2023年。殺戮殲滅ロボット「センチネル」により、ミュータント、そしてミュータントを産む可能性のある人間までも狩られる恐怖の時代。絶望的な事態を打破する為に、プロフェッサーはウルヴァリンの精神を1973年に送り歴史を変えようとする、、、
監督はブライアン・シンガー。
「X-MEN」シリーズを
『X-メン』(2000)
『X-MEN2』(2003)
『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014:本作)
『X-MEN:アポカリプス』(2016)
以上の4作を監督している。
他の監督作品に
『ユージュアル・サスペクツ』(1995)
『スーパーマン リターンズ』(2006)
『ワルキューレ』(2008)等がある。
ローガン/ウルヴァリン役にヒュー・ジャックマン。
チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX役にジェームズ・マカヴォイ(1973年時)/パトリック・スチュアート(2023時)
エリック・レーンシャー/マグニートー役にマイケル・ファスベンダー(1973年時)/イアン・マッケラン(2023時)
他、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、ピーター・ディンクレイジ等。
人気シリーズである「X-MEN」。
ウルヴァリンのスピンオフまで含めたら、全部で9作品の映画がある。
(『デッドプール』を含めると10作)
その中でも本作『X-MEN:フューチャー&パスト』は、
群像劇である「X-MEN」において、随一の出演者数を誇る。
さらに、2023年から1973年に渡り歴史を改変せんとするタイムトラベル要素もあり、SF要素が苦手な人は混乱してしまうかもしれない。
ハッキリ言うと、初見には難しい。
「X-MEN」の旧シリーズ、新シリーズから多数のキャラクターが説明なく参加し、新キャラも多数登場、ストーリーも複雑である。
しかし、だからこそ、
シリーズを観てきたファンには堪らなく面白い。
オールスター勢揃いでハラハラドキドキである。
そして、多数の映画で多数の世界観がある「X-MEN」シリーズにおいて、本作は
最終回的雰囲気が漂っている。
この作品以降もシリーズは続いているが、実質『X-MEN:フューチャー&パスト』が最期でいいんじゃないかな。
そんな風に思ってしまう。
初見殺しではあるが、
シリーズファンには最高の作品。
評価は真っ二つに分かれるだろうが、私は「X-MEN」シリーズの中で、この『X-MEN:フューチャー&パスト』が一番好きである。
*因みに、未公開シーンが追加された『ローグ・エディション』は未見なので、その内容には触れていません。
以下ネタバレあり
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初見殺しのオールスターキャスト
本作『X-MEN:フューチャー&パスト』は兎に角キャストが多い。
メインのローガン、チャールズ、エリックの3人だけでも、キャストが5人担当している。
1973年の新シリーズ側は
レイブン/ミスティーク役のジェニファー・ローレンス。
ハンク/ビースト役のニコラス・ホルト。
アレックス/ハボック役のルーカス・テイル。
そして新キャラとして
ボリバー・トラスク役のピーター・ディンクレイジ。
ピーター・マキシモフ/クイックシルバー役にエヴァン・ピーターズ。
ストライカー少佐役にジョシュ・ヘルマン。
2023年の旧シリーズ側は
オロロ・モンロー/ストーム役でハル・ベリー。
キティ・ブライド役でエレン・ペイジ。
アイスマン役でショーン・アシュモア。
コロッサス役でダニエル・クドモア達が登場。
そして、新キャラ
ビショップ役、オマール・シー
ブリンク役、ファン・ビンビン
ウォーパス役、ブーブー・スチュワート
サンスポット役、アダム・カントがそれぞれ演じている。
そしてチョイ役として
ローグ役のアンナ・パキン、
ジーン・グレイ役のファムケ・ヤンセン。
スコット・サマーズ/サイクロップス役でジェームズ・マースデンが出演している。
旧シリーズのキャストは昔と同じ人間が演じているので、安心感と懐かしさがある。
これだけのキャストが勢揃いである。
まさに壮観だ。
そして初見は誰が何だか訳がわからないだろう。
しかし、安心して欲しい。
実はシリーズファンも、冒頭のシーンは同じ気持ちだったのだから、、、
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迫害と虐殺
これだけキャラクターが多いのだが、実は前作『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』の新キャラ、
エマ・フロスト、エンジェル、アザゼル、バンシー達は全員人体実験の犠牲となって死亡しているというショッキングな事実がある。
この事実を知った上で、ミスティークがトラスク博士を殺すのかどうかというのが、ストーリー上のテーマである。
そう、「X-MEN」シリーズではお馴染みだが、マイノリティの迫害と、それに対する返礼として、敵対と融和どちらを選ぶか、その選択が今回も為されるのだ。
オールスターキャストとSF的なストーリーで見失いがちだが、本作でもこのテーマは健在である。
ミスティークの行動が、未来に最悪の影響を及ぼした。
その運命を選択により覆せるのか?
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ
『ターミネーター』シリーズ
『ドラゴンボール』セル篇
『ミッション:8ミニッツ』
『バタフライ・エフェクト』
最近では『君の名は。』等、
時間と運命改変モノは良作が多い。
本作にもそのエッセンスが感じられる。
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本作随一のシーン、キッチン一人かけっこ!
本作『X-MEN:フューチャー&パスト』はアクションシーンも豊富だ。
そして、私が一番好きなシーンはやはり、クイックシルバーのキッチンのシーンである。
急に時間が止まった様に見えるのは、クイックシルバーが能力を発動させた証拠。
彼は速すぎて、周りが止まって見えるのだ!
この、超スピードにより止まって見える世界を作り上げているのが凄い。
スプリンクラーより降り注ぐ水滴が弾丸の軌道を描く。
クイックシルバー/ピーターはその水滴をくぐり、水の洞窟を作りながら超スピードで走り回る。
飛び散る料理、乱舞する食器、吹っ飛ぶ警備員。
たった1分強のシーンだが、インパクトは絶大である。
イタズラを混ぜつつ、余裕で最強ミュータント達の危機を救ってみせるのは最高に格好良かった!
この時に流れている音楽は
Jim Croceの「Time in a Bottle」である。
リリースは1973年11月。
このチョイスも絶妙だ。
よっぽど好評だったのか、続篇の『X-MEN:アポカリプス』でもクイックシルバーのシーンがマシマシで描写されている。
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かぶり殺しのブライアン・シンガー!
さて、クイックシルバーというキャラクター。
実は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』にも出演している。
「X-MEN」シリーズはFOXが権利を持っているので、基本「ミュータント」という単語と「X-MEN」キャラクターは使えないのだが、例外的にクイックシルバーと姉のスカーレット・ウィッチがゲストとしてディズニースタジオの「マーベル・シネマティック・ユニバース」に参加したのだ。
(因みに、マキシモフ姉弟を演じたエリザベス・オルセンとアーロン・テイラー=ジョンソンは2014年の映画『GODZILLA ゴジラ』でも夫婦役で共演している)
しかし、である。
この『X-MEN:フューチャー&パスト』のクイックシルバーが強すぎて、後発であるハズの『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』のクイックシルバーが見劣りするという事態が発生した。
先に凄いモノを出して、後発がそれを超えられず微妙な印象にしてしまったのだ。
(全米公開は
『X-MEN:フューチャー&パスト』2014年5月10日、
『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』2015年5月1日である)
実は、同じような事が過去にも起こっている。
『X-MEN2』にはナイトクローラーという、霧の様になって消失し短い距離を瞬間移動出来るミュータントが登場する。
これが、『マトリクス リローデッド』の「ツインズ」とかぶっていた。
「ツインズ」は体を瞬間的に霧状にして、相手の攻撃をかわすという能力だ。
(『マトリックス リローデッド』は公開前の「煽り」が凄くて、新キャラ「ツインズ」にも多大な期待が寄せられていた)
文で書くと分かり難いが、ぱっと見のアクションは酷似している。
そして、そのアクションの質、ナイトクローラーの圧倒的なスピード感の前では、「ツインズ」の立ち回りはスロー過ぎた。
ナイトクローラーの後に「ツインズ」のアクションを観たのだが、正直微妙に感じてしまったのは私だけでは無いだろう。
(全米公開は、
『X-MEN2』が2003年5月2日
『マトリックス リローデッド』が2003年5月15日)
歴史は繰り返す。
偶然か、意図的か、かぶり殺しのブライアン・シンガーである。
本作は
派手なアクションシーン
凝ったストーリー
豪華キャスト
テーマ性といった面白い要素が揃っている。
しかし、複雑で登場キャラの多いので、シリーズファンでないと取っつき難いものまた事実だ。
だが、2000年から始まった映画の「X-MEN」シリーズを観続けた者達にとっては、この映画はまさに総集篇というプレゼントであった。
特に、全てが終わり、使命を果たしたローガンが長い旅路の果てで辿り着くすラストは感動の一言だった。
斯くして、旧シリーズから続いたローガンの苦闘は終わり、新しい時間軸が発生し世界自体がリブートする。
その世界で、新シリーズが続いてゆくのだが、それは新しい世代の物語なのだ。
(因みに、『LOGAN/ローガン』は旧シリーズとも新シリーズとも違った時間軸の話のようだ)
劇場公開時にはカットされたローグのシーン他、多数の未公開シーンが追加されたのが、この「ローグ・エディション」だ。
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さて次回は、新しい世代が作り上げた古典の名作、映画『ハイジ アルプスの物語』について語りたい。