「ナイトランド叢書」
それは、アトリエサード(書苑新社)より刊行されている幻想と怪奇の海外文学作品のシリーズである。
2015年7月に第一号が発売され、現在まで年に4、5点のペースで刊行が続いている。
ホラー系の海外作品を安定供給する。
ターゲットを絞っているだけあって、どの作品もレベルが高く面白いシリーズである。
本ページでは「ナイトランド叢書」の普及の為に、刊行作品の簡単な紹介をやってみたい。
以下、解説の開始
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現在、「ナイトランド叢書」は17点刊行されている。
それを出版順に解説してみたい。
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逃げ場の無い海上にて怪異に襲われる船の恐怖が描かれる。
恐怖が積み重なり、徐々に緊張が高まって行く感じが溜まらない。
そして、度重なる怪異に慣れてしまうと、危機管理意識すら蔑ろにしがちになる人間の浅はかさをも描いている。
怪奇を基本として、拳闘、西部劇、ファンタジーと色々取り揃えている。
身内にわだかまるふつふつとしたエネルギーが敵に向かって爆発するかの様な作品集。
ミステリ的な幕開けだが、その内容はオカルト設定物語である。
ストーリーには突っ込みどころが多いので、その設定を面白がれる人間向けである。
想像力という触手を限界まで拡げた様なコズミック・ホラーである。
時と星辰が死に絶える瞬間を描く、その壮大さに圧倒される。
何処か、上品さすら漂う連作怪奇短篇集。
その題材は、男女の恋愛がテーマである。
しかし、狂言回しのエイルマー・ヴァンスは基本観察するだけである。
「人の恋愛に、口を挟まず」のスタンスである。
秘境の冒険的な幕開けから、ヒロイックアクションへと移ってゆく。
細かい事は気にせず、楽しんで読もうぜ、という感じのスタンスだ。
怪異に始まり、不吉な事が起こる所で終わるという古典的かつ、王道的怪奇短篇集。
不幸ばかりの収録作を一気読みすると、ズシリとくるものがある。
自らの属する世界の外部よりの呼び声が響く中篇3作。
理性では危険と認識しつつ、それに呼ばれてノコノコと囚われるのが、人間というモノである。
死と退廃に満ちた堕落の物語。
ネクロマンサーが腕を振るい、ゾンビが闊歩する大地で破滅へと向かう人間達の様子が描かれる。
ファンタジックな幻想怪奇譚。
様々な世界で色々なモンスターがその権勢を振るう。
そこでは、人間は卑小な存在でしか無いのだ。
怪奇小説ではあるが、その怪異は常に弱き者、幼き者の味方である。
弱者の立場に寄り添うその視線の優しさに、怪奇小説でありながら爽やかな感じすら漂う。
魔女の操る人形が悪さをする、チャイルドプレイ的な怪奇小説。
真に怪奇現象か?
それとも集団幻覚か?
その辺に注目すると、また違った面白さがある。
行く先々で悪さを企む太古の血脈の後継者に、考古学親子のバディが立ち向かう。
オカルトミステリではあるが、アクション的面白さもありと、盛り沢山の読み味である。
ストレートなゴシック・ホラーがある反面、
ホラーのお約束とネタにしたメタ的な作品も収録された短篇集。
恐怖という素材の扱い方が絶妙だ。
ナイトランド叢書「最厚」傑作!
値段は張るが、その分ボリュームも面白さも充実!
史実、創作、数多の虚実が入り乱れ、圧倒的モザイク模様の大伽藍を形成している圧倒的エンタテインメント!
前知識としてブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』は必須、
出来れば「切り裂きジャック」事件の事も知っておきたいです。
仰々しく、読み難さを感じる文章ですが、
それを読み解く事で、自らの中に喚起される「畏怖」。
それは読者各自の感情であるが故に、
生の想像力が産み出す読後感を味わえます。
作者の見た悪夢をそのまま描写したという作品。
夢ならではの不条理溢れる内容であり、
夢を小説に落とし込む際に生まれる第三者目線が、
本作に、怪奇小説をメタ的に捉える目線を付与した逸品です。
刊行される度に、順次追加していきます。
乞う、ご期待。
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