孤独のグルメ Season3 第十話
荒川区西尾久の炎の酒鍋と麦とろ飯
監督:溝口憲司
脚本:田口佳宏
出演:
井之頭五郎:松重豊
沖田正義:田山涼成
どん平・主人:林泰文
どん平・奥さん:良田麻美 他
ふらっとQUSUMI:久住昌之
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*タイムラインはBDソフト準拠となっております。
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ドラマパートあらすじ
荒川区西尾久にやって来た井之頭五郎。
路面電車に思いを馳せつつ、向かう先はあらかわ遊園。
メリーゴーラウンドを眺めたり、
猿や、モルモット、山羊、羊、アライグマなんかを見て歩く五郎さん。
あらかわ遊園内の下町都電ミニ資料館を訪ねる。
そこの館長の沖田さん、資料館のイベントで、世界の路面電車の祭典を企画しているとの事。
その、ヨーロッパ方面の模型を探すのに、五郎さんにも協力を頼む。
快諾した五郎さんの手を握り、路面電車の魅力を熱く語る沖田さん。
しかし、模型で乱暴に遊ぶこどもには厳しいご様子。
外にでた五郎さん。
食べ歩きをしているカップルを見かけ興味を覚える。(40:16)
たこせんを発見、注文する五郎さん。(41:14)
えびせんの中にたこ焼き2個とマヨネーズ、ソースにおかかを入れた下町おやつ。
「うん、予想通りの味、でも、それが嬉しい」
「そんなにタコでも、そんなにエビでも無い」
「この頼りない噛み応え、でもこれも長生きのお菓子だ」
「出来ちゃったおやつ、下町っぽくていい」
さてどうしようかと五郎さん、昼飯を求め路面電車に乗る。
「暮らしに溶け込んだ電車。路面電車いいですよ、沖田館長」(43:10)
窓から町を眺める五郎さん。
バッグのキャスターが動かなくなり四苦八苦しているお婆ちゃんを助ける五郎さん。
成り行きでお婆ちゃんを送ってバッグを持ち、汗だくになる。
ハァハァ
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「腹が減った」(45:12)
ポン、ポン、ポォン。
「店を探そう」
五郎さん、十字路で店に目移り。
鮨か、ピザ屋か、中華か、とんかつか。
五郎さん、イラストの「やってます」に反応。
「何かいいなぁ、今の俺のアンサーはとんかつだ」
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どん平(46:24)
入店、人が一杯いる。
五郎さんはテーブル席へ。
五郎さん、壁の張り紙をみて麦とろを発見、
とんかつ麦とろセット定食を頼もうとするが、
丁度その時、隣の家族連れの鍋で謎の準備が出来たのだと言う。
店長は明かりを消し、鍋に火を点けると炎がメラメラと燃え上がる。
「ええ!?すごーい!何なんだこれは?何かの儀式か?」
俄然興味が湧いた五郎さん、店長に尋ねる。
先ほどのイベントは、しゃぶしゃぶのコースで、店の名物炎の鍋。
炎でアルコールを飛ばして、子供でも酒鍋が食べられるのだと言う
一人前でもOKで、通常は予約制だが特別に大丈夫との事。
そう聞くと、五郎さん、勢いで頼んでしまう。
「酒鍋食べるなんて言っちゃったけど、本当に大丈夫だろうか」
会計のお客さんや、カウンター席の客の注文品を眺めている間に、
五郎さんのテーブルにも炎の鍋が来る。
明かりを消し、点火、炎が燃え上がる。
「炎って、本能に訴えかけるなぁ。正に食欲が燃え上がる、燃えようじゃないか」
先ずは豚のしゃぶしゃぶから。(51:06)
しゃぶ、しゃぶ、しゃぶ、しゃぶ
「うおお、豚しゃぶ、確かにトンだ、ギュウでは無い。が、美味い、これは美味い」
「この、しゃぶ、しゃぶしている時間って、楽しい様な間が抜けているような」
「ああ、今、俺、アライグマだ」(52:21)
「胡麻タレもやるなぁ。酒は飛んだのに、俺酔っているよ、この味に」(52:49)
とりあえずしゃぶしゃぶをこなさないと次に行けない。
ドンドン行く五郎さん。
「ドンドン、しゃぶしゃぶ、ドンドン、しゃぶしゃぶ」
「一人しゃぶしゃぶ、寂しくなかった」
しゃぶしゃぶを食べ終わった鍋に、寄せ鍋のダシが足される。
沸騰後につみれから入れて下さい、との事。
「色々出来て楽しいなぁ」と五郎さん。
カウンター席ではとんかつを食べながら、女性3人が盛り上がり、お替わりを注文している。
「おおやるなぁ、俺も負けられん」
寄せ鍋。(55:29)
「うんうん、豚から魚へ、陸から海へ、肺呼吸からエラ呼吸へ」(56:09)
ダシを飲んだ五郎さん、
「え、なんじゃこりゃ」ズズッ「美味すぎる、美味すぎ良太郎」(56:34)
「このスープだけで俺は何処までも行ける」
ようし、と腕まくりの五郎さん。
「ああ、有り難い、有り難い、ゆっくり味わいたいんだが、箸の回転が止まらない」
「熱い、俺の体の中に炎が燃え立っている」(57:53)
「豚、海鮮、野菜にキノコが紅蓮の炎になって渦巻いている」
あ、大変だ、忘れてた、と五郎さん。
ご飯モノを忘れていた。
麦とろとんかつ定食を頼みたいが、とんかつは小さいサイズがあるのか?と尋ねる。
小さいサイズの、さらに小さいサイズがあるとの事で、それを注文する五郎さん。
とんかつ麦とろミニミニセット定食が来る。
とんかつの上にはデミグラスソースがかかっているが、
そこに更にとんかつソースを掛けると、さらに美味しいとの事。
「トンカツと麦とろ、無謀にも思えるこのコンビだが」
先ずは麦とろ飯。(59:27)
「おお、雑炊とは違う爽やかさ」
「このシメ方、エンディングのバリエーションがまた一つ増えた」(01:00:06)
とんかつ。(01:00:17)
「うわ、何このとんかつ、とろけちゃうよ」
「デミグラスソース&とんかつソースの破壊力、凄い」
「うん、我ながら美しいフィニッシュだ」
お会計の五郎さん、美味しかったです、と告げる。
退店。(01:02:49)
「ハァ、いやぁよく食べた。下戸の俺がまさか酒鍋とは」
「人生は面白い、明日の俺は一体何を食べるんだろう」
そう、五郎さんは去って行く。
*井之頭五郎食事全集はコチラのページにてまとめられています。
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ふらっとQUSUMI(01:03:34)
都内荒川線、宮の前駅の近くにあるという「どん平」。
*2013年当時のデータですので、お店に行く時は要確認
早速炎の酒鍋のパフォーマンスを堪能する久住さん。
30~40年位前からやっているとの事。
「今日はなんか、ご馳走ですね」
と、しゃぶしゃぶをやっていると、
「今日は暑いので」と奥さんがビールを持って来る。
「頼んでないけどな」
「アレ?注がれちゃったら」
「こっちにしゃぶしゃぶ、こっちにビールって」
「注がれちゃったらしょうが無いかなって言う」
「今日は暑いですからね」
「うーん美味しい」
「ああ、美味しい」
と、結局飲んじゃう久住さん。
とんかつ麦とろミニセット定食も注文。
久住さん、五郎さんほどは食べられないので、この位のサイズが丁度良いと言う。
このとんかつ、デミグラスソースが掛かっているが、さらにとんかつソースを掛けて食べると美味しいとの事。
店長曰わく、
豚のバラ肉を6~7時間煮てトロトロにし、
一昼夜冷蔵庫に寝かせたトンカツなのだという。
久住「豚の角煮を作る様な感じで」
店長「そうですね」
そのお味は
「うん、本当角煮みたいな感じだよね」
「ちょっと普通のとんかつと全然違うものと考えた方がいいですね、コレは」
そして、付け合わせのおかずに反応する久住さん。
久住「うん?コレ美味しい。生姜と何が入ってるんですか?」
店長「生姜と玉ねぎと」
久住「玉ねぎか」
(生姜、玉ねぎ、長ネギを和えたもの)
「これ真似したいなぁ、家で。このミニセット、いい、凄く良い」
とご満足の久住さんでした。
*ふらっとQUSUMIの食事全集はコチラのページにまとめられています。
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声に出して言いたい!五郎さんの名台詞
今回の「声に出して言いたい」五郎さんの名セリフは、
「酒は飛んだのに、俺酔っているよ、この味に」(52:49)
下戸の五郎さん、ここぞとばかりに酔っているよ、のセリフを口にする。
実際これが言いたかっただけダロ?感はあるのが面白い。
「熱い、俺の体の中に炎が燃え立っている」(57:53)
まさかの五郎さんの厨二セリフ。
熱い物を食べたら、正に体の芯からホットになる。
体に燃料を入れている感があるからこそ、
さらに食が進む、その時に言ってみるといいのかもしれぬな。
*『孤独のグルメ』の名言集はコチラのページにてまとめられています。
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感想と解説
五郎さんの食事と言えば、先ずは段取り重視。
しかし、今回の五郎さんは、自分のプランを捨ててインパクトというか、
流れ重視の展開になっています。
隣の家族連れの、真夏の鍋料理、
そして、点火のパフォーマンス、
この流れに乗らない理由が無いとばかりに、自分も酒鍋を頼みます。
(いつもは酒飲みをネタにしている、あの五郎さんが)
しかし、この流れ、実はドラマパートの「路面電車」から続いている流れなんですね。
「路面電車」の魅力とは、町が見える電車である事という沖田さん。
「その路面電車を通じて、色んな世界があるという事を、この子どもたちに教えてあげたいんです」
とも言っていました。
五郎さんはこの言葉が頭にあり、電車から見える眺めを楽しんでいました。
また、電車内で困っていたお婆ちゃんに出会った五郎さん。
人助けで荷物を運んであげます。
これは、食事に向かっていた当初の予定を中断して、
お婆ちゃんの為に駅を途中で降りているんですよね。
自分の予定外の駅で降りる。
これはある意味、世界を見る事。
つまり、色々な場所を知るという事と同意とも言えるのではないでしょうか。
人助けもありますが、
沖田さんの言った事が、やっぱり頭にあったのだと思います。
流れの中で世界を見てみるのも、いいもんだと。
結局、食事もその途中下車した場所でする事にしますが、
その後の展開も構成重視じゃなく、
その場の流で鍋を食べたり、
サイズの小さいものを注文したり、
フレキシブルな対応に終始しているんですね。
さて、下町都電ミニ資料館の館長の沖田さん。
途中、五郎さんが「沖田館長」と呼びかける場面があります。
「暮らしに溶け込んだ電車。路面電車いいですよ、沖田館長」(43:10)
このセリフは、
やはりどうしても「宇宙戦艦ヤマト」の「沖田艦長」を思い起こします。
恐らく、意識していると思いますが、どうでしょうかね。
*『孤独のグルメ』のエピソードはコチラのページにまとめられています。
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