2017年に公開された映画諸作品についての個人的な雑記を書いてみようと思います。
まぁ、今年の印象の「まとめ」みたいな感じですね。
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アメコミ映画
今年もアメコミ映画が多数公開された。
まず最初に公開されたのが『ドクター・ストレンジ』。
ご存じマーベル・シネマティック・ユニバースの一篇である。
しかしこの映画、個人的には不満の残る作品であった。
主人公Dr.ストレンジの性格の悪さ、ドラッグのトリップを悟りと混同する描写、そして原作から設定を変えてまで中国市場を意識した作り、これらがあまりに鼻についた。
今までマーベル・シネマティック・ユニバースは面白い作品ばかりが用意されていただけに、失望感が大きかった。
しかし、続く『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』、『マイティー・ソー バトルロイヤル』が面白かったので、その失点は回復した感がある。
この2作品は、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』でクロスオーバーしそうで楽しみだ。
このマーベル・シネマティック・ユニバースは今までディズニー・スタジオが配給して来た。
それに加えて今年は、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント系列の『スパイダーマン:ホームカミング』で、スパイダーマンもマーベル・シネマティック・ユニバースに参加しており、ますますの世界観の拡がりが期待できる。
さらにここに来て、ウォルト・ディズニーが21世紀フォックスを買収。
これによりかつて三つに分かれていた
ディズニー系列:『アベンジャーズ』シリーズ
ソニー・ピクチャーズ:『スパイダーマン』シリーズ
21世紀フォックス:『X-MEN』シリーズ
の3つが統合が現実感を帯びてきた。
今まで配給会社の違いにより、権利上映画で共演出来なかった「アベンジャーズ」と「スパイダーマン」と「X-MEN」が一つの映画に出演する。
そんな日も近いかもしれない。
「X-MEN」と言えば、今まで20年近く「ウルヴァリン」を演じてきたヒュー・ジャックマンが『LOGAN/ローガン』にてその役を卒業。
現在の「アメコミ映画」というジャンルを作った、その走りたる『Xメン』から、主人公級の活躍で第一線を走り続けた「ヒュー・ジャックマンのウルヴァリン」がいたからこそ、現在の市場があると言っても過言ではないのだ。
お疲れ様でした。
一方、DCエクステンディッド・ユニバースも今年は2本投入。
人気キャラたる『ワンダーウーマン』のスピンオフ映画、そしてヒーロー集結の大作『ジャスティス・リーグ』が公開された。
映画事業においては後発なのでマーベル系の作品に押されがちだったが、今年公開の2本は娯楽大作として面白く観られる作品であった。
映画という市場においては、公開時期さえずらせばパイを食い合うという事は起きにくいので、このまま良い作品を作り続ければアメコミ映画ブームに乗ってさらなる飛躍も期待できるかもしれない。
こちらも楽しみである。
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コミック映画
CGの技術力の向上により、本邦においても「漫画原作」の実写映画作品が増えて来ている。
今まで不可能だった奇想天外なバトル描写が可能となったからだ。
コミック原作のアクション映画として、今年は
『無限の住人』
『銀魂』
『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第一章』
『東京喰種 トーキョーグール』
『鋼の錬金術師』が公開。
また、アクション以外でも少年、少女、青年漫画問わず多数の作品が映画化されており、今後この傾向はしばらく続くものと思われる。
原作ファンと出演者ファンの両方の観客が見込まれる「漫画映画」。
金儲けとしては正しい姿勢だがしかし、そのクオリティをおろそかにしてはいつか観客に飽きられてしまう。
原作ファンの要望を満たしつつ、映画として面白いものにする。
それは漫画に限らず難しい課題である。
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原作付き映画がとるべき道とは?
原作付きの映画がとるべき道。
それは忠実な再現か、アレンジを加えるか。
これは2つに別れた別の道では無いと思う。
つまり、原作のテーマを汲み取った上で、映像化というアレンジを上手く活かす事。
これこそが、原作付き映画の目指す道ではないだろうか?
今年公開された映画で言うと、
原作のエピソードを映画の時間内に上手くまとめてオリジナルの作品とした『BLAME!』。
真面目な過剰さが笑いを生むという事をキチンと理解していた『帝一の國』。
アニメのビジュアルと原作のイメージを上手く融合し、映画作品として確立させた『ハイジ アルプスの物語』。
原作の雰囲気を踏襲しつつ、テーマを見失わずに大胆なアレンジを成功させた『IT ”それ”が見えたら終わり』。
これらの作品が目立って面白いものであった。
また、少年の想像力を迫力の映像で再現した『怪物はささやく』。
多重構造を映像化によって分かり易く理解出来る『ノクターナル・アニマルズ』。
これらには映像化ならではの面白さと説得力がある。
原作付きだからといって、必ず映画が「従」になる必要は無い。
原作の世界観を押し拡げる様な作品こそ、映画化の醍醐味であると思う。
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アニメ作品
去年、空前のヒットとなったアニメ『君の名は。』。
今年も多数のアニメ作品が公開された。
原作を楽しく映像化した『夜は短し恋せよ乙女』。
動きと映像が素晴らしいながらも、ストーリーはまんま「ポニョ」だった『夜明け告げるルーのうた』。
全年齢に向けた丁寧な作品作りの『メアリと魔女の花』。
新しい事に乗り出す勇気をアメリカンなノリで描いた『モアナと伝説の海』。
全盛期を超えたモノの有終の美を描いた『カーズ クロスロード』。
20年の歴史の重みを乗せたファンムービー『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』。
アニメファンをゴジラコンテンツに導くべく、ぶっ飛んだ設定のSFアニメとして作った『GODZILLA 怪獣惑星』。
そして、映画化された事が奇跡!?映像と世界観の融合が素晴らしいSF作品『BLAME!』。
「大人が観ても面白い」が最早当たり前になった昨今のアニメ映画。
これからもこのレベルで作品を提供して頂く事を楽しみにしている。
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SFホラー・サバイバル
かつて多く作られたサバイバル・ムービー。
現在は沈黙したかに見えたジャンルだが、今年は多数の面白い映画に出会えた。
『ラプチャー ―破裂―』は昔懐かしいB級ホラー・サバイバル。
不条理な拉致監禁人体実験にサバイバルで立ち向かう。
演じるはノオミ・ラパス。
かつてのサバイバル女優、
『エイリアン』のエレン・リプリー役を演じたシガニー・ウィーバー、
『ターミネーター』のサラ・コナー役を演じたリンダ・ハミルトン的なバトルヒロインの系譜を継ぐ女優である。
『ライフ』は正統派SFサバイバル。
宇宙空間の限定状況において、人間を超える生命体と命を懸けたサバイバルを繰り広げる。
そして、『エイリアン:コヴェナント』。
元祖SFサバイバル・ホラーのシリーズの最新作であり、「恐怖の神話」の創造に挑戦した作品である。
また、『ゲット・アウト』や『スプリット』といったサバイバルを余儀なくされるサイコ・ホラー作品も今年は観る事が出来た。
ファッション業界で生き残りを懸けて戦う『ネオン・デーモン』もサバイバルだ。
子供の頃、震えながらみたあの恐怖が再び蘇る楽しい作品達である。
あ、死体でサバイバルする奇妙な映画『スイス・アーミー・マン』なんてのも今年はありました。
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流行の悪役は戦争相手
映画で描写される悪役には流行がある。
ハリウッドで言うと、
ソ連→中東テロリスト→
と来て最近は「対戦時のドイツ軍」が流行である。
第一次世界大戦時のドイツ帝国、
第二次世界大戦時のナチスドイツ、
いずれも最近の映画で悪役として八面六臂の引っ張りだこだ。
「お前達、昔悪い事したんだから映画で悪役にしてボコしても文句ねぇよな」と言わんばかりである。
そして、日本。
「映画の悪役」として描写される作品が今年多数公開された。
『沈黙 ―サイレンス―』
『ハクソー・リッジ』
『哭声/コクソン』
テーマ、ドラマとしては面白いながらも、
「あぁ、日本って、未だに嫌われてるんだな」
と再確認させられる複雑な作品達である。
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ヒューマン・ドラマあれこれ
人生はままならない。
愛であってもすれ違いが発生する。
そんな無常さをまざまざと見せつけたのが『光をくれた人』。
ハッキリとした正義も正解も無いもどかしさを描いた『セールスマン』。
これらの2作は特に鮮烈な印象を残した作品である。
また、人生の栄枯盛衰を描いた『バリー・シール アメリカをはめた男』、
成功者の図太過ぎる人生を描いた『ファウンダー ハンバーガー帝国の秘密』、
これらの実話ベースの映画も大いに面白かった。
意地と意地がぶつかるアクションドラマ『武曲』。
悲しみに打ちひしがれても生きて行く姿を描く『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。
何でも無い日常の幸せを描く『パターソン』。
定番のボクシング実話にして、諦めない事が勝利を導く勇気のストーリー『ビニー/信じる男』。
伝染する「共感」が不気味な木霊を見せる『三度目の殺人』。
そして戦時のドラマを圧巻の映像と音で表現した『ダンケルク』。
リアリティに即したドラマこそ、映画の基本的な面白さである。
こういった「ヒューマン・ドラマ」系の作品こそ、「映画の王道」と言えるのではないだろうか。
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音楽リミックス映画
最近、懐メロを効果的に使用する映画が増えている。
その走りは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』だろうが、次作の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でもその路線は健在だった。
去年は『デッド・プール』という作品でその傾向がみられ、
そして今年、『ベイビー・ドライバー』で音楽リミックス映画とも言うべき作品が出来上がった。
音楽に映像を合わせたのか?
それとも映像に合った音楽を見つけてきたのか?
それ程までに音楽と映像が渾然一体とマッチした作品であった。
映画の演出は映像だけでは無い。
音や音楽も重要なのだと気付かせてくれる作品だ。
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アクション映画新世紀
アクション映画にも流れがある。
かつて筋肉の説得力でアクションを牽引したアーノルド・シュワルツェネッガーやシルベスター・スタローン。
無敵の無双アクションが炸裂していた。
その後、アクションヒーローもダメージを負う様になる。
『ダイ・ハード』のブルース・ウィリスである。
とは言え、無双である事に変わりは無い。
その路線が踏襲されつつ、転機が訪れたのが『マトリックス』。
カンフー、スローモーション、ワイヤーと言ったアクション描写で新しい物を見せてくれた。
その後のアクションは、
『マトリックス』系のファンタジー路線と
スタントを極力廃したリアル路線とに別れていく。
そして、ハリウッドでは『ボーン・アイデンティティ』や『96時間』といったテクニック系のアクションへと移行してゆく。
そして、近年のハリウッドアクションは、そのテクニック系に更に神経症的な側面も加えた個性的なキャラクターを擁した映画が流行っていた。
『アウトロー』
『イコライザー』
『ジョン・ウィック』
『ザ・コンサルタント』等の映画である。
しかし、このテクニック系を破壊するアクション映画が今年現れる。
それが『ジョン・ウィック:チャプター2』である。
ジョン・ウィックは圧倒的スキルを持つ仕事人だが、徐々に絶体絶命の危機に陥るにつれ、その技術が突き抜けて暴力へと転嫁して行く。
最早本能のサバイバル、謂わばテクニックを排した喧嘩の強さがアクションの迫力を支える段階になっているのだ。
これは、『アトミック・ブロンド』そして『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』にも観られる。
『アトミック・ブロンド』で描かれるのは、技術というより暴力的な立ち回り。
そして、かつてのエピソード1~3では訓練されたジェダイとシスの暗黒卿の美しい殺陣が売りだった「スター・ウォーズ」。
今回の『~最後のジェダイ』においては暴力こそが力。
レイもカイロ・レンもライトセイバーを力任せにぶん回す。
計算されたアクションの美しさよりも、
リアルな痛みを感じる暴力の激しさがアクションにおいて強調された。
今後その方向に更に向かうのか?
それともまた別の道を見出すのか?
これまた注目のポイントである。
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2017年注目の役者
2017年に最も活躍した注目の役者と言えば菅田将暉であろう。
出演映画
『キセキ―あの日のソビト―』
『帝一の國』
『銀魂』
『あゝ、荒野』
『火花』と多数公開されたが、
なんと『銀魂』以外は全て主演。
さらに、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』では声優にもチャレンジした。
また、ガールズ・ロマンス映画に出ずっぱりだったのが土屋太鳳。
『PとJK』
『兄に愛されすぎて困っています』
『トリガール!』
『8年越しの花嫁 奇跡の実話』
全て主演という快挙を成し遂げた。
ぶっちゃけ、映画上映前の予告で1年通してずっと顔を見ていた印象だ。
この二人、来年は『となりの怪物くん』にてダブル主演で共演する。
まだまだ勢いは続きそうだ。
さて、映画の話は尽き無いが、取りあえずはここまで。
また来年、お会いしましょう。
*2017年映画ベスト10はこちら。
2017年作品のブログ掲載記事一覧はこちらから。
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