年も明けたという事で、2021年に公開された新作映画の個人的な好みによるベストテンをカウントダウン形式で紹介してみたいと思います。
それでは、早速紹介です。
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第10位 竜とそばかすの姫
7月16日公開
ネット仮想空間「U」にて、
歌姫「ベル」としてバズっている女子高生すず。
そんな彼女が、
「竜」と呼ばれ、忌み嫌われているアバターと出会って、、、
最近、ちょっと説教臭い路線に走っていた細田守監督、
最新作は、逆にエンタメ方向へと特化したものになっていました。
まぁ、ぶっちゃけ、
ディズニーのアニメーション『美女と野獣』(1991)を想起させますし、
ストーリー部分も物足りなく、
倫理的に問題な描写もありますが、
しかし、
歌と映像の表現に特化した本作は、
「その伝えたい部分で勝負してやる」という並々ならぬ決意を感じ、
それ故に、
格別に面白い作品となっております。
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第9位 囚人ディリ
11月19日公開
刑務所を出所したばかりの主人公ディリは、
ひょんな事から警察に協力する事になる。
しかし、
明朝までに娘に会いたいディリは、乗り気じゃない。
そんな彼にも、
ギャング達の魔手は容赦無く迫り来る、、、!!
スーツとマントとCGで空を飛んでレーザー光線バーン!!
…みたいなアクション映画が流行している昨今だからこそ、
むしろ、
本作の様な、泥臭い、
肉体言語を追求したタイプのガチバトルの迫力にこそ、
立ち返るべきなのではないのか!
アクション映画というものは、
ただ、殴り合っていれば良いと思われがちですが、
しかし、
実は本作の様に、
様々な要素を詰め込んで、
如何に、観客を楽しませるのかという創意工夫がなされているのを、
改めて感じさせてくれる作品です。
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第8位 Mr.ノーバディ
6月11日公開
平凡な会社員、ハッチ・マンセルは、
全く変わらない、ルーティンワークな日々を送っていた。
しかし、ある夜、
家に侵入した強盗を無抵抗に逃がし、
妻や息子、燐家のオッサン、会社の同僚などから、嘲笑の的となってしまう。
…そして遂に、ハッチのフラストレーションが爆発する時が来る、、、!
何でも無いオッサンが、
実は、スゴ腕と呼ばれる過去を持っていた!!
…的な設定の作品は、
まぁ、そんなに珍しくないですが、
実際に主演を演じるボブ・オデンカーク自身が、
それ程有名じゃなかったりする所に、
妙に、説得力があり、
そんな彼が、
ド派手にキレる描写に、
コッチの堪っているフラストレーションも発散されるという、
ストレスの多い現代において、
ある意味、
癒やしの作品と言えるのではないでしょうか!?
12月24日公開
舞台は1914年、第一次世界大戦前夜。
平和主義者のオックスフォード公は、
友人のキッチナー将軍の要請を受け、
オーストリア=ハンガリー帝国の帝位後継者、フランツ・フェルディナント大公の護衛を行う。
そこに、
世界を混沌に落とし込もうとする「羊飼い」を名乗る者の魔の手が迫る、、、
本作は、
興業的にも、評価的にも大ヒットした、
シリーズ第一作目の『キングスマン』(2014)の本歌取りとも言える作品。
展開、構成を、
その第一作目を基調としながら、
第一次世界大戦という混沌の時代を舞台とし、
歴史上の怪人が入り乱れるという、
偽史スパイアクション大作となっております。
第一作目を知っていると、
その対比によるメタ要素をより楽しめ、
また、
単純に、善と悪の戦いという構図も、
シンプルに面白く、
映画としての構成力の高い作品と言えるでしょう。
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第6位 キャッシュトラック
10月8日公開
ロサンゼルスの現金輸送専門の警備会社「フォーティコ」に就職した新人、
パトリック・ヒル。
仲間から「H」とあだ名され、
業務もそつなくこなしていたが、
ある日、
輸送車を襲った強盗を、
冷徹に返り討ちに処してしまう。
更には別の日、
「H」の顔を一目みた強盗は、
一目散に逃走。
一体、「H」とは何者なんだ、、、!?
アクション俳優として名高いジェイソン・ステイサム主演の本作は、
ガチンコ親父のハードボイルドアクション!
全体的に陰鬱で、
暗い雰囲気の本作ですが、
起承転結の構成の妙がしっかりしており、
この先、一体どうなるのか?
どう、落とし前を付けるのか?
そういうサスペンス的な要素こそが、
寧ろ、面白い作品と言えます。
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第5位 由宇子の天秤
9月17日公開
映像ディレクターの由宇子は、
3年前、マスコミの過熱報道で当事者が自殺した
「女子高生いじめ自殺事件」の後追いドキュメンタリーを撮影しており、
その家族の証言から、
マスメディアの在り方について一石を投じようとしていた。
一方、
父親の学習塾で、
講師としても授業を受け持っていた由宇子。
そこに通う生徒の一人、
小畑萌が妊娠している事を知る。
しかも、
相手は由宇子の父、塾長の政志だと言うのだ、、、
仕事と、プライベート、
二つのストーリーラインが、
同時進行で進む本作。
緊張感が終始持続し、
長い上映時間も全く気にならない傑作ドラマ作品と言えます。
本音と建て前、
我が事と他人事、
信念と正義。
本作では描くのは、
選択が成された先の取り返しの付かなさ、不可逆性と、
その迷走。
我々自身の日常とも密着した話題であるが故に、
本作で揺れる天秤は、
リアルな苦悩をさらけ出しています。
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第4位 シン・エヴァンゲリオン劇場版
3月8日公開
パリ市街にて、旧・ネルフユーロ支部を復活させた、「WILLE(ヴィレ)」。
急ぎ、エヴァの換装パーツの回収を行う。
一方、
荒廃した大地に投げ出されたシンジ、アスカ、アヤナミレイ(仮称)は、
「ニアサードインパクト」を生き延びた避難民が暮らす集落、
「第3村」に辿り着く、、、
1995年に始まった、
TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』。
1997年に公開された映画
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』
及び『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』。
そして、2007年から公開された劇場版新シリーズ、
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007)
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009)
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012)
永きに亘った、エヴァンゲリオンの物語も、
本作において、終了。
これは、
我々の卒業式なんです!!
もう、
感慨無量。
思い返せば、
人生の大半を、「エヴァンゲリオン」と共に過ごしてきたんだなぁ、、、
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第3位 レリック ー遺物ー
8月13日公開
一人暮らしの母親エドナが失踪したと、近隣の警察からの連絡を受けたケイ。
彼女は娘のサムを連れて、
母の家へと向かう。
母の家には、至る所に「メモ」が貼られており、
認知症が疑われるのだが、、、
母方の祖母が日本人だという監督。
実際に、その祖母が認知症で、
久々に会った監督を認識出来なかったそうです。
そんな個人的な体験を作品に落とし込んだ本作は、
超常現象をチラつかせつつも、
認知症に苦しむ本人と、
その家族の葛藤を描いており、
リアル故に、身に沁みるホラー作品となっております。
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第2位 ハロウィン KILLS
10月29日公開
2018年10月31日、
ブギーマンことマイケル・マイヤーズとの、
長年の因縁に決着を付けたローリー・ストロード。
…の、ハズだったが、
マイケルはローリーのデストラップから生還してしまった!!
そして、
1978年の恐怖のハロウィンナイトの記憶が、
再び、ハドンフィールドの町を覆う。
それに対抗すべく、
当時の惨劇を生き残ったサバイバーが音頭を取り、
「マイケルを殺せ!」と意気込む。
今夜、殺人鬼と町の住民との戦いが始まる、、、!!
1978年に公開された『ハロウィン』。
その正統続篇として、
2018年に公開された『ハロウィン』。
この、前作の2018年版『ハロウィン』が、
ホラー映画の続篇として完璧な内容だったので、
ぶっちゃけ、
これ以上語る内容があるのかな?
蛇足なのでは?
と思っているフシがありました。
しかし本作では、
前作では語られなかったテーマに焦点を当て、
「ホラー映画とは何ぞや」という、
根本的な部分を作品として描いています。
それは、
血と暴力を使い、恐怖によって支配しようとする相手に、
血と暴力を以て対抗するのは、間違っているのではないか?
というテーマです。
更には、
本作は「ハロウィン」の新3部作の中間にあたるという事で、
エンタメに特化したと監督は言います。
それ故の、派手さと、
グルーブ感、疾走感があり、
そういう、
ノリの部分でも、大変楽しめる、
傑作ホラー映画に仕上がっています。
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第1位 JUNK HEAD
3月26日公開
人類が、生みだしたクローン生命体「マリガン」。
生まれた当初は労働力として使役されていたが、
過去、人類との独立戦争の末、独立を獲得、
現在、マリガンは地下世界にて独自の進化を遂げていた。
一方、地上の人類は新種のウィルスの影響で人口が減少。
生殖能力も失い、絶滅の危機に瀕していた。
人類はマリガンの生殖能力、繁殖力に注目し、
それを調査する為に探検隊を送る。
その一人、パートンの冒険が始まる、、、
たった一人で作り始めたストップモーションアニメの本作は、
その製作期間が7年。
スタッフは4人くらい。
声の出演は、
殆ど監督の堀貴秀、彼自身。
で、物語も、切りが良い所ですが、
途中で終わるという中途半端さ。
正に、個人製作の作品そのものです。
が、
これが抜群に面白い!!
ジャンルとしては、
SFアドベンチャー、
二瓶勉の漫画『BLAME!』と、
セガサターンのゲーム『バロック』(1998)を足した感じ。
主人公の奇想天外な、
意外性溢れる冒険が描かれます。
荒涼とした地下世界にて、
まばらな人口密度の宏大な世界を旅する、、、
これはまるで、
自分の心象風景の中を旅する様な印象を受けました。
映画作品には偶に、
「これが自分が観たかった作品」と、
自分でも知らなかった欲求を教えてくれる作品があります。
本作は、正にそれで、
自分の心が無意識に欲していた、
自分が観たかった作品と言えます。
その意味で、
個人的な嗜好にドハマりしたのが本作、
『JUNK HEAD』こそが、
本年の1位となっております。
まとめると、
第1位 :JUNK HEAD
第2位 :ハロウィン KILLS
第3位 :レリック ー遺物ー
第4位 :シン・エヴァンゲリオン劇場版
第5位 :由宇子の天秤
第6位 :キャッシュトラック
第7位 :キングスマン:ファースト・エージェント
第8位 :Mr.ノーバディ
第9位 :囚人ディリ
第10位:竜とそばかすの姫
となっております。
他の、本年公開映画の個人的好みの映画は、
『樹海村』
『ザ・スイッチ』
『ウルフウォーカー』
『ゴジラvsコング』
『インヘリタンス』
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『コンティニュー』
『レミニセンス』
『空白』
『護られなかった者たちへ』
『キャンディマン』
『最後の決闘裁判』
『ダーク・アンド・ウィケッド』
『ラストナイト・イン・ソーホー』
『マトリックス レザレクションズ』
となっております。
また、本年の新作映画ではありませんが、
リバイバル上映されたアニメーション作品、
『ファンタスティック・プラネット』(1973)
『ベルヴィル・ランデブー』(2002)
も印象に残りました。
これらの作品も要チェックで、どうぞ!!
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