映画『モータルコンバット(2021版)』感想  残虐非道の「FATARITY」!!決めろ!アクションの極北!!

地下格闘で日銭を稼ぐコール・ヤング。ドラゴンの痣を生まれながらに持つ彼はある日、突如、氷を操る暗殺者に襲われる。そいつ名は「サブ・ゼロ」。1617年、白井流の忍者ハンゾウを殺した功績で魔界入りした男だ。
そこに駆け付けた軍人ジャックスのおかげで、家族諸共、命からがら逃げ出す事に成功したが、、、

 

 

 

 

監督は、サイモン・マッコイド
オーストラリア出身のCMディレクター。
本作が長編映画監督デビュー作。

出演は、
コール・ヤング:ルイス・タン
ソニア・ブレイド:ジェシカ・マクナミー
ジャックス:メカッド・ブルックス
カノウ:ジョシュ・ローソン
ライデン:浅野忠信

ビ・ハン/サブ・ゼロ:ジョー・タスリム
ハサシ・ハンゾウ/スコーピオン:真田広之 他

 

 

 

現在、「eスポーツ」というジャンルが脚光を浴びています。

主に、電子機器を利用した対戦種目により、
娯楽を提供し、賞金を稼ぐ競技であり、

まぁ、解り易く言えば、
TVゲームのプロスポーツ化です。

日本でも、
2018年2月1日に「JeSU」(Japan esports Union)が発足し、
ゲームで高い賞金を稼ぐ事が可能になりました。
(それまでは、ゲームの大会での賞金は5万円が上限)

ゲームのジャンルとしては、
主に、
ファースト・パーソン・シューティング(FPS:主観視点の射撃ゲーム)
サード・パーソン・シューティング(TPS:客観視点の射撃ゲーム)
リアルタイムストラテジー(俯瞰視点のリアルタイム戦略ゲーム)
などがプレイされていますが、

「eスポーツ」のハシリとしては、
日本発のゲームジャンル「対戦型格闘ゲーム」が挙げられます。

 

その「対戦型格闘ゲーム」の元祖は、
カプコンが1991年にアーケードゲームとしてリリースした、
『ストリートファイターⅡ』です。

威力の違う攻撃ボタン、
コマンド入力による必殺技の発動など、
対戦型格闘ゲームの基礎となるシステムを確立し、
後の同ジャンルのランドマークとなっています。

 

『ストリートファイターⅡ』以降、
同ジャンルの開発は、日本産のゲームが主となっていますが、

そこで、数少ない海外産対戦型格闘ゲームとして人気を博しているのが、
「モータルコンバット」シリーズとなります。

 

この「モータルコンバット」、
シリーズの第一作目がリリースされたのは、1992年。
(日本でのリリースは1993年)

2Dのドット絵で表現された『ストリートファイターⅡ』と違い、
実写を取り込んだ見た目から、
如何にも、バタクサい感じで、ザ・アメリカって感じのインパクトがありました。

 

また、
「モータルコンバット」の英語の綴りは「MOTAL KOMBAT」。

本来なら、「コンバット」の部分は「COMBAT」と、
「K」ではなく「C」にすべきなのですが、

「コンバット」の「K」は、
ラテン語やスペイン語にみられる古語をベースとして、
「KILL」の「K」の意味を込めたりしているそうです。

なんだか、
「K-1」の「K」みたいですね。

 

そして、
この「モータルコンバット」シリーズを象徴するオリジナルシステムとして、
FATALITY」というものがあります。

決着が着いた後、
グロッキー状態になった後の対戦相手にトドメを刺すシステムで、
コレが、

生首をかっ飛ばすとか、
炎で丸焼きにするとか、
脊椎を引きずりだすとか、
両腕を引きちぎるとか、

まるで必要の無い残虐非道なゴア表現にて、
相手を蹂躙、屈辱を与えるものです。

 

日本語版が初めてリリースされた時、
「FATALITY」(致命傷)は「究極神拳」と訳されており、

これは、
漫画『北斗の拳』のケンシロウの北斗神拳を喰らった悪漢が、
経絡秘孔を突かれて爆死する様に似ている所から名付けられたと察しますが、
何とも言い得て妙な感じがします。

 

この「モータルコンバット」シリーズ、
北米での人気が特に高く、
現時点(2021/06/22)では、
シリーズ最新作『モータルコンバット11』(2019)までリリースされています。

元々の開発元は「ミッドウェイゲームス」ですが、
シリーズ8作目の『モータルコンバットvs DCユニバース』を最後に、
2009年に経営不振で倒産。

これを買収した「Warner Bros. Interactive Entertainment」が権利を獲得し、
以降は、同社傘下の「NetherRealm Studios」が開発しています。

そして、
ワーナーの買収以降は、
同シリーズに映画作品からのゲストキャラが参戦

「エルム街の悪夢」のフレディ
「13日の金曜日」のジェイソン
「悪魔のいけにえ」のレザーフェイス
「エイリアン」のエイリアン
「プレデター」のプレデター
「ロボコップ」のロボコップ
「ターミネーター」のT-800
「ランボー」のジョン・ランボー
「バットマン」のジョーカー
「スポーン」のスポーン など

そういった意味で、
映画ファンの注目を集める作品でもあります。

 

日本では、
イマイチ、カルト的な人気に留まっていますが、
シリーズとしては30年近く続く人気作品、

それが、対戦型格闘ゲームの
「モータルコンバット」シリーズなのです。

 

 

さて、長い前置きが終わり、ようやく映画の話。

実は、映画化されるのは、今回が3度目。

『モータルコンバット』(1995)は、
ポール・W・S・アンダーソンが監督、

『モータルコンバット2』(1997)は、
別の監督、スタッフにて続篇が作られています。

そして本作は、
過去の映画シリーズとは別物の、
リブート作品として制作されたもの。

そんな本作の注目点は、

日本から、
真田広之、浅野忠信が参戦している所でしょう。

 

初期の「モータルコンバット」シリーズが持っていた、
アメリカ人が持つ独特な「日本観」みたいなのが再現されている感じがして、
この配役には好感が持てます。

それだけでは無く、
ちゃんとメインキャラとしての活躍が観られるのも嬉しい所。

Youtubeでも無料公開されていますが、
冒頭の真田広之演じるハサシ・ハンゾウの殺陣のシーンなど、
出色の格好良さを誇ります。

 

まぁ、とは言え、
出演しているキャストは、
何時か、何処かの映画で観たことある(?)感じの、
ちょっとマイナー寄りのキャスティング。

更に、ストーリー展開も単純明快で、
なんの捻りも無いので、

そこはかとないB級映画感が漂っているのは事実。

 

しかし、それはソレ。

本作は、R-15+指定。
15歳未満は鑑賞禁止となっており、
それは何故なら、

ゲームばりのゴア表現が再現されているからです!
FATALITY!!

 

映画本篇にて、
ちゃんとゲームの「FATALITY」を再現しており、

そういう点を踏まえて、
無駄な展開、説教などを省いた、
アクション映画として特化した娯楽作品なのです。

それは、ゴア表現に限らず、
対戦型格闘ゲームが元となっている事を踏まえて、

つまり「超常能力を持つ者同士の決闘」として、
完成度の高い「魅せる」アクション映画と言えるのです。

 

主人公のコール・ヤングは、
映画オリジナルキャラ。

しかし、
実際は、上手い具合に影が薄く、
映画の狂言回しというか、
映画とゲームを繋ぐ導入役として、
邪魔にならない活躍を観せてくれます。

ちゃんと、ゲームファンにも配慮し、

そして、アクション映画として、
映画ファンも満足させる、

『モータルコンバット』、
実は、意外にも、良作品と言えるものなのではないでしょうか。

 

 

  • 『モータルコンバット』のポイント

カッコ良いアクション

残虐非道の「FATALITY」!!

個性と国際色豊かなキャスト

 

 

以下、本作のキャストについて、
ちょっと語ってみようと思います。

 

 


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  • 出演者についての小話

さて、本作『モータルコンバット』の出演者。

なんか、
何時か、何処かで、何かの映画で観た事ある人達だな~
でも、思い出せないなぁ

そういう出演者で溢れています。

 

しかし、
調べて解ったのですが、
殆どのメンバーが初見だったんです。

この勘違いは何なんだろうなぁ、
と、思ったのですが、

これはもしかして、

ハリウッド映画のテンプレ的な雰囲気を持つ人物でありながら、
そこまでメジャーでは無いという、

絶妙な配役をしているのかもしれません。

印象に残るが、
ゲームのキャラクターを阻害する程メジャーでも無い
と言いますか。

 

ソニア・ブレイドを演じたジェシカ・マクナミー
(ハリウッド的金髪活発枠)
ジャックスを演じたメカッド・ブルックス
(ハリウッド的頼れる黒人兄貴枠)
カノウを演じたジョシュ・ローソン
(ハリウッド的胡散臭い髭オッサン枠)
リュウ・カンを演じたルディ・リン
(ハリウッド的イケメンアジアンアイドル枠)
クン・ラオを演じたマックス・ファン
(ハリウッド的ちょっと初見鈴木亮平に似ている枠)
ミレーナを演じたシシィ・ストリンガー
(ハリウッド的若い黒人女性枠)
アリソン・ヤングを演じたローラ・ブレント
(ハリウッド的主人公の妻枠) など

観た事あるようで初見の方々が多数でした。

 

それでも、
ちょっとでも観た事ある人を挙げるなら、

影の薄い主人公、
コール・ヤングを演じたルイス・タンは、
ザ・アウトロー』(2018)にて警備員役で、
デッドプール2』(2018)にて、
すぐ死ぬX‐フォース役の、自称宇宙人のシャッタースター役が印象的(?)でした。

 

ゴローの声を演じたのは、アンガス・サンプソン

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)では、
オーガニック・メカニック役(イモータンジョーの砦のメカニック)で出演していました。

まぁ、声だけなので、ピンと来ないんですがね。

ちなみに、
何故か日本名なのに、
地獄のプリンスで、腕4本あるという設定は、
何となく、漫画『キン肉マン』のアシュラマンを彷彿とさせます。

原作の初代『モータルコンバット』では、
他のキャラが実写取り込みだったのに対し、
ゴローは、クレイ人形を使った、
所謂、リミテッドアニメーションだったそうです

 

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』繋がりで、
同じオーストラリア出身のネイサン・ジョーンズは、
破壊槌を操るレイコ役で出演しています。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』では、
イモータンジョーの筋肉隆々の息子、リクタス・エレクタスを演じていました。

元々、プロレスラーで、
1997年、「PRIDE」の旗揚げ時に、
北尾光司(光覇)と戦い、敗北。

その後、
橋本真也のZERO-ONEに参戦したり、
アメリカに戻りWWEに参戦したした後、
プロレス引退後は映画に出演しています。

代表的なものとして、
『トロイ』(2004)
『トム・ヤム・クン』(2005)などがあり、

同じ対戦型格闘ゲームを映画化した作品、
『TEKKEN -鉄拳-』(2010)ではクレイグ・マードック役で出演しています。

 

ビ・ハン/サブ・ゼロを演じたジョー・タスリムは、
インドネシアの格闘家。
シラットや太極拳、空手を学び、
1997~2009年まで、柔道のインドネシア代表チームに所属していたそうです。

その経歴を活かし、
『ザ・レイド』(2011)ではシラットを披露。

他に、
『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013)
『スター・トレック BEYOND』(2016)等に出演しています。

 

魔界の指導者シャン・ツンを演じたのは、チン・ハン

圧倒的名作『ダークナイト』(2008)にて、
序盤、バットマンに処られる雑魚金持ち悪役が印象的です。

スカイスクレイパー』(2018)では、
ビルのオーナー役をやっており、
チョイ悪アジアン成金みたいな役が多い印象です。

他には、
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)や、
『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017)にて、
スカーレット・ヨハンソンと共演してますね。

日本でも人気が高い『攻殻機動隊』を、
ハリウッド実写映画化した『ゴースト・イン・ザ・シェル』では、

アニメ版の声優が、この度、3年ぶり、3度目の結婚を果たした山寺宏一が演じるトグサ役でした。
キャラと演者とのギャップに驚愕した印象があります。

 

そのチン・ハンと同じ誕生日だと言うのが、
ライデンを演じた、ご存知、浅野忠信

主人公側と敵の指導者同士を演じる役者が同じ誕生日とは、
奇遇な感じがしますね。

浅野忠信のハリウッド映画デビュー作は、
『マイティ・ソー』(2011)のホーガン役。
その後、シリーズを通して、
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)
マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)に出演しています。

他には、
『沈黙 -サイレンス-』(2016)
『ミッドウェイ』(2019)等に出演。

また、
『47RONIN』(2013)では、吉良上野介役で出演し、
大石内蔵助役の真田広之と共演しています。

因みに、本作とは直接関係ありませんが、
『47RONIN』にて将軍綱吉を演じたケイリー=ヒロユキ・タガワは、
1995年版の『モータルコンバット』にてシャン・ツンを、
『TEKKEN -鉄拳-』では三島平八という、
共にボス的な役を演じています。

 

そして、本作で最もオイシイ役である、
ハサシ・ハンゾウ/スコーピオンを演じたのが、真田広之

ハリウッド映画デビュー作『ラスト サムライ』(2003)での氏尾役が印象的です。

この『ラスト サムライ』出演以降、
渡辺謙と共に、
英語が出来る日本人役として、ハリウッド映画で重宝されています。

他に、
『サンシャイン 2057』(2007)
『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)
『47RONIN』(2013)
ライフ』(2017)
アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)
『アーミー・オブ・ザ・デッド』(2021)
などに出演しており、
大小を問わず、印象的な役柄が多いです。

2022年に公開が予定されている
『バレット・トレイン』、
そして、「ジョン・ウィック」シリーズのパート4にも期待大です。

 

 

こうして見ると、
『モータルコンバット』は、出演者の国際色豊か。
特に、アジア系が多く、
真田広之、浅野忠信が重要な役で出演している点も含め、
親近感が湧く作品と言えます。

こういった、
出演者に視点を移して、
作品のチェックするのも又、
映画の楽しみ方の一つなのではないでしょうか。

 

 

 


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