
老若男女、
誰が観ても楽しめるのが『ゴーストバスターズ』なら、
本作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、
『ゴーストバスターズ』を観て夢中になった当時の子供が、
成長して本作を観た時に、感じ入るモノがあります。
子供が観て夢中になった『ゴーストバスターズ』。
老若男女楽しめる作品でしたが、
本作は寧ろ、
そんなかつての子供にターゲットを絞っていると言えるのです。
つまりは、
オリジナル版の『ゴーストバスターズ』を監督したアイヴァン・ライトマン。
本作監督のジェイソン・ライトマンが、
子供から親へ発する、
感謝の「贈る言葉」なのです。
つまりは本作、
家族の物語であり、
キャッチーさでは、オリジナル版に劣りますが、
代わりに、ドラマ的な要素が強調されているんです。
そんな、
オリジナル版が好きだった「大人向け」の作品なのですが、
しかし、
本作を子供が単品で観ても、
面白いと感じる部分もあります。
何しろ、
本作での「ゴーストバスターズ」は、
まだティーンエイジャーなのですから。
中でも、
主役を演じたマッケナ・グレイスの美少女ぶり
が際立っています。
色々と懐かしさが込み上げて来る作品、
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』。
過去に、オリジナル版が好きだった大人が、
子供と一緒に観に行く事で、
お互い、
違う視点で面白さを感じる、
そんな作品と言えるのではないでしょうか。
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『ゴーストバスターズ/アフターライフ』のポイント
子供から親へ贈る言葉
オールドライクのお化けとお化け退治装備
マッケナ・グレイスの美少女振り
以下、内容に触れた感想となっております
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子供から父への「贈る言葉」
本作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』の監督はジェイソン・ライトマン。
オリジナル版『ゴーストバスターズ』の監督アイヴァン・ライトマンの息子です。
この状況でも、充分「エモい」ですが、
映画の内容も、
オリジナル版を子供の頃に観た大人向け、
それは、
監督自身の体験から来る、
オリジナル版への最大のリスペクト、
即ち、
息子から父親へ送る感謝の気持ちであり、
物語の構成も、
親子関係を主軸に描いています。
シングルマザーのキャリーは、
破産状態に陥り、
疎遠だった父の死を切っ掛けに、
その遺産目当てに、
オクラホマ州、サマーヴィルのボロ屋敷へと引っ越して来ます。
そんな彼女の娘のフィービーは、
典型的なオタク体質。
グルーバーソン先生との会話で推測されますが、
自分の知識を当然とばかりに、
意識せず、ひけらかすクセがあり、
その為、
同級生には友達がいないという存在。
これは恐らく、
映画監督の息子として育った、
ジェイソン・ライトマン監督自身の子供時代の投影なのではないでしょうか。
そんな彼女は、
祖父の「遺産」である、
ゴーストバスターズアイテムの数々を装備し、
同じく、オタク体質の新・友人であるポッドキャストと共に、
「ゴーストバスター」します。
これは、
祖父イゴンの遺志を、フィービーが継いだという事であり、
それは、
父の監督作であるオリジナル版を、息子ジェイソンが継承したという事でもあるのです。
極めつけは、
イゴン・スペングラー博士です。
オリジナル版では、
脚本も担当したハロルド・ライミスが演じています。
ハロルド・ライミスは、
2014年に亡くなっており、
本作ではアーカイブ映像での再現と、
ゴースト体での「黄泉がえり」においては、
アイヴァン・ライトマンが演じています。
キャリーは、父親が、
自分を捨てて勝手に生きていた事に、
娘として、憤りを感じています。
しかし、
父は娘を捨てた訳では無く、
いつも、気に掛けており、
その成長を見守りつつも、
人知れず、
家族にも、友人にも、誰にも理解されなくとも、
自分の「仕事」として、
孤独に世界の平和を守っていました。
そんな父を理解し、
キャリーは、ラストシーンで和解します。
これは、
息子が、父に対して、
感謝を伝えている、
そのままのシーンと言えます。
つまりは、
本作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、
ジェイソンの個人的なファミリー映画であるのです。
しかし、
映画というものは、
不思議と、個人的な内面をさらけ出した方が面白く、
一般にも、受け入れられる作品となります。
親子の接し方、
相互理解の難しさ。
しかし、
最後には、分かり合え、
お互いに、協力する事が出来る。
そういう事を描いた作品でもあります。
その立ち会いで、
オリジナル版のキャストが多数集結しているのが、
これまた、エモいです。
「ゴーストバスターズ」の生き残り、
ピーター(ビル・マーレイ)
レイモンド(ダン・エイクロイド)
ウィンストン(アーニー・ハドソン)。
そして、敵はゴーザに、マシュマロマン。
冒頭シーン、
イゴン・スペングラー独りでは、
不測の事態に対応出来ずにやられてしまいましたが、
皆で力を合わせたクライマックスにおいては、
それを咄嗟のアイディアで克服していました。
父への感謝の気持ちの「贈る言葉」であると言えども、
それは、
ジェイソン・ライトマン独りの力では為しえなく、
皆が集まったからこそ実現したのであり、
故に、
その結果、
本作自体が、『ゴーストバスターズ』へ向けた最大のリスペクト作品であり、
オリジナル版を愛する、
全ての人が楽しめる作品へと仕上がっているのではないでしょうか。
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マッケナ・グレイス「最萌え」映画
本作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』。
予告篇フルバージョンを初めて観た時、
私は思いました。
「主人公(っぽい)少年、可愛いな」と。
映画『ヴェニスに死す』にて、
少年タッジオを演じたビョルン・アンドレセンに、
勝るとも劣らない美少年振りです。
また、
予告篇にて、寝そべっているシーンがあったんですが、
何か、艶めかしいんですよ。
「あ、これがショタなのか?」と、
人生初の感覚に、驚愕を覚えました。
…まぁ、少年では無く、
実際は少女だったンですけどネ!!
と、言う事で、
本作で主役のフィービーを演じるのは、
マッケナ・グレイス。
『gifted/ギフテッド』(2017)での演技が評価され、
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)では、
少女時代のトーニャ・ハーディングを演じました。
結構、
「少女時代の~」という役を演じるのが多くて、
『レディ・プレイヤー1』(2018)の小学生役、
『キャプテン・マーベル』(2019)の少女時代のキャロル・ダンヴァース、
『マリグナント 狂暴な悪夢』(2021)の少女時代のマディソンなどがあります。
また、
ホラーシリーズの「死霊館ユニバース」にて、
主役のオーレン夫妻の娘、
ジュディ・オーレン役を、シリーズを通して演じており、
『アナベル 死霊博物館』(2019)では主役として活躍しました。
今後子役から大人へと移行するでしょうが、
その後の活躍も期待される役者です。
話は変わりますが、
ジェイソン・ライトマン監督作品に常連のJ・K・シモンズが、
本作にも出演しています。
自分は咄嗟には気付かなかったんですが、
イヴォ・シャンドア役で、
復活したゴーザに、
一瞬で「裂けるチーズ」みたいに縦に二分割された役ですね。
また、
金属を食べるお化け「ムンチャー」の声を担当したのは、
ジョシュ・ギャッド。
『アナと雪の女王』(2013)のオラフの声などを担当しています。
とは言え、
「ムンチャー」とジョシュ・ギャッドの顔って、
どことなく似ているのが面白い所です。
監督ジェイソン・ライトマンが、
オリジナル版の監督である、
父、アイヴァン・ライトマンへと贈る、感謝の映画。
それ故に、
オリジナル版のファンが最大限に楽しめる、
エモ作品、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』。
家族と相互理解、そして、継承の物語。
意外とと言えば失礼ですが、
ドラマ作品として観ても、楽しめる作品なのではないでしょうか。
オリジナル版『ゴーストバスターズ』はコチラ
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